第50話 日本語習得を難解と言わしめる同音異義語
トウカがテレポーターをぶん投げたのを見て、僕も残りのふたりを瞬殺した。
「グウウ……やりやがったなテメェ! はあっ?」
頭を押さえながら起き上がって来たテレポーターが、倒された仲間を見て焦っている。
「い、いつの間に? クソッ!」
逃げようとするテレポーターの服を掴むトウカ。
「逃すと面倒だから、ここで狩るデス」
「了解!」
僕はテレポーターにトドメを刺すべく走った。
「クソッ! 放せ!」
「あなたはここで退場なのデス」
「クソッ! テレポート!」
テレポーターが能力を使ってトウカ諸共テレポートしようとしたが、テレポーターの動きがまるでスローモーションのようにゆっくりになった。
「な、何だ……これは? 遅い……」
僕は焦るテレポーターをぶん殴った。
「ぐぼわああー!」
数メートル吹っ飛んで気絶するテレポーター。
最後、何故テレポーターがテレポート出来なかったのか? そう、これもトウカの能力なのである。
トウカの能力は、触れた相手の潜在能力を一時的に上げる事が出来るのだが、逆に下げる事も出来るらしいのだ。
だからテレポーターが能力を発動した瞬間、能力が低下した事により、瞬間移動では無く超低速移動になってしまったという訳である。
能力を使わずに普通に走って逃げた方が速かったなんて、皮肉だよね。
「やったのデス! 早くも2勝目なのデス!」
「うん。今回はトウカのおかげだよ」
「ウヘヘへ〜。照れるのデス」
僕はニヤけているトウカとハイタッチをした。
そしてこの日は他のチームに出会う事も無く、2日目を終えた。
とある休憩所で夜を迎えた僕達。
この日は他のチームも居ない、小屋に完全にふたりだけだった。
ふたりきりは何だか気まずかったので、僕は自然と魔法少女に変身していた。
だって男と女が小屋の中にふたりきりはマズイっしょ。
「フゥッ。ようやく落ち着けるのデス。今日は2回も勝てて順調だったのデス」
「うん、そだね。トウカも大活躍だったしね」
「私なんてオマケみたいなもんデス。仲間が居てこそ本領を発揮する能力なのデス」
「うん、だからトウカが居てくれると凄く心強いよ」
「そ、そんな事を言われると、また照れるのデス」
ピロリロリン!
あ〜、そういえば恋愛シミュレーションゲームも起動してるんだったな。
「さ、さあ! ご飯の前に一緒にお風呂に入って疲れを癒すのデス」
「一緒……い、いや! トウカ、先に入って良いよ!」
「何故デス? 一緒に入ったらまた背中の流しっこが出来るのデス」
「い、いやあ……ちょっと疲れたから、ひと休みしてから入るよ!」
「そうデスか? 残念なのデス。ではお先に入らせてもらうデス」
「う、うん。ごゆっくり〜」
エスタ達は僕が男だと分かった上で面白がってる所が有るけど、トウカは僕を女だと思って言ってる訳だから、もし男だと分かった時にどんなに軽蔑されるか分かったもんじゃないからなぁ。
風呂に一緒に入る事は回避出来たが、同じベッドで寝る事は避けられなかった。
「この調子で明日も狩って行くのデス」
「う、うん」
狩って、じゃ無くて勝って、な。
「では、おやすみなのデス」
「うん。おやすみ〜」
フゥッ。また眠れない夜になりそうだ……
いや別に興奮して眠れない訳では無い。少女の姿に変身している時は身体が女になっているせいか、女性の身体に対して興奮する事は無いのだ。
これは、単なる人見知りによる緊張なのである。
そして、3日目の朝を迎える。
「う、ん……うわあっ!」
目を開けた時、すぐ目の前にトウカの顔があって僕は驚きの声を上げた。
「な、何?」
「おはようなのデス。ゆーゆの寝顔が可愛い過ぎて、じっと見つめていたのデス」
いや、だとしても近過ぎるでしょー!
「朝ご飯出来てるから、支度出来たら食べるデス」
「う、うん、ありがと」
僕達は朝ご飯を食べた後準備を整え、再び戦場に戻った。
「さあ! では今日も張り切って狩って行くのデス!」
だから狩って行くじゃ無くて勝って行くだって……いや、もしかしてそっちが正解なの?
しばらく森の中を歩いていると、マップに赤い光点が3つ現れた。
僕はすぐにステータスを調べると、どうやら3人共転生者のようだった。
え? 何故分かったのかって?
魔法では無い特殊な能力を持っている事と、何よりその3人の名前である。
ー 名前 : 勝・華惨 ー
ー 能力 : 怒れば怒る程火力が上がる炎を操れる ー
活火山?
いつも怒ってないといけないの?
ー 名前 : 菅派・大 ー
ー 能力 : 触れた物の温度を下げる能力 ー
大寒波?
熱の次は冷気?
ー 名前 : 楼・岩響 ー
ー 能力 : 相手の目のピントを自由に狂わせられる ー
老眼鏡?
岩響なんて名前初めて聞いたよ。
てか、目のピントを狂わすって、転生してせっかく貰ったチート能力がそれ?




