第15話 やはりロリキャラは必要!
「早く外に出るっス!」
「ダメだ! ドアが開かない!」
慌てて外に出ようとしたが、当然のごとく入って来たドアはびくともしなかった。
ゲームやドラマだと、どこかに停止スイッチがあったり秘密の抜け穴があるもんだけど……
「ヴァルト!」
ロッタが叫ぶと、床から無数の木が生えて来て天井を支える。
さすがは自分で天才魔法使いと言うだけの事はある。
色々出来る娘だ。
「長くは保たないっス! 今の内に脱出方法を見つけるっス!」
「分かった!」
とは言ったものの、どうする?
一緒に天井を支える? いや、仮に操作キャラをプロレスラーにしたとしても、あくまで技が使えるだけで、僕自身がマッスルボディになる訳じゃ無い。
壁を壊す? いや、そんな事したらこの部屋諸共崩れる恐れがある。
やはりここは正攻法でドアを開けるか⁉︎
僕はソフトをぷよリスに切り替えて、ドアの前に立った。
ドアの前の空間にパズルが現れる。
素早くそのパズルを解くと、アッサリとドアが開いた。
「開いたぞ! 2人共早く外に……姫様は?」
「え?」
後ろを振り返った時、そこに居る筈のエスタの姿がどこにも無かった。
「さっきまでそこに居たっス! 何で居ないんスか?」
こっちが聞きたいよ。
いくら天然さんだからって、姿を消すなんて出来る訳が……
エスタが居ない事に集中力が切れたのか、ロッタの魔法が不安定になり、動きを止めていた天井が再び下がり始めた。
「しまったっス!」
そんな時、開いたドアから突然誰かが中に入って来た。
「え⁉︎」
その人影は、地上1メートルぐらいまで下がった天井を、素手で軽々と持ち上げあっという間に空間が広がった。
「す、凄い! てか誰?」
何とその人影は、どう見ても小学生ぐらいの少女であった。
「な、何でこんなとこに子供が? てか凄い力!」
色々な事が起こり過ぎて思考がフリーズしていると、聞き慣れた声が僕達を呼んだ。
「ゆーゆさ〜ん! ロッタ〜! ん? それと見知らぬ女の子〜! こっちこっち〜!」
「姫様⁉︎ いったいどこから?」
いきなり開いた奥の壁から顔を出したエスタが、僕達を手招きしている。
「姫様! 無事だったんスね? 良かったっス!」
「事情は後で話しますからぁ、早く〜!」
「そ、そうっスね! ゆーゆさん! そ、それと見知らぬ少女! あたしが抑えてる間に姫様の所に!」
「チョコは大丈夫。ふたりが先に行って……」
「え、でもっス⁉︎」
「ずっと手を上げてるの疲れるから、早く行って……」
いや、ずっと無表情なせいか、全く辛そうに見えないんだが?
「わ、分かったっス。じゃあゆーゆさん、先に行くっス!」
「あ、うん。でも出口じゃ無くて姫様の方で良いんだな?」
入って来たドアは開いたから、今なら脱出出来るが?
「姫様の居るとこが目的の隠し部屋の可能性が高いっス! ここまで来たなら試練をクリアしたいっス!」
「分かった!」
ロッタが意外にちゃんと考えてるのには感心した。
女の子2人を残して男の僕が先に逃げるのも気が引けるけど、変に時間かけるとふたりに余計な負担かけるしな。
僕は素早くエスタが待つ部屋に入った。
次にロッタが、そして謎の少女がバンザイの格好で天井を支えながら、ゆっくりとこちらに歩いて来る。
そして部屋の寸前まで来た時、少し腕を縮めてから一気に天井を跳ね上げ、その隙にヒョイっと部屋に入って来る少女。
「ホイっ!」
少女が部屋に入った直後、さっきまで居た部屋の天井が一気に床に落ち、激しい音と砂煙を上げた。
「あんな重い天井を軽々と……何なんだ君は?」
「ん? チョコは森永チョコだよ」
え? 森永チョコ?
この娘、森永製菓の広報か何か?
「えと……森永のチョコが好きなの?」
「ブー! 違う! 森永チョコじゃ無くて、森永千夜子!」
「あ、ああ、名前か。森永千夜子、ちゃん?」
「うんそう。でもチョコで良い」
完全に分かった上でネタにしてるよな?
てか、森永って完全に日本名……じゃあこの子も?
「僕は長久悠遊」
「長久悠遊……じゃああなたも?」
「うん。日本人の転生者だ」
エスタ達に聞こえないよう、お互い小声で自己紹介をする。
「そう……よろしくね、ゆーゆ」
いきなりあだ名呼び!
「ちょっとちょっと! 何ふたりでコソコソ話してるんスか? あたし達にも自己紹介させてほしいっスよ!」
「大丈夫。そっちのふたりの事は良く知ってる。エスタ姫に親衛隊のロッタ」
「え? あ、そうっス」
「私達も有名になりましたねぇ」
いや、仮にも王女様なんだから、そりゃあ知ってるだろう。
「とにかく、チョコさんのおかげで助かったっス! ここを無事に出られたら、お城まで来て欲しいっス! 王様から報酬が出る筈っス!」
「うん、ついてく」
「それにしても、チョコたんは力持ちですねぇ? まだ子供なのに」
しょこたんみたいな呼び方!
「ん〜? チョコはこう見えても、ハタチなんですけど?」
いや、どこかのエロマンガのセリフ!




