第27話 人の話を聞かない人って居るよね?
団長の妹さん救出作戦を明日に控えた僕は、ある案を試す為雑貨屋に向かった。
営業してたら良いんだけど……
宮本商店の前に到着し、店が開いている事に僕は安堵した。
「いらっしゃ……あ! ゆーゆ君!」
「どもっス。宮本さん、ご無事で良かったです」
「おかげさまでね。ウチの店はまだ壁から離れていたから難を逃れたけど、壁の近くの家屋なんかは結構やられたらしいからねー」
「僕も見ました……でも報告によると、怪我人は多いけど亡くなった方は居ないみたいですよ」
「そうか、それは良かった。ああ、そういえば聞いたよ! 敵軍を追い払ってくれたのって、ゆーゆ君達なんだってね?」
「あ〜、ハイ。一応は……」
「ありがとうねー! おかげでこうやって無事に営業を続けられてるよ。いや、こんな大変な時に店を開けるのもどうかなとは思ったんだけど、ウチって雑貨屋だし、必要な物があるんじゃないかな? と思って営業する事にしたんだ」
「みんな助かると思います」
そして僕も助かるのだ。
あ、でもこんな時にゲーム機買ったら、不謹慎って思われるだろうか?
いやしかし、これは明日の戦いに必要になるかもしれないからね、うん。
「さあ、ゆーゆ君。今日は何をお求めかな?」
「あ、そのぉ……」
僕が買ったゲーム機はカラーバリエーションがあって、ホワイト、グレー、ブルー&レッドの3パターンである。
僕はホワイトのを買ったので、とりあえず他の2色を買う事にした。
「同じゲーム機を2台? 誰かにプレゼントするのかい?」
「あ〜、まあ、ね……」
2台とも僕のですけどね!
別にお金がいっぱい有るから、無駄な贅沢をしている訳では無い!
僕のチート能力の実験の為である。
もしも僕の能力が持ってたゲーム機では無く、僕自身に付与されているのなら、同じゲーム機を何台か持ってそれぞれに違うソフトを挿せば、同時に違う能力を使えるかもしれないのである。
「ありがとう! また来てね〜!」
本当はソフトの数だけ本体を買いたかったけど、効果が無かったらそれこそ無駄な買い物になるので、とりあえず色違いの本体だけを買う事にした。
もし効果があったら、改めて買いに来よう。
勿論、全部誰かにプレゼントする為って言って。
城に帰って来た僕は、早速購入した本体にソフトを挿して起動してみた。
効果が分かりやすいように、FE、マイクラ、なのか、の3本である。
まずはFEの装備を装着したままマップを表示して部屋の壁に手をかざすと、マップが表示されたままちゃんと壁がブロック状に変化した。
「おおおー! これ、イケるんじゃね?」
そして、明らかに見た目が変化する魔法少女を試す。
「メタモルフォーゼ!」
FEの装備は消滅したが、ちゃんと魔法少女に変身する事が出来た!
「いよっしゃー!」
僕はガッツポーズをした。
でもそっか……装備とかはどうしても後から発動した物に上書きされちゃうのか。
でもマップは表示されたままだし、壁もブロック状になったままだ。つまり併用可能な能力なら同時に発動出来るって事だよね。よしよし、この差はデカいよ!
うん、ならば本体をあと5台買って、全部にソフトをセットしよう!
そうすれば無限の可能性が広がる!
そんな事を考えていると、誰かがドアをノックした。
「ゆーゆ、居るか? 俺だ、ブラウだ。少し話たい事がある、入るぞ!」
「え? あ、ちょっと待っ……」
まだ魔法少女のままなんだけどー!
止める間も無く、ブラウが部屋に入って来た。
「あ!」
「あ!」
「す、済まん! 着替えてる途中だったか?」
「ああいや! 別に大丈夫ですから!」
慌てて部屋を出て行こうとするブラウを引き止める。
「少女の姿に戻っていたんだな? 貴様が女であった事をつい忘れて、無神経に部屋に入ってしまった……許せ」
え? この人、まだ僕が女の子だと思ってんの?
「いやいや、だから僕は女じゃ無いですから!」
「あ、ああそうだったな……だが俺の前では男の振りをしなくても良いんだぞ?」
はあ? 俺の前ではって何だよ?
「だから〜」
いや……今この人に何言っても通じない気がするからやめとこう……
「それで? 話したい事って何です?」
「あ、ああそうだったな。実は……陛下には話していない事があるんだ」
「え? まさか妹さんの話は?」
「いやいや! 妹が人質に取られているのは本当だ!」
「じゃあ何が?」
「俺が裏切ろうとしたもうひとつの理由……それはゆーゆ、お前なんだ……」
「へ?」
いやいや、また何言っちゃってるのこの人?
僕はこの世界に来たばっかで、あんたとも殆ど絡んで無いんですけど?
「この事は誰にも言わないでほしいんだが……俺はエスタ様が好きだ! 王女と臣下という関係では無く、ひとりの女性として愛している!」
「はいい?」
支離滅裂!
いやもうこの人、来てからずっと暴走しっぱなしなんですけどー?
誰か助けてー!




