第32話 やはりバトル展開になるのか
明るい場所に出てから、エスタがトウカの顔をジッと見つめている。
「ど、どうしたデスか姫様? 私の顔にウンコでも付いてるデスか?」
いやどんな状況だよ!
「あ、ごめんなさいねぇ。ホントにヴィオラお姉ちゃんの面影があるなぁっておもってぇ、つい見つめちゃいましたぁ」
「ええ、確かにヴィオラが生きていたらこんな感じだったんだろうなぁって思います」
「ヴィオラさん……兄様から聞いたデスが、そんなに私と似てるデスか?」
「あたしもうっすらっスが、子供の頃に一緒に遊んでもらったのを覚えてるっス」
そっか……エスタ、ロッタ、ヴィオラさんは幼馴染って事か……ならロッタの、エスタに対する無礼な言動も納得がいく、か?
僕はマイクラを無双に切り替えて、城の一階に進んだ。
「ん? 何だお前達は? 見慣れない顔だな?」
「ま、待て! そこの娘はまさか、ダール国のエスタ姫じゃないのか?」
「あらぁ、私って有名人ですかぁ?」
「仮にも一国の王女様なんスから、当たり前っス」
「それにそっちの娘は捕らえていた……お前達が逃したのか?」
「貴様らにさらわれた我が妹を返してもらっただけだ!」
「ブラウ? 貴様やはり裏切ったのか!」
「元より貴様らの側に付いたつもりは無い!」
「クッ! オイ! 陛下に報告! それと増援を!」
「ハッ!」
「行かせないっスよ!」
伝令に向かった兵士を魔法で撃つロッタ。
「おっと! 危ない危ない」
ロッタの放った火球を、傍からスッと出て来た男が素手で受け止め握り潰した。
「素手であたしの魔法を? そんなバカなっス!」
「誰だ貴様は? 初めて見る顔だ」
ブラウがその男に尋ねる。
「そりゃそうだ。あんたとは初対面だからな。俺の名は超消力……ベルク王直属の親衛隊のひとりだ」
革命戦士?
「親衛隊だと? ベルク王に親衛隊が居るなど、初めて聞いたぞ」
「まあ、公にはしてないからな。オイお前達! ここは俺が抑えるから、早く陛下と他の親衛隊に報せに行きな!」
「ハッ! しかし、リキ様だけで大丈夫ですか?」
「ああ?」
兵士の言葉にイラッとした表情を浮かべる革命戦士。
「何お前、俺があんな奴等に負けると思ってんのか?」
「あ、いえ! 決してそのような事は!」
「ならさっさと行け! ぶっ飛ばすぞタココラ!」
やっぱ革命戦士じゃん。
「待つっス! 行かせないって言ったっス!」
逃げる兵士に再び魔法弾を放つロッタ。
しかし、またしても素手で魔法弾を受け止める革命戦士。
「だから! やらせねぇっつってんだろ!」
「魔法が効かない? 姫様みたいな防御魔法の使い手っスか?」
「なら、チョコが行く!」
魔法が効かないと判断したチョコが、革命戦士に突っ込んで行く。
「ランニングパーンチ!」
あんな勢い付けて殴ったら、あいつ死んじゃうかも?
勢いのまま革命戦士を殴るチョコ。
しかし革命戦士は全く微動だにせず、チョコのパンチを受け止めた。
「嘘っ? ならこれはどう?」
パンチを受け止めた革命戦士の腕を取り、投げの態勢に入るチョコ。
しかし革命戦士はピクリとも動かなかった。
「うそ〜ん!」
「バカな! 魔法が効かないのは魔法障壁で説明は付くが、チョコの並じゃ無い怪力まで防ぐのは有り得ない!」
確かにチョコのパワーが尋常じゃないのは、僕もダンジョンで目の当たりにしたから分かる。
あの巨大な石像をぶん投げるぐらいだ、ちょっと体重が重い程度じゃ防げないぞ?
となると、やはり何かの能力によるものか?
「単騎で突っ込んで来るなんて、勇敢と言うより無謀だな」
逆にチョコの腕を捻って絡めとる革命戦士。
「は、離せロリコン!」
「大人しく俺の嫁になるって言うなら、離してあげるよ」
「ヒイイイー!」
グッと顔を近付ける革命戦士に悲鳴を上げるチョコ。
「あんたー! ええ加減にしときやー! チョコを離さんかいー!」
ミントが小型の魔獣を作り、革命戦士に襲いかかる。
「オイオイ。俺の花嫁が怪我でもしたらどうするんだ」
またしても革命戦士がかざした手が触れた瞬間、魔獣が消滅してしまう。
「何やて?」
ああ、今ので確信した。
僕は革命戦士に聞こえないように、小声でみんなに伝えた。
「あいつの能力、多分相手の能力を無効にする能力、だと思う」
「能力を無効にする能力っスか?」
「おそらく、魔法であったり僕達転生者のチート能力みたいな特殊な能力を無効にする能力なんだと思う」
「何故、そう言い切れる?」
「ロッタの魔法は消えた。チョコは怪力が出せなくなった。そしてミントの魔獣はあいつに触れた瞬間に消滅した。団長さんが言ったように、ただの防御魔法ならチョコが投げれないのはおかしいし、ミントの魔獣が触れただけで消滅するのもおかしい。となると、能力そのものを消す能力と考えた方が自然だ」
「な、なるほどっス」
「確かにな……」
まあ、向こうの世界のアニメでよく見る能力だしね。




