第46話 何だ? ばっかり言ってる
クソっ! 出くわした以上はやるしか無いか……
「一応聞いとくけど……」
「何や?」
「まさか戦えないトウカを攻撃したりなんか、しないよねぇ?」
「当たり前や。ウチらがそんな卑怯なマネするかいな」
「ん。トウカに怪我させたら姫様に怒られちゃう」
「そっか……なら心置き無く戦えるよ。トウカは下がってて。もしトウカの力が必要な時はお願いするよ」
「ハイなのデス。ゆーゆ、気を付けてなのデス」
さて、まずはチョコ対策に肉体強化魔法を重ねがけして、と。生身の女の子ふたりを相手に剣を使うのもヤだから、こっちも素手の格闘技主体に魔法を組み合わせて行くか……
そんな事を考えていると、いきなりチョコが突っ込んで来た。
「油断大敵!」
「グウッ!」
チョコのぶちかましにより、僕は吹っ飛ばされてしまった。
かなり飛ばされたが、林の木に当たりようやく止まった。
「なんて威力だ……ヒール!」
いきなり大ダメージを受けた僕は、すぐさま治癒魔法をかけ回復した。
これ、強化魔法かけて無かったら、一発アウトだったんじゃないか?
「ウチもおるで〜!」
ミントが大量に創り出したユニコーンが、一斉に突進して来る。
「危っ!」
寸前でかわす事が出来たが、ユニコーンの角がさっき僕の背後にあった木を貫いていた。
「殺す気かー!」
「ゆーゆはんはこの程度で死なへんやろー!」
ユニコーンの大群を何とかかわし切った瞬間、再びチョコが突進して来た。
「アクセル!」
加速魔法を使い、紙一重でチョコをかわした。
そのまま突進したチョコは、木を5本程なぎ倒してようやく止まった。
いや、こっちの方が遥かにヤベーじゃん!
「まだまだ行くでー!」
だが、ミントは何かを創り出した様子は無く、ただ立っているだけだった。
何だ? 何も出して来ない? いや!
嫌な予感がした僕が咄嗟にその場から飛びのくと、僕の近くにあった木が鋭利な刃物で切られたように真っ二つになった。
「惜し〜! もうちょいやったのにな〜!」
何も居ない空間に、いきなり死神のような者が現れ、またスウッと消えていった。
「何だ今の?」
「死神くんや。死神くんはステルス機能があってな……相手に気付かれんとコッソリ近付いてバッサリ行くんやけど、強い相手にはいっぺんネタバレしたら使えんからなぁ」
「だから殺す気かー! 君らルール分かってる? 相手を殺したら即失格なんだよ?」
「せやから、ゆーゆはんなら死なへんやろって?」
「何を根拠に……」
僕が突っ込みを入れている隙に、再びチョコが突進して来る。
「ヤバっ! 喋ってる場合じゃ……え?」
逃げようとした僕の身体が突然動かなくなった。
「何だぁ?」
「スパイダーくんや。死神くんに気を取られてる間に、こっそり蜘蛛の巣張ったんや」
僕の全身は巨大な蜘蛛の巣に絡め取られて、全く動けなかった。
ヤバい! このままだとチョコの突進をモロに食らってゲームオーバーだ!
「バーニングファイヤー!」
僕は全身に強烈な炎をまとい、身体に絡み付いた蜘蛛の巣を焼き切った。
「どうやら、まず倒すべきはミントの方みたいだな!」
チョコの突進をかわすと同時に僕は、ミントに向かって走り出した。
だがミントは特に慌てる様子も無く、ニヤリと笑った。
「そう来る思てたで〜」
「なっ?」
走っていた僕の目の前に、いきなり土の壁が現れた。
僕はその土壁に勢いよくぶつかり、尻もちをついた。
「何だ? 土魔法?」
いや、チョコミントは魔法は使えない筈……
いきなりの光景に、僕は自分の状況が一瞬理解出来なかった。
「土龍くんや」
頭の上から聞こえるミントの声に、僕はようやく理解した。
「落とし穴かいっ!」
どうやら僕は、いつの間にか土龍くんによって掘られていた落とし穴に落ちたらしい。
「ほんでもってこれや! 石ダルマくん!」
落とし穴の直径とほぼ同じぐらいの巨大な石のダルマを穴の上の空間に創り出したミント。
「フッフー。ペシャンコや」
「やっぱ殺す気じゃねーかー!」
こうなったら仕方ない!
「メタモルフォーゼ! ディメンションバスター!」
僕は魔法少女に変身して、最大火力で石ダルマを破壊し、空へ飛び上がった。
「まさか、始まった早々奥の手を出す事になるなんてね……いきなりの誤算だよ」
「ハハッ! 早くも真の姿を表したなゆーゆはん!」
「ん。ここからが女同士の本当の戦い」
相変わらずのこのノリをやらせてる時点で、チョコミントにそれだけ余裕があるって事なんだよなぁ。
でもさすがに、この2人を相手に出し惜しみして勝てる程、甘くは無いか……
「ゆーゆ、やっぱり元の姿は可愛いのデス!」
『ピロリロリン!』
トウカの好感度が上がったようだ。
そういえば全ソフトを起動してるんだったよ!




