第49話 何だかゆーゆの口が悪くなっております
一応朝ご飯をちゃんと食べてから、僕達は小屋を後にした。
朝ご飯というより、朝昼兼用だけど。
そして当然、出発前に魔法少女は解除した。
「また変身したデスか? 女の子の方が可愛いのに〜デス」
今の男の姿が本当の僕だと言いたいが、言った所でこの娘は信じないだろうからやめておく。
マップを見て、エスタ達やチョコ達が近くに居ない事は確認済みだ。
あのクラスを2日続けて相手にするのは勘弁願いたいからね。
「ゆーゆ、どうするデス? 他のチームを狩りに行くデスか?」
いや言い方!
「う〜ん。無理に戦う必要は無いんだけども、チーム数が減らないといつまで経っても予選会が終わらないからな〜」
「じゃあやっぱり狩りに行くデスね」
だから言い方!
僕はマップで敵チームの位置を調べた。
「近くに敵は、と……お、居た居た。丁度向こうもふたりみたいだから、行ってみようか」
「ハイなのデス」
敵がチョコミントでは無い事を確認した僕達は、その光点を目指して移動した。
ステータスを見たが、どうやら転生者では無いらしい。
剣士と魔導士の男女コンビか……強さ的にも、ブラウやロッタには遠く及ばないから、まあ大丈夫だろう。
そのふたりと遭遇すると、何だかめちゃくちゃ焦っていた。
「て、敵?」
「ほらー! だからもっと隠れてようって言ったじゃないー!」
「し、しょうがねぇだろ! あれ以上小屋に居座ってたら失格にするって言われたんだから!」
「じゃあ別の小屋を探して隠れたら良かったじゃない!」
「何だか揉めてるデス」
「うん。言っちゃ悪いが、完全に雑魚だね」
もしかしたら、他のチームならこちらを油断させる演技かも? と疑うかもしれないが、僕は既にふたりのステータスを確認して強さを把握しているので、全く警戒の必要は無かった。
「ま、まあ待て! 向こうも同じ男女2人だし、まだ子供じゃねーか! あれなら勝てるかもしれねーぜ?」
「そ、そうね。じゃあやっちゃいましょう!」
舐められてる……
敵の情報が無いと、こうも違うんだなぁ。
「行くぞ!」
「ええ!」
そして僕はふたりを瞬殺した。
いや勿論殺してはいないけど。
「な、何だこの強さは……ガクッ」
「ふたりで王様になって贅沢する夢が……ガクッ」
その程度の実力で勝ち残れる訳ねーだろ!
てか、こんなレベルの参加者も居るんだなぁ。確かにこりゃ予選会必要だわ。
「まずは一勝なのデス! この調子でどんどん狩って行くのデス!」
漢字が間違ってますよトウカさん。
「動くな!」
「え?」
背後から男の声がした。
振り返ると、イキナリ現れた男がトウカの背後に立ち、トウカの腕を極めていた。
「な? どこから現れた?」
「ゆーゆ!」
マップは常に表示して警戒していた……
なのにイキナリ背後に現れやがった……奴の能力なのか?
僕はすぐさま男のステータスを見た。
ー 名前:ワープ・テレポート ー
ー 能力:自分が視認出来る範囲なら、どこへでも瞬間移動が出来る ー
いや、また名前そのまんまかいっ!
「動くなよー。動いたらこの娘の腕が折れるぞー」
赤い光点がふたつ、林の中から近付いて来る。
「へっへー。大人しく俺の仲間にボコられな! そうすりゃあこの娘は無事に返してやるぜ!」
うわぁ〜。典型的な卑怯者。
「あんた! ルール知らないのか? 王に相応しく無い行いをしたら失格になるんだぞ〜!」
「ハハ! 俺達は王位なんてどうでも良いんだよ! ただ公認で暴れられるから参加しただけだからなぁ!」
「うわ、サイテー」
「ヘッ! 何とでも言え! さあ、やっちまえ!」
「ヘッヘッヘ。悪く思うなよ……そら!」
テレポーターの仲間のパンチをかわした僕は、加速魔法を使い一気にテレポーターの側まで走った。
「んなっ? 速っ!」
テレポーターを殴ろうとしたが、パンチが当たる寸前でトウカ諸共目の前から消えた。
「テ、テメェ! 動くなっつっただろうがよー!」
少し離れた場所に現れたトウカとテレポーター。
「そっか……触れた相手も一緒に瞬間移動出来るのか〜。もっとちゃんと調べとくんだったな〜」
「テメェ! 何で俺の能力を知ってやがる?」
「ん? まあそれが僕の能力だからね〜」
「そうか、鑑定ってやつだな!」
違うけど、いちいち説明するのも面倒だから、それで良いや。
「俺の命令を無視したバツだ! 娘の指を折るぜ!」
「なっさけねーなー! そんな凄い能力持っていながら、こんっなくだらない事に使うなんてよー!」
「う、うるせぇ! お、俺だって転生した当初は真っ当に冒険者として頑張ろうと思ったさ! でもこんな能力、逃げるぐらいにしか役に立たねぇじゃねぇか!」
「バカか! そんなもんは使いようだろうが!」
「テメェに何が分かる! 偉そうにほざきやがって! 娘の泣き声を聞いて後悔しやがれ!」
「まあ一応忠告しとくけど、早くその娘を離した方が良いぞ〜!」
「何訳の分かんねぇ事言ってやがる!」
トウカの指を折ろうと力を込めるテレポーター。
「はあ、まったく……さっきから黙って聞いていれば、何て情けない男デスか」
「何だとテメェ!」
「囚われのヒロインも良いかと思って大人しくしてたデスが、あなたみたいな軟弱な男に捕まったままなのは屈辱なのデス」
「テメェ! 好き放題言ってんじゃ……え?」
次の瞬間、テレポーターの身体がフワリと宙に舞い、激しく地面に叩き付けられた。
「ガハアア!」
「僕はちゃんと忠告したぞ〜」
トウカは、自分の能力が戦闘向きじゃ無い事を重々承知していたので、転生してからは兄のブラウに剣術や護身術を習い、特に素手による格闘術はブラウさえも敵わない程の腕前だという事を、僕はこのサバイバルマッチが始まる前にイヤと言う程体験したのである。
あの投げ食らうと、しばらく息出来なくなるんだよな〜、ああ怖い怖い。




