第18話 王族を助けて礼はいらないとか言う奴は信用できない
FEを起動して、改めて敵が居なくなった事を確認する。
「うん、表示が無くなった。今度こそ大丈夫みたいだ」
「やりましたぁ! さあ、宝箱を開けましょ〜!」
「開けるっス!」
チョコの怪我を治療した後、楽しげに宝箱へ向かうエスタとロッタ。
その後方で僕はチョコと少し話をした。
「チョコってホントにハタチ?」
「ん〜。ちょっと定義が難しい」
「というと?」
「チョコは小さい時から身体が弱くて、殆ど外にも出られないぐらいだった。そんで結局11歳の時に死んじゃってこの世界に来たの」
そんな若さで死んだら、そりゃ未練残るよな〜。
「女神様に望み聞かれたから、怪我や病気のしない丈夫な身体が欲しいってお願いしたの」
「ふむふむ」
「そしたら……確かに病気はしないし、よっぽどじゃないと怪我もしないんだけど……めちゃくちゃ頑丈な身体になって、とんでもない力が付いて、オマケに歳もとらないみたいなの」
いや女神様やり過ぎ!
「だからチョコの指に傷を付けたゆーゆ、大したもの」
親指をグッと立てるチョコ。
「ハハ、ありがと。でも歳をとらないって不老不死って事?」
「死なないかは分かんないけど、見た目は11歳の時のまま変わって無いから多分肉体は老化してないと思う。で、こっちに来てから9年経ってるから一応ハタチって言ったの」
「なるほどね〜」
そして合法ロリが誕生した訳か。
「ゆーゆは?」
「ん? 僕はね……」
僕もこの世界に来た経緯をチョコに話した。
「そか……確かにそれは悔いが残るね」
「でしょ」
「でもゆーゆはまだ死にたてホヤホヤだから、チョコの方がうんと先輩」
「ハハ、そだね。色々ご教授願います、チョコ先輩」
「うん、任せなさい。でも敬語はいらない。壁を感じちゃうから」
「了解」
チョコとの会話が落ち着いた頃、ようやく宝箱を開けようとするエスタ。
「うんしょっと」
蓋を開くと、中には宝玉らしき玉と、その周りに眩い光を放つ金銀財宝がびっしりと入っていた。
「ま、眩しいっス! これはガチのお宝っス!」
「綺麗ですねぇ」
僕とチョコも宝箱を覗き込んだ。
「おお〜、凄い! これぞお宝って感じだな〜!」
「でもどうやって持って帰るの? チョコが宝箱ごと運んでも良いけど、凄く目立つよ?」
確かに。こんなデカい宝箱担いでたら、襲ってくださいって言ってるようなもんだ。
「心配いらないっス。ゆーゆさんが便利な能力持ってるっス」
ちゃっかり当てにされてるみたいだ。
「そりゃ無限倉庫なら楽勝で入るけど、僕が宝箱持って逃げるかも? とか考えないのか?」
「ゆーゆさんはそんな事する人じゃ無いっスよ」
随分信頼されたもんだ。
「……多分……」
自信無いんかい!
「それにゆーゆさん、この街に来てから全然お金使って無いっスよね? 結構な額持ってるのに」
「あ〜、まあ新作ソフトもまだ出てないし、住む所も食事の心配も無いから、特に使う目的が無いんだよなぁ」
「だから安心して任せられるっス」
「そか……」
まあ、何事も任せられるってのは良いもんだ。
僕は宝箱ごと無限倉庫に収納した。
「それ、良いな〜」
チョコが無限倉庫を羨ましがっている。
「その能力頂戴!」
「いや、あげられるか!」
宝箱が無くなったからか? 重量を感知したのか? 宝箱が置いてあった後ろの壁が開き、上へ上がる階段が現れた。
「お〜、出口出たっスね。これで壁を壊さなくて済んだっス」
「そうですねぇ、じゃあゆっくりのんびり帰りましょ〜」
「姫様はすぐボタン押すから、先頭歩いちゃダメっス」
「ぶ〜! 目的は達成したから、もう押しませんよぉ」
うん。賢明な判断だ。
長い階段を上がると、僕達は難無く地上に出る事が出来た。
「出られたっスー!」
「シャバの空気は美味しいですねぇ」
出所したての囚人か!
外に待たせてあった馬車に乗り、城へ帰還しようと動き始めた直後、僕達は謎の一団の襲撃に遭った。
「ようお前ら! あっちから来たって事はあのダンジョンから出て来たんだよなぁ? だったら見つけたお宝全部出しな!」
はあ……またトラブルか……
やれやれと言った感じで僕とロッタが出ようとすると、チョコが名乗りを上げる。
「みんなは座ってて。チョコが行く」
「良いんスか? まあチョコさんなら心配いらないっスが」
「次期王様の前で株を上げるチャンス!」
再びグッと親指を立てるチョコ。
うん。正直でよろしい。
「殺しちゃダメだぞ〜」
「目一杯手加減するから大丈夫」
単身馬車の外に出るチョコ。
僕達は馬車の中から外の様子を覗き見る。
「ああ? 何だこのガキ? ぶっ殺されたいのか?」
「いや待て! 中々の上物だ。これなら高く売れるぞ!」
「オイ! 俺達の依頼は……」
「まあ良いじゃねぇか。こっちだって命がけなんだ、少しぐらい美味しい目にあってもよぉ」
「ま、まあそれもそうか」
何だか勝手に意味深な事を喋ってくれてるな。




