第41話 解説するよ〜
確かにエスタは蘇生魔法は使えないって言った。なのにロッタは生き返った……これは明らかにトウカの能力によるものだろう。
まあ何であれ、ロッタが生き返って良かった。
ロッタへの制裁が終わったエスタが、トウカに質問する。
「そういえばトウカちゃん、さっき私の事をエっちゃんって呼びましたよねぇ?」
いや気になるのそっちかいっ!
「いや気になるのそっちかい! デス!」
僕と同じツッコミをするトウカ。
「それに、ロッタの事もロっちゃんって……」
「え? あたしの事をそう呼ぶのって……」
「あーっと! と、ともあれ、やはり姫様の素質は本物だったデス!」
何かを誤魔化す様に、強引に話題を変えるトウカ。
「私の素質? どういう事ですかぁ?」
「俺が説明します」
ブラウが入って来た。
「実はトウカもゆーゆ達の様に特殊な能力を持っていまして」
「え?」
「トウカは、触れた相手の潜在能力を一時的に引き上げる事が出来るんです」
「潜在能力を?」
「はい。ロッタが生き返るかどうかは賭けでした。あくまで触れた相手が本来持っている素質を引き上げる能力ですので、失礼ですが無いモノは引き上げられないので、姫様に蘇生魔法を使う素質が無ければ、ロッタを生き返らせる事は出来ませんでした」
元々魔法が使えない戦士にどれだけ能力をかけても、魔法は使えないって事か。
「つまり私がぁ、白魔法の天才って事ですねぇ?」
「あ、はい。そういう事です」
「なるほどなるほど〜。で、何でトウカちゃんは私をエっちゃんって呼んだんですかぁ?」
まだ食い下がるのか。
「あ、姫様に対して馴れ馴れしかったデス! 深く反省してるデス!」
「そんな事を言ってるんじゃ無いんですよ〜? 私の事をエっちゃんって呼ぶ人はぁ、今までひとりしか居なかったんですよぉ」
エスタの言葉にブラウが反応する。
「え? 姫様、それってもしやヴィオラの事を言っているのですか? 確かにトウカはヴィオラに瓜二つですが、だからと言って姫様の呼び方まで同じなのは偶然でしょう。俺がどこかで昔の事をトウカに話したのかもしれませんし……」
ヴィオラって確か、子供の頃に亡くなったブラウ団長の妹さんだよな?
てか、トウカがあんなチート能力持ってる時点でおかしいんだから、いい加減気付きなさいよ。
「ふ〜ん。そうなんですかぁ」
明らかに悪い顔になるエスタとロッタ。
「ああそうだ〜! トウカちゃんが居れば死んだ人を生き返らせられるんですからぁ、ヴィオラお姉ちゃんを生き返らせましょ〜!」
「え、いや、それは……」
「え? でも姫様ぁ、ヴィオラお姉ちゃんが亡くなったのはもう10年も前っスから〜、ゾンビどころか骸骨人間の出来上がりっスよぉ?」
「骸骨人間?」
激しく動揺しているトウカ。
「でも私の治癒魔法は生きてる人間にしか効きませんからぁ、魂を身体に戻している間に少しずつ少しずつ治して行くしかありませんしね〜」
「え? でもそうなると魂自体は身体に戻ってる訳っスから、痛みとかあるんじゃないっスか?」
「そうですねぇ。蘇生魔法で無理矢理魂を肉体に定着させた状態で肉体を再生する訳ですからぁ、地獄の激痛でしょうねぇ」
「ヒッ!」
このふたり、意外とドSだな。
「そりゃ大変っスね〜。で、肉体を完全に再生するには、どれぐらい時間かかるっスか?」
「ん〜。やった事無いのでハッキリとは分かりませんがぁ、完全な骨の状態からとなると、短く見積もっても30分ぐらいはかかるんじゃないでしょうかぁ?」
「さ、30分……」
「うわぁ。30分の間ずっと地獄の激痛っスか〜? ヴィオラお姉ちゃん、耐えられるっスかね〜?」
「イヤアアアアー!」
いきなりトウカが叫んだ。
「あれ〜? どうしたんですかぁ、トウカちゃん? 私は昔亡くなったヴィオラお姉ちゃんの事を言ってるんですよぉ?」
確信犯!
「もう分かった! 分かったわよ! そうです! 私がヴィオラ本人ですよ!」
「やっぱり……ヴィオラお姉ちゃん……」
エスタの頬を涙が伝う。
「ほ、本当にヴィオラお姉ちゃんなんスね?」
「なん……だと? トウカがヴィオラだと?」
団長……
「久しぶり……ね。エっちゃん、ロっちゃん」
「「ヴィオラお姉ちゃーん! うああああー!」」
泣きながらトウカに抱きつくエスタとロッタ。
「トウカがヴィオラ……? ヴィオラは死んでなかった? いや、ならばわざわざ偽名を名乗る必要は……」
ブラウがプチパニックになっている。
「トウカ! お前、本当にヴィオラなのか?」
「そうだと言ってるでしょ、兄さん」
「ど、どういう事なんだ?」
「ヴィオラとしての人生を終えた時、女神様に再びこの世界に転生させて頂いたのよ!」
「あ、いや……な、ならば何故今まで黙っていたんだ?」
「それは……」
何だか言いにくそうなトウカ。
「何だ? 何か言えない理由でもあるのか?」
「うう〜。兄さんとドラマチックにお別れしたのに、すぐに転生して再開しちゃったから……何だか……気まずかった…….の……」
うん。そりゃ気まずいね。
「はあ? そんなつまらない理由で10年間も黙っていたのか?」
「に、兄さんこそ! それっぽいヒントを何度も何度も出して来たのに全然気付いてくれないで! エっちゃんとロっちゃんなんか、呼び方ひとつですぐ気付いてくれたんだからね! そもそも見た目がヴィオラと全く同じなんだから、変だなとか思いなさいよ!」
ホントそれな。
「ええ〜? い、いやだってそれは……今でこそ転生者は珍しく無いが、あの頃はまさかヴィオラが転生したなんて思いも……」
「言い訳は見苦しいです!」
団長さん……鈍いにも程があるよね。




