第58話 始まった、始めちまったぜ
まあなんやかんやあって、いよいよ決勝トーナメント大会当日がやって来た。
闘技場には既に、大勢の観客が集まっていた。
トーナメント出場者には、チーム毎にそれぞれ控え室が用意されていた。
そこで準備を済ませた出場者達は、一旦全員がバトル会場に集められ、国王の挨拶を聞く。
「予選会はご苦労であった! 今ここに居る者達は、皆生き残った勇者達である! それだけでもう既に、我が国にとって誇るべき宝である! だがしかし、この中から更に優勝者を決めねばならん! そしてその者には我が国の王になる権利、もしくは王にしたい者を指名する権利が与えられる!」
いやだから、そもそもあんたがそのまま王様やってたら、こんな面倒な事にはならなかったんだっての!
「ワシがそのまま国王を続ければ良いじゃないかという声が聞こえて来そうじゃが……」
心を読むな!
「ワシももう歳じゃ! 本来の王位継承者である我が娘のエスタには、王位を継ぐ事を拒否されてしまった……」
「そんな事、バラさなくて良いですぅ!」
「ワシが見込んだ青年、ゆーゆにも王位継承を断られてしまった……」
いやさっきから何ペラペラと、裏事情バラしてんだこの人は!
「客席の前には強力な防御結界を張ってあるので、皆存分に力を奮って戦うが良い! ただし予選会の時にも言ったが、対戦相手を殺したり、死に至らしめるような危険な技や魔法を使う事は禁止じゃ! 分かっておるな? ロッタよ」
「いやわざわざ名指しで言わなくても分かってるっスよー!」
「ワシからは以上じゃ! この後すぐに1回戦の第1試合を行う! では、王位争奪トーナメント、開始じゃ!」
大歓声に包まれる闘技場。
完全にお祭りだな。
僕とトウカは第1試合に出るので、そのまま会場に残った。
向かいには、対戦相手であるチーム運任せが残った。
さて……では早速相手のステータスを見るとするか。
【福・福郎】
アイテムが出て来る福袋を持っているが、アイテムを選んで出す事は出来ない。その時に1番役立つアイテムが出る事もあれば、全く役に立たない物が出る事もある。
アイテムは1日にひとつしか出せないが、一度出したアイテムが消える事は無い。
え? アイテムを1日にひとつしか出せないって、じゃあひとつ出してそれが役に立たない物だったらもう終わりじゃん!
【高楽・仁】
相手の行動を予測してクジを引き、それが的中すると相手の攻撃を無効にし、威力をそのままはね返す事が出来る。
当たれば無敵だが、ハズレれば無防備で相手の攻撃を受ける事になる。
いやハイリスクハイリターン!
【新井・牙羅】
相手に攻撃を当てるか攻撃を受ける事を5回行う毎に、ガラガラを1回回す事が出来る。
ガラガラを回して出た玉の等級によって、その等級相応のアイテムを出す事が出来る。
やっぱりガラガラの事か。
てか、条件厳しい上に出玉にランクがあるって、1番使い勝手悪い能力じゃん!
チーム運任せとはよく言ったもんだけど、こいつらこんな不安定な能力でよく予選を生き残ったもんだなぁ。
文字通り、運が良かったって事か?
僕は得た能力の情報をトウカと共有した。
「マジですか? 何てお気の毒な能力なのデス」
「うん、何かそれに比べて僕の能力が万能過ぎて申し訳なく思うよ……」
てか、チート能力を持ってるって事は、やっぱりみんな転生者なんだよなぁ?
せっかく転生して何故そんな能力にしたのか、ホント疑問でしかないよ。
いや、異世界転生モノで主人公がよく幸運値に極振りしたりするから、そういう事なのか?
そしていよいよ、トーナメントの1回戦が開始される。
「両チーム、中央へ!」
レフェリーに促されて、闘技場の中心部に向かう僕達。
場内には、実況の声が響き渡っていた。
『さあ! いよいよ始まります、王位争奪トーナメント1回戦! チームトウゆ対チーム運任せの試合が行われようとしております! トーナメントを見事勝ち上がって、王の座を掴むのは果たしてどのチームか? 実況はわたくし、芸夢日叫がお送りいたします!』
ゲーム実況? ユーチューバーか!
レフェリーより、改めて試合の注意事項が伝えられる。
「試合は予選と同じくチーム戦で行われる! 全員が同時に戦いに参加出来る! メンバーの誰かが降参、もしくは私が続行不可能と判断した場合、試合終了となる! 対戦相手を殺したり、それに準ずる危険な技を使用した場合、即失格とする!」
だってさ、ロッタ。
「それでは、試合始め!」
『今、試合開始の合図が出されました! チームトウゆ対チーム運任せ! 国王が王位継承候補に挙げましたゆーゆ選手を擁するチームトウゆは、いったいどんな戦いを見せてくれるのかー?』
いきなりハードル上げるのやめて!




