第42話 褒めるのって大事
ブラウを怒るトウカだったが、今度はエスタとロッタの怒りを受ける事になる。
「ヴィオラお姉ちゃん! 転生したんなら、何で私に会いに来てくれなかったんですか〜!」
「そっスよ! ヴィオラお姉ちゃんが死んで、めちゃくちゃ悲しかったんスからねー!」
「そ、それはゴメンて! でも転生したとはいえ、いくら顔が同じとはいえ、ヴィオラが死んだのは事実だし、兄さんが言ったようにあの頃は転生者なんて周りに居なかったから、説明しても信じてもらえないかな〜? とか思ったり……」
「信じますよぉ!」
「ハイっス!」
「あの……ね、ホントは兄さんが私に気付いてくれたら一緒に説明してもらおうかな〜とか思ってたけど、結局今の今まで全っっっっ然気付いてくれなかったし、もう今回の騒動が無かったら一生気付かないままだったかもしれないんだから!」
「そ、それは反省してます……」
「私、ヴィオラお姉ちゃんが亡くなった事が辛過ぎて、どんな病気や怪我でも治せるように、白魔導士になったんですよぉ!」
「そう、だったの……うん。蘇生魔法まで使える立派な白魔導士になって、エっちゃんよく頑張ったね」
「うああああー!」
泣きながら更にトウカに抱きつくエスタ。
「あ、あたしもあたしも! 姫様が白魔導士になるって言ったから、あたしは姫様やみんなを守れる様に、黒魔導士になるって決めたんスよ!」
「うん、見てたよロっちゃん。色んな魔法使っててビックリしちゃった。頑張ったんだね」
「うあああー! お姉ちゃああーん!」
ロッタも同じく泣きながらトウカに抱きついた。
「よしよし」
「「うあああーん!」」
ふたりの頭を優しく撫でるトウカ。
「う〜ん。でももうそろそろ離してほしいかな〜? ふたりの涙と鼻水で私の服、グチョグチョなんだけどな〜」
「「うあああーん!」」
ご愁傷様です。
「何だぁ? もの凄い泣き声がするから誰か死んじゃったのかと思って心配してたら、別に全員無事そうじゃないか」
フラフラになりながら、ボレアス親衛隊の5人が上がって来た。
「うん、まあ色々あってね」
「ベルク王を倒したみたいだな」
「ああ」
「そうか……王が倒された今、この国はあんた達の物になった訳だがどうする? ボレアスの国民全員を殺すかい?」
「まさかな。だがこの後の事は、姫様……は無理そうだからゆーゆ、貴様が決めろ」
「いや、何で僕が!」
「不本意だが、貴様がダール国の次期国王なんだろう? だったら貴様が決めろ」
「せやな」
「うん、任せる」
任せないで!
未だ泣き続けているふたりを除いた全員が僕に注目している。
「うぐうう〜。わ、分かったよ! でも、今だけだからね!」
ちゃんと釘を指しとかないと、なし崩し的に王様にされかねないからね。
「んと……ケジメとしてベルク王はぶっ飛ばしたけど、本来の目的はトウカさんを助け出す事だったし、それは無事に果たされたんだから、もうこれ以上僕達がこの国をどうこうする事は無いよ。ベルク王をどうするか、ボレアス国を今後どうするかはあんた達に任せる。ただし! またダール国に攻めて来るって言うなら、今度は徹底的に叩くからね!」
王様やエスタでも同じ事を言っただろうし……
「二度とダール国に攻める事はしないと約束するよ。ありがとう、寛大な処置に感謝する。正式な取り決めはまた改めて」
「うん」
事後処理は革命戦士達に任せて、僕達はダール国に引き上げる。
帰りはコソコソする必要が無かったので、ミントが創った飛龍君に乗って派手に帰る事にした。
「今回はおバカな兄共々、みなさんには大変なご迷惑をおかけしたデス」
「迷惑なんかじゃ無いですよぉ。私はヴィオラお姉ちゃんが戻って来てくれただけで、全てオーケーですぅ」
「ありがとうデス。このご恩に報いるよう、今後は私もダール国の為に力を振るうデス」
「それは心強いっスがヴィオラお姉ちゃん、何でまたその変な喋り方に戻したっスか? もう正体はバレたんスから、キャラを作る必要は無い筈っスよ?」
「う〜ん。何だかもうこの口調に慣れてしまったし、今の私はトウカですから、このまま行くデス」
うん。キャラ付けは大事。
ボレアスを飛び立ちしばらく経った頃、さっきまではしゃいでいたエスタが急に静かになった。
「あれ? 姫様、急に黙りこくってどうしたっスか? 飛龍酔いっスか?」
「……オシッコ行きたい……」
「いやまたかいな? 飛龍君で飛んで帰ったらすぐや思て、トイレ作って無いねん! 城まで我慢できんのか?」
「無理……10……9……8……」
「イヤアア! ちょっと待ちって! すぐトイレ作ったるからああー!」
ギリギリになる前に言おうね。
この後、ダール国とボレアス国の間に正式に終戦協定、並びに同盟関係が結ばれた。
ボレアスのベルク王は、長年圧政により民を苦しめ、そして今回のダール国侵攻によりボレアス国に滅亡の危機を招いた罪に問われ、国外追放となった。
後から聞いた話によると、ベルク王が極刑や投獄を免れたのは、革命戦士達によるせめてもの温情だったらしい。
ボレアス国の新たな国王には、反社が就いたそうな。
本人はめちゃくちゃ嫌がっていたらしいが、親衛隊の面々に半ば強引に押し付けられたとかなんとか。
他人事とは思えないから同情するよ……




