第22話 初陣でまさかの……
チーム名も決まり、いよいよ戦闘を開始する我らがかるみる隊。
「さあ、それじゃあかるみる隊としての初陣っスね!」
「派手に行こうやないか!」
「ようやく思いっきり暴れられる……あ、でも次期王様のゆーゆを守りながら?」
次期王様ちゃうわ!
「能力の事もだいぶ分かって来たから、守ってもらわなくて大丈夫だよ」
「ん。じゃあ気にせず行く」
「あたしは姫様を護衛しつつ、ここから遠距離魔法で援護するっス」
「怪我したらすぐ帰って来てくださいねぇ。即効で治して戦場に送り返しますからぁ」
ブラック企業!
さて……雑魚が相手となると、やはりあのソフトだよなぁ?
僕はソフトをマイクラから無双シリーズの最新作、異世界無双に切り替えた。
このソフトはワラワラと湧いて来る無数の敵を薙ぎ払って倒して行く爽快なゲーム、無双シリーズの最新作で、文字通り主人公を含めた仲間達が異世界で無双するゲームである。
だがさすがに現実で大虐殺はしたく無いので、武器が比較的殺傷能力の低い棍を使うキャラにした。
こちらの準備が整った頃、敵の先鋒からの弓と魔法による攻撃が始まった。
それに対抗するように騎士団の反撃が開始される。
「始まったっスね。ではみなさん! 各自気を付けるっス!」
「ああ!」
「うん!」
「任せときぃ!」
「みなさんに幸運を〜」
そうして僕、チョコ、ミントの3人は前線に向かった。
そういえば王様が僕達を後方に配置するとか言ってたけど、そんなのは気にしない。
戦場にあっては常に臨機応変である。
「死なない程度に食らうっス! メテオレイン!」
敵集団の頭上より、無数の隕石が降り注ぐ。
「グワアアー!」
「なんだこの広範囲な魔法はー?」
僕は敵が動揺している中に飛び込み、次々と敵兵を薙ぎ倒していった。
「グワァ!」
「な、何だこいつひとりだけで?」
「だがめちゃくちゃ強えぇ!」
「何やってる! 相手はたかがガキひとりだろ? さっさとやっちまえ!」
そんな声もお構い無しに、僕は突き進んで行った。
しかし、これだけ激しく動き回ってるのに全く息切れもしないのは、やはり能力のおかげなんだろうなぁ。
正に無双だがゲームと違う所は、当たり前だが僕が倒した大量の敵兵がそのまま残っている事である。
これ、もし武器が普通に刀とかだったら、大量の死体の山が出来てたかと思うとゾッとするな。
少し離れた所では、同じくチョコが無双していた。
「こ、こんな武器も持ってない子供に何で勝てないんだああー!」
「子供だからって遠慮すんな! 全力で倒しに行け!」
「ブゥー! チョコは子供じゃ無いもん!」
完全武装した無数の大人達を素手の小学生女子が殴り倒して行く様は、僕以上に異様な光景だった。
うん。あれは敵もパニクるよね。
更に別の場所では、自分で創り出したであろう兵士を周りに配して悠然と敵の中を歩くミントが居た。
「オラオラオラー! ウチに触るとヤケドすんでぇー! まあ触りとぉても触れんやろうがなー!」
戦い自体は創った兵士にやらせて、ミントはただ見ているだけだった。
あ〜。つまりジ◯ジ◯で言うスタンドを大量に操ってるみたいなもんか〜。
僕達前線の3人が無双する中、程良いタイミングでロッタの遠距離魔法の援護もあり、あっという間に敵の前線は総崩れとなった。
「な、何なんだこの3人の異常な強さは?」
「進行どころか前線、維持出来ません!」
「グウ……こ、こんなバカな……な、ならばそいつらに構わず、穴の空いた箇所から侵入して城を攻め落とせ!」
「そ、それが……」
「どうした?」
「先程から壁の穴を探しているのですが、どこにも見当たりません!」
うん。僕が直したからね。
「バカな事を言うな! 壁に穴を開けたのはついさっきだぞ! こんな短時間で壁の修復など出来る訳が無いだろう! もっとよく探せ!」
「ハ! ハイ!」
ところが出来たんだな〜これが。
「数十名で探しましたが、や、やはり見つかりません!」
「……バカな……いったいどうなっている?」
敵の中に、明らかに動揺が広がっていた。
「グウッ! な、ならば魔獣部隊を出せ! 穴が無いならもう一度空けてやれば良い!」
何ですと〜?
敵軍の後方より、巨大なドラゴンタイプの魔獣が数体現れた。
「何やぁ? アイツが壁に穴ぁ開けたんか〜! ほな、いてまわなあかんなー!」
「うん。いてまお〜!」
また穴を開けられたら面倒な事になる。
今の内に仕留めないと!
「でも今の装備では火力が弱いしな〜。やはりアレを出すしか無いか……イヤだけど」
今回、新型ゲーム機と共に買った全ローンチタイトルの中で、唯一買うのを躊躇った……そして未だに実戦で能力を使った事の無い最後のタイトル……《魔法少女リリーなのか》である。
このソフトは、同名のアニメをゲーム化した物で、主人公の女の子が魔法少女に変身して敵と戦う、まあよくあるタイプのアクションゲームである。
しかし実際試した感じ、魔法少女が使う必殺技の破壊力は、おそらく今まで使って来たどのゲームのキャラの技よりも強力だと思う。
ダンジョンの石像を相手にした時は、そのあまりの破壊力にダンジョンが崩れるのを恐れて使わなかった。
いや、正直今まで使うのを躊躇っていたのは、それだけの理由では無い……それは……
僕はソフトを差し替え、叫ぶ!
「メタモルフォーゼ!」
僕の身体がアニメの演出のようにシルエットとなり、身体の各部位に衣装が装着されて行く。
そして再び姿を現した僕は何と、魔法少女の衣装を身に纏っているのは勿論、肉体の姿形までもが完全に少女へと変わっていた。
「ええー! ゆーゆが女の子になった?」
「ゆーゆはん? どないなってんねん?」
近くに居たチョコミントが驚いている。
そうなのである。
このソフトを起動して変身すると、何故か服だけで無く肉体そのものまで完全に少女に変わってしまうのである。
他のソフトでは、キャラをプロレスラーにしたからと言って、そのキャラのように筋骨隆々になる事は無かったのに、このソフトだけは肉体までもが変わってしまうのである。
おそらくだが、変身自体がゲーム内容に大きく関わっているからだろうと、自分なりに考察してみた。
そんな僕の姿を、遠くで見ていたらしいエスタとロッタも驚いていた。
「ええ! ゆーゆちゃん可愛い〜!」
「ゆーゆさん! 実は女の子だったんスかー?」
な訳あるか!




