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第40話 絶対シリアスにはさせません!

 無事に全員が勝利し、僕達かるみる隊プラス2名はいよいよベルク王の元へ向かう。

 そんな僕達を、革命戦士が呼び止めた。


「ま、待ってくれ! やはりベルク王を殺すのか? いや決して褒められた王では無いが、あんなでも一応俺達を拾ってくれた恩人なんだ」

「それは貴様達の能力が目当てだったんだろう?」

「だとしてもだ! 能力だけではこの世界で生き残れなかった。この世界に転生して右も左も分からなかった俺達に、住む場所と仕事を与えてくれたのも事実なんだ」


 うん。それは僕も凄く助かったから分かる。


「俺はトウカをさらって祖国を裏切るように仕向けたベルク王を殺したい程に恨んでいる」

「……そうか……」

「……だが、そんな事は姫様が決してお許しにならないだろう」

「当然ですぅ」

「ありがとう……あ! あともうひとつ!」

「まだ何かあるのか?」

「このレジャーシート、もう少し借りててもいいか? 俺達現代っ子だから、地べたに直接寝るってのはちょっと……」


 潔癖症かっ!


「それは差し上げますからぁ、好きに使ってくださいね〜」

「あ、ありがとう!」


 レジャーシートの方が嬉しそうじゃねーか!


 嬉しそうにレジャーシートに横たわるボレアス親衛隊を後に、僕達は城の最上階を目指した。

 途中、城の兵士に幾度となく出くわしたが、全てチョコミントが簡単になぎ払っていた。

 そして最上階の扉の前。


「どうやらここが最終目的地みたいっスね」

「ベルク王が何か能力を持っているとは聞いた事が無いが、他にもまだ親衛隊が残っている可能性もある。気を緩めず行こう」

「了解っス。では開けるっスよ」


 慎重に中に入ると、広い部屋の奥にある玉座にベルク王と思われる男が座っていた。


「ベルク王!」

「やはり裏切ったか、ブラウ」

「元より貴様達に付いたつもりは無い!」

「フッ、まあいい。しかし、余の親衛隊を全て討ち倒して来るとはな。せっかく目をかけてやったのに、使えん奴らだ」

「臣下に対してその言いよう。やっぱ聞いた通り、褒められた王様じゃ無いっスね」

「観念しろベルク王! 大人しく降伏するなら、命までは奪わない!」

「この余が? 降伏だと? フ……フフ……フハハハハハ! する訳が無いだろう! 一国の王女がわざわざ敵地まで出向いて来るとは、バカめ!」


 高笑いした後、突如隠し持っていた杖らしき物をエスタに向けるベルク王。


「姫様!」


 エスタを庇うように前に出たロッタが、全身の力が抜けた様にその場に倒れ込んだ。


「ロッタ!」

「貴様!」


 すぐに飛び出したブラウとチョコが、ベルク王をぶっ飛ばす。


「グワアアー!」


 気を失うベルク王。

 ベルク王が持っていた杖は、チョコがへし折った。


「ロッタ! ロッタ!」


 静寂に包まれた玉座の間に、エスタの悲痛な声が響き渡る。

 完全に血の気が引いた顔でピクリとも動かないロッタに、ずっと治癒魔法をかけ続けるエスタ。


「ロッタが起きないんです! さっきから治癒魔法かけてるのに! どこも怪我なんてしてないのに!」

「お姫さん……認めたくは無いけど、ロッタはんはもう……」

「バカロッタ! グスッ。どんな怪我でも治すけど、死ぬのはダメって言ったじゃないですかー! うあああーん!」


 泣きながら治癒魔法をかけ続けエスタ。


 まさか……ロッタ、本当に死んじゃったのか?

 こんないきなり? こんなあっさり?

 クソッ! FFの僧侶をもっと育ててたら、蘇生魔法が使えたかもしれないのに……


「ベルク王はおそらく、死神の杖を使ったんだろう」


 戻って来たブラウが、何かを知っているようだった。


「死神の杖? なんやねんそれは?」

「昔、城の文献で読んだ事がある。使用者の寿命1年分と引き換えに、相手を無条件で殺す呪具だ」


 無条件……防御魔法も何も効かないって事か。


「なんやねん! そのイカサマ道具は!」

「おそらくロッタはそれにいち早く気づいて、姫様の前に出たんだろう。自分が先に呪いを受ければ、姫様に影響が無いと分かっていて……」

「うううう〜。バカ! バカロッタ! バカ! 私、蘇生魔法は使えないんですからね! 蘇生魔法なんて何十年と修行してようやく使えるかどうかなんですからね! ロッタの肉体を冷凍保存したとしても、蘇生した頃には私はおばあちゃんなんですからね! バカあー! ロッタのバカあああー! こんなお別れヤダよおおー! うわああー!」


 激しく泣きじゃくるエスタを見て、ブラウに何かを目で訴えるトウカ。


「兄様……」

「……むう。分かった。上手く行くかは分からないが、ここは姫様の才能にかけてみよう」

「ハイ!」


 尚も泣きながらロッタに治癒魔法をかけ続けているエスタの隣に行き、そっと手に触れるトウカ。


「エっちゃん。そのままで……」

「え?」


 トウカがスッと目を閉じると、全身から眩い光が立ち昇る。そしてその光がトウカの腕からエスタの腕に伝わり、今度はエスタの全身から凄まじい魔力が溢れ出す。


「え! え? な、何ですかこれは?」


 状況が掴めず慌てるエスタに、囁く様にゆっくりと話しかけるトウカ。


「大丈夫。集中して、エっちゃん。今はただロっちゃんを助ける事だけを考えて」

「え? ハ、ハイ」


 エスタの全身から溢れ出ていた光が、今度はエスタの手からロッタの全身に移り、ロッタの全身が光りだす。

 

「う〜ん、眩しいっスね〜。あたしは取り調べを受けてる犯人じゃないっスよ〜」


 何と! 何事も無かった様にロッタが目を覚ました。


「ロッタああー!」


 ロッタを激しく抱きしめるエスタ。


「ど、どうしたんスか姫様? あ、あれ? そういえば、あたしは死神の杖の呪いで死んだ筈……」

「そうでした! このバカロッタああー!」


 愛情が怒りに変わったエスタが、ロッタの首を絞めにかかった。


「ギャアアアー! ギブギブギブっスー! 今度こそ本当に死んじゃうっスよー!」




 

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