第25話 ババ抜きじゃないんだから
完全に観念したブラウを連れて、僕達は城に帰還した。
「オイ! 何故裏切り者の俺を拘束しない?」
「ん? ん〜」
そうなのである。
僕が先頭を行き、その後ろにブラウ。ブラウの両斜め後ろにチョコとミントが付いて来る並びである。
「なんとなく?」
「ふざけるな! いくらダメージを負っているとはいえ、貴様らの隙を見て逃げ出す余力ぐらいは残っているぞ!」
「ん〜でもあんた、逃げないでしょ?」
「な、何を根拠に!」
「だって……僕がさっき、あんたをどうするかの最終判断は王様にしてもらうって言った時、特に驚きもしなかったよね?」
「それが何だと言うんだ?」
「おかしいな〜? 確か王様って、あんたが殺したんじゃ無かったっけ?」
「ウグっ……」
「あんた……王様が、ミントの作った人形だって気付いてたよね?」
「そ、それは……」
「ホンマかいなブラウはん? う〜ん、そんな簡単に気付かれるようではアカンな〜、もっと精度上げな」
「さっきだって敵軍がみんな撤退して行くのに、あんただけがわざわざ残って一騎討ちを挑んで来たし、どうも僕にはあんたが本気で裏切ったようには思えないんだよなぁ。何か事情が有るんじゃ無いの?」
「そ、そんなものは……」
て言うか実は、一騎討ちの後ソフトをFEに変えて敵が残っていないか調べた時、既にブラウの光点が敵を表す赤色から味方を表す青色に変わってたんだよね〜。
なので少なくとも今は、ブラウは僕達に敵対する意思は無いと確信しているのである。
それに、町の人達はブラウが裏切った事は知らないから、わざわざ拘束して見せびらかすのも何かイヤだったしね。
後の処遇は王様に決めてもらうけど、まさかいきなり処刑なんて事は無いと思う……多分……
帰り際に、壁の所に居たエスタ達と合流した。
「ブラウ……」
「姫、様……」
うん。お互い気まずいよね〜。
「ああー! 裏切り者がどのツラ下げて帰って来たっスかー!」
全く空気を読まないお前は凄いよ。
街に入ると、国民達が声援を送って来る。
「ああ! 姫様ー! 団長さーん!」
「敵軍を追い払ってくれたんですねー! ありがとうございますー!」
「いや、俺は……」
またまた気まずそうなブラウ。
「今は国を守った英雄って事で良いんじゃない?」
「ゆーゆ……」
みんなが笑顔で民衆に手を振って応える中、複雑な表情で手を振っているブラウ。
まあ、これも罰として耐えてもらおう、うん。
そして僕達は、ブラウを国王に引き合わせた。
「ブラウ……」
「陛下……やはりご無事でしたか……」
「フッ。分かっておったくせによく言う」
ふたりの間に重たい空気が流れる。
「覚悟は出来ている、という顔じゃな?」
「はい……」
「では、お前の処遇を言い渡す」
もう! こんな重い空気ヤダ!
早くビンタ一発で許してあげて〜!
「王国騎士団団長ブラウよ! お前を第一級反逆罪の罪で死刑とする!」
「うおおーい!」
いやいや、何言っちゃってんのこの王様?
「何じゃゆーゆよ? ワシの判断に文句でも有るのか?」
「そりゃ有るでしょお! いくら裏切ったとはいえ、何も殺す事は無いでしょー!」
「しかしこやつは王であるワシを殺そうとしたんじゃぞ? これ以上無いぐらいの重罪じゃ」
「いやでも、それはミントの作った人形だった訳だし、団長だって分かった上でやったみたいだし!」
「ふ〜む、困ったのぅ。ワシの判定が気に入らんと言うのなら、誰かワシに変わって国王をやってくれるなら、そやつの判断に委ねるんじゃがのう?」
「んなっ!」
国王がわざとらしく僕の方を見てくる。
「ぐぬぬぬぬ……ひ、姫様!」
「私は王様はやりませ〜ん」
両手で大きなバツを作り、全力で拒絶するエスタ。
「だ、団長さんが処刑されても良いの? 長年一緒に居たんでしょ?」
「そりゃあ私だってブラウを助けたいですよぉ。だからぁ、ゆーゆさんが王様やってくれたら、全て丸く収まりますぅ」
いやそんな、学級委員長を決めるみたいな軽いノリで!
「さあ、どうする? ゆーゆよ」
「ゆーゆさんお願ぁい」
「ゆーゆさん、観念するっス」
「ゆーゆ、往生際が悪い」
「男ならビシッと決めんかい!」
こいつら寄ってたかって〜!
「ちょおっと待ったー!」
僕は手を広げてみんなを制止した。
「何か勝手にどんどん話が進んでるけど、まずは団長さんの事情を聞いてみようよ! 長年この国の為に働いてた人が、何の理由も無しに裏切ったりはしないでしょー?」
「ん? 当然そうするつもりじゃが?」
「え? じゃあ何でいきなり死刑だなんて……ああ!」
そう言ったら、僕が団長さんに同情して王位を継ぐかもとか考えてたんじゃ?
僕は国王をジッと睨みつけた。
ゆっくりと顔を背ける国王。
やっぱりかー!




