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第26話 何事も練習は必要だね

「さて……それではブラウよ。何か弁明する事が有るなら言ってみよ」

「……」


 しかしブラウは何も言わず俯いたままだ。


「どうした? 何も無いと言うのであれば、本当に極刑にせねばならんぞ?」


 とても悩んだ表情のブラウがようやく口を開く。


「へ、陛下! こんな事を頼める立場で無い事は重々承知しておりますが……どうか妹を! 私の妹を助けて頂けないでしょうか?」

「妹じゃと? ん? しかしお前の妹は確か、10年程前に病で亡くなった筈じゃが?」

「ヴィオラお姉ちゃん……」


 エスタが何か呟いた。

 

「た、確かに実の妹のヴィオラは10年前に亡くなりました……しかしそのすぐ後、戦場で身寄りの無い少女を保護し、私が引き取り、妹として今まで共に暮らしておりました」


 団長さんって、確か今ハタチって聞いたから10年前だと10歳だよな〜?

 じゃあ10歳でもう戦場に出てたって事?

 凄いな……


「ほう? それは初耳じゃのう?」

「あ、あらぬ誤解を生むと思い、言い出せずにいました。申し訳ございません! そ、その娘はその時、ヴィオラと同じ6歳で……」

「ロリコンっス」

「ロリコンやな」

「ロリコン〜」

「そうか……お前はロリコンであったか」

「だから言いたくなかったんです!」


 そりゃこの連中にかかったらイジられるよね〜。

 10年前に6歳って事は、今は16歳か?


「そ、その娘はヴィオラと瓜二つの顔をしていました」

「何……じゃと?」


「私も自分の目を疑いました。まるで亡くなった妹が生き返って来たのかと思う程に……」


 え? それって、まさか……


「ふむ……じゃがいくら似ているからと言って、引き取って妹にすると言うのは……」

「その当時騎士団員としての収入は有りましたが、私自身もまだ子供であったし、勿論最初は孤児院に預けようとしました! しかしその娘、トウカは、私から離れる事を激しく拒んだのです。日を改め何度説得して連れて行こうとしても、その度に泣きじゃくって嫌がるのです。それで結局……」

「お前が引き取った、と言う訳か……」

「はい……」


「ふむ……おおよその事情は分かった。して、その妹を助けてくれと言うのは?」

「はい……私の妹トウカは、ボレアス国にさらわれました。そして、妹の命を助けたくば国王を暗殺しろと……」


 そっか……妹さんを助けたくて裏切った……いや、裏切ろうとしたのか……

 

「妹が誘拐されたのはいつじゃ?」

「一週間前です」


 僕がこの世界に来る前か……


「今は、妹は無事なのか?」

「ボレアスの地下牢に幽閉されている事は確認しました。しかし、私が敗れた事がボレアス王に知られれば、妹はどうなるか……」

「そうであったか……」


「ボレアス許すまじっス!」

「何て卑怯な奴らや! こら、いてまわなあかんな!」

「いてまう!」

「そのトウカって人、ヴィオラお姉ちゃんに似てるなら会ってみたいですねぇ」

「ゆーゆは、どう思う?」

「え?」


 いきなり僕に振るの?


「だ、団長さんが裏切ろうとしたのがその妹さんの為だって言うなら、何とかして妹さんを助けてあげたいです」

「ゆーゆ……」

「ふむ……次期国王がそう言うのならば、救出作戦を決行せねばならんな」

「陛下……」


 次期国王ゆ〜な!


「ボレアスの馬鹿国王め、いきなり攻め込んで来た上にワシの可愛い臣下を脅してワシの暗殺まで企ておって! いくら温厚なワシでもこのまま見過ごすつもりは無かったかんじゃ! いっそ全軍を持って攻め滅ぼすか? どう思う? ゆーゆよ?」


 だから、何でいちいち僕に聞いて来るの?


「いや、確かにボレアスのやった事は許せませんが、全面戦争となればまた無駄に血が流れてしまうので、攻めるのであれば少数精鋭で団長の妹さんを救出して、玉座さえ抑えてしまえば勝ち……ではないでしょうか?」

「ふむ……そうじゃな。ボレアスの民も王の圧政に苦しんでいると聞く。兵達も命令で仕方なく攻めて来た可能性が高いし、ゆーゆの案で行くとしよう。では選抜隊には、かるみる隊の5人と、案内人としてブラウの同行を命じる!」


 かるみる隊の名前が、早くも浸透してるんだけど?


「え? ちょっと待ってください。かるみる隊の5人って、まさか姫様も行くんですか?」

「エスタもかるみる隊なんじゃから、当然じゃろ?」

「いやでも、一国の王女様が攻撃隊に参加するのは危険では?」

「心配いらん。エスタの治癒魔法と防御魔法の強さは、国中探しても右に出る者はおらん。仮にお前達が全滅したとしても、エスタだけは必ず無傷で帰って来るじゃろう。ワハハハ!」


 そりゃ確かに、あの魔獣のブレスを完全に防ぎきったのは凄かったけど、王女様が前線に出るってのもな〜。


「まあ、お前達の強さはワシが1番よく知っておる。何も心配しておらんよ。ちゃっちゃと行って、ちゃっちゃと助けて、ちゃっちゃと攻め落として来い」


 ノリが軽い!


「ではどうするゆーゆよ? すぐに出立するか?」


 いやだから、何で毎回僕に聞いて来るの?


「……いえ、ダンジョン攻略からすぐに防衛戦に突入してみんな疲れています。今日はゆっくり休んで明日の早朝に出発、ではいかがでしょうか?」


 その間に雑貨屋行って、例の案を試したいしね。


「ふむ……ゆーゆがそう言うならそうしよう。かるみる隊とブラウの6名は明日の早朝に出立せよ! それまでに各自、準備を整えるように!」


「はい!」

「は〜い!」

「了解っス!」

「うん」

「よっしゃやったるで〜!」

「陛下……感謝いたします……」


 あれ? これもしかして、王になる練習? みたいな事やらされてる?






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外堀をブルドーザー出埋められてる( ˘ω˘ )
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