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第31話 こんな口調、誰が考えたんだろう?

「じゃあ行くよ!」

「ああ、頼む!」

「いつでも来いですぅ」


 僕は、妹さんが居るであろう床の石を外した。

 しかし誰も落ちて来ない……


「どうした? トウカが居ないぞ?」

「いや、そんな筈は……」


 慌ててマップを確認すると、確かに穴の位置にあった光点が移動していた。


「え? 何で? 今さっきは確かに……」


 僕が不思議がっていると、穴の上から少女がひょこっと顔を出した。


「いきなり床が動いてビックリしたのデス。いったい何が……あ!」

「トウカ!」

「に、兄様? 何やってるデスか? そんなとこで……兄様モグラに転生したのデスか?」


 確かにモグラで来たけども。


「お前を助けに来たに決まってるだろう! 見張りに見つかる前に、早くこっちに来るんだ!」

「ハイなのデス」


 身軽にピョーンと飛び降りて来た少女は、かるみる隊の女子達に負けず劣らずの美少女だ。


「兄様! 無事で良かったのデス!」

「お前こそ無事で何よりだ。怪我はしていないか? 何か酷い事はされなかったか?」

「ハイなのデス。誘拐されてからずっとこの地下牢に閉じ込められてて、とても退屈だったのデス」

「そうか……それは良かった」

「良くないデス! 毎日毎日ただ食べて寝るだけで、何ひとつ遊ぶ物が無くて、すっかりひとり芝居が上手くなってしまったのデス!」


 ひとり芝居て。


「わ、分かったからもう少し小さい声で」

「何だ? うるさいぞ! またいつものひとりしば……娘が居ない?」


 見張りに気付かれた!


「何だあの穴は?」

「姫様!」

「ハァイ。スリープ!」


 エスタが穴から牢の中へ睡眠魔法を撃ち込むと同時に、僕は床の石を元に戻した。


「わぁ、穴が一瞬で。凄いのデス! あなたが床を抜いた犯人さんデスか?」


 犯人て……


「僕は長久悠遊、転生者です。僕が貰った能力で外しました」

「転生者……」


 転生者なんて聞き慣れないであろう単語を聞いても、それ程驚いた様子は無い……やはりこの娘も……


「そうなんデスね。急に床が動いたから慌てて飛び退いたデスよ」

「え? あの一瞬で?」


 いやどんな反射神経してるんだ?


「ところで兄様!」


 ブラウにグイッと顔を近付けるトウカ。


「な、なんだ?」

「見張りの兵達が話してるのを聞いたデスが、兄様がダール国を裏切ってボレアスに付いたってのは本当なのデスか?」

「ウグっ! い、いや! な、何を言ってるんだ? 俺が裏切ったのなら、エスタ姫と一緒に来る筈が無いだろう?」

「……エスタ様?」

「はぁ〜い! 呼びましたぁ?」

「ひ、姫様ぁ!」


 薄暗くてさっきは気付かなかったのか、まさかのエスタの存在に慌てるトウカ。


「姫様! 知らなかったとはいえ、ご挨拶が遅れ大変申し訳ございませんデス!」

「良いですよぉ。そんなにかしこまらないでくださいねぇ。照れちゃいますぅ」


 何故照れる?


「そっスよ。さっきまでオシッコ漏らしそうだった人に威厳なんて無いんスから」

「ギリギリ間に合ったもん〜!」


 ミントがトイレ作ってくれなかったらどうなってたか。


「あと団長さんは一度は裏切ったっスから念の為」


 あ、バラすんだ。


「オオイ! ロッタぁ!」

「なんデスとー! 兄様ぁー!」


 怒りの表情でブラウに詰め寄るトウカ。


「い、いや! それはお、お前を助ける為に仕方なくだな……」

「ぐぅ……それに関しては私の油断が招いた事なので、反省してるデス」

「いや、トウカは何も悪くない! 全ては欲にまみれたボレアスのベルク王が元凶だ!」

「でも、今こうして姫様と一緒に居るという事は、またダール国に仕えるんデスよね?」

「いんや〜、団長はんは帰ったら打ち首やで〜」

「え? 兄様……」

「いや冗談や冗談! アハハハハ!」


 タチの悪い冗談!


「……例えそういう裁定が降ったとしても、受け入れる覚悟はある」

「兄様……」

「もー! ダメですよミントちゃん! トウカちゃんを哀しませたら! そんな事には絶対させませんからねぇ! ねえ、ゆーゆさん?」


 何故そこで僕に振る?


「う、うん。多少の罰はあるかもしんないけど、命を奪うような事は無いと思う」

「次期国王のゆーゆが言うなら間違い無い」

「え? 次期国王?」


 話がややこしくなるからやめなさい!


「もう! そういう難しい話は帰ってからでいいから! それよりどうするの? トウカさんを無事助け出せたんだし、このまま引きあげても良いんじゃない?」

「いや、それではダメだ。ベルク王を倒さない限り、奴は

またすぐにダール国に侵攻するだろう」

「じゃあやっぱり暴れる!」

「なるべく犠牲は出したく無かったけど、仕方ないか……」

「速攻で玉座まで行ってベルク王をシメるっス!」

「もうそろそろ睡眠魔法の効果も切れてる頃ですからぁ、上に上がっても大丈夫ですよ〜」

「了解。じゃあ床を外すね」


 再び開けた床から、全員が侵入した。


「土龍君はどうするっスか?」

「すっかり小便臭くなってしもたからなぁ。この子は土に帰して、帰りはまた新しい子を作り直すわ」

「マーキング完了ですねぇ」


 犬か!





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わんこ姫……
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