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第14話 ダンジョンの落とし穴はトラウマ

 余興? が終わり、国王が本格的にみんなに話し始める。


「さて、ゆーゆの能力が有用である事が判明した所でエスタよ」

「はあ〜い!」

「お前ももう15……そろそろ王位継承の試練を受けてもらおうと思う」

「え〜! めんどくさいからヤダ〜!」

「いやまさかの反応⁉︎」

「だって私ぃ、王位を継ぐつもりなんて無いし〜」

「それは初耳なんじゃが⁉︎」


 何だか話が変な方向に行ってるぞ?


「父上がずっと王様やれば良いじゃないですかぁ」

「いや、わしだって今すぐ引退するつもりは無いが、この戦国の世、いつどうなるかも分からんのじゃ。その時に備えてちゃんと王位継承者を決めておく必要があるんじゃ」

「大丈夫ですよぉ。どんな怪我や病気だって、全部私が治しますからぁ。寿命がある限りは王様やれますよぉ」

「死ぬまで働けってか⁉︎」


 姫様、意外と頑固なのね。


「と、とにかく! これは命令じゃ! お前が王になりたく無いと言うのなら、伴侶を見つけ、その者に王位を継がせれば良かろう!」


 伴侶……結婚相手って事か?


「ぶぅ〜! 横暴です〜! 職権濫用です〜!」

「ええい! これは決定事項じゃ! 異論は認めん! 護衛としてロッタとゆーゆを連れて行く事を許可する。準備が出来次第、明日にでも出立するのじゃ!」

「お待ちください国王!」


 いきなり割って入って来たのは、すっかり存在を忘れていた騎士団団長のブラウだった。


「何じゃ、ブラウよ?」

「何故姫様の護衛にそんな素性の分からない男を付けるのですか? 護衛なら私が!」

「お前には城を守るという大事な使命があるじゃろう?」

「しかし!」

「何と言おうと、この決定に変更は無い! これで解散じゃ!」

「クッ!」


 悔しそうなブラウを他所に、僕は部屋に戻り準備を始めた。

 え? 何故そんなに落ち着いてるのかって?

 この展開になる事は、さっき王様から聞かされていたからである。

 しかし、エスタの王位継承の試練はガチらしいので、マジメに護衛せねば。


 そして翌朝、エスタ、ロッタ、僕の即席パーティーは、試練の為に国の領土の端にあるダンジョンに向かった。

 そのダンジョンの地下10階にある、王族だけが入れる隠し部屋から宝玉を持ち帰れば成功らしい。

 ダンジョンなら、マップが自動生成されるシミュレーションRPGが向いてるだろうから、僕はファイターエムブレム をゲーム機にセットしてダンジョンに臨んだ。


「ゆーゆさん、マップはどうっスか?」


 移動中は特に何も出なかったが、ダンジョンに入った瞬間から視界の端には、このダンジョンの全体図と思われるマップが表示されていた。


「うん。ちゃんと出てるよ」

「そっスか。それなら道に迷う事も無いっスね」

「う〜ん、でも分かんないよ? この前は城の中だったから特に何も無かったけど、ダンジョンなら罠とかもあるだろうし、果たしてそんなのまで全部表示されるのかどうか……」

「確かにそうっスね〜。姫様、どこに罠があるか分かんないから、むやみに壁のスイッチとか触っちゃダメ……」

「え?」


 ロッタが言い終わる前に、エスタの指は既に壁のスイッチを押していた。


「姫様……」

「だってぇ〜。スイッチがあったら押したくなるでしょぉ?」


 ゴゴゴと音を立て、目の前から通路いっぱいの巨大な鉄球らしき物が転がって来た。


「い、一時退却っスー!」


 古典的!


 僕達はまだダンジョンに入ったばかりだった事もあり、一旦外に飛び出した。


「ハアッハアッ! ま、まさかこれで攻略失敗なんて事にはならないっスよね〜?」

「大丈夫ですよぉ。試練は失敗しても何度でも挑戦出来るみたいですからねぇ」

「ゴメン。やっぱり罠の位置までは分からないみたいだ」


 そりゃゲームで罠の位置が全部丸分かりだと、意味無いもんなぁ。


「でも入口塞がれちゃったっスよ? どうするんスか?」

「ロッタの魔法で鉄球壊せないの?」

「そんな破壊力の魔法なんか使ったら、ダンジョン自体が崩れちゃうっスよ」

「それもそっか……」

「み〜んな〜! こっちだよ〜!」


 僕とロッタが悩んでいると、いつの間にかどこかに行っていたエスタが別の入口を見つけて来た。


「こんなとこにも入口があるんスね」

「ンフフ〜」


 得意気にしてるけど、そもそもあなたが原因で入口塞がったんだからね!


「姫様! 今度は壁の怪しいスイッチは押しちゃダメっスからね!」

「はあ〜い」


 僕達は再びダンジョンに挑んだ。

 そして殆ど進まない内に、エスタが床のスイッチを踏んでいた。

 いきなり床が大きく開き、3人を飲み込んだ。


「姫様ー!」

「壁のスイッチは押して無いもん!」

「床もダメっスよ!」


 落下しながらエスタにクレームを入れるロッタ。

 かなり下まで落とされたが、ロッタの風魔法によりフワリと着地出来た。


「結構落ちて来たっスが、今何階層ぐらいっスか?」

「ちょっと待って」


 マップを確認すると、マップの上の方に地下10階という表示があった。


 まさかのショートカットである。


「地下10階みたい……」

「ほらぁ、落ちて正解だったじゃないですかぁ」

「完全なる偶然っスよ!」


 いやでも、鉄球が原因で通常の入口が使えなくなって、そしたらエスタが別の入口を見つけて来て、また罠にハマったと思ったら結果的にゴール目前まで来たし、しかもダンジョンなのにモンスターに全く遭遇しなかった……偶然にしては出来過ぎてるし、もしかしてこれってエスタの幸運スキルとかなのかも?


「ゆーゆさん、隠し部屋の位置は分かるっスか?」

「あ、うん。この先に大きな部屋があって、その奥に扉は無いけど謎の空間があるから、多分そこだと思う」


 その広い部屋に入った瞬間、エスタがつまずいて転んだはずみで、床のスイッチを押していた。

 ゴゴゴと激しい音を立てながら、天井全体がゆっくりと降りて来る。


 うん。幸運スキルより天然スキルの方が上回っているようだ。


「ひ〜め〜さ〜ま〜!」

「い、今のはわざとじゃ無いも〜ん!」




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― 新着の感想 ―
> 伴侶を見つけ、その者に王位を継がせれば良かろう! 察し
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