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第13話 宝は何も無かったってオチは嫌い

 雑貨屋を後にした僕達は、どこかの店で昼食を取ることにした。


 またエスタのひとりコントが見れそうだ。


 今回はまだ新作のソフトは出てなかったので僕は何も買わなかったが、有力な情報を色々と得る事ができた。

 やはりこの世界には僕と同じように、現世で未練を残して死んで転生した人達がたくさん居るらしい。


 もう何年、何十年前に転生した人達の子孫はそれ程では無いが、まだ転生したてホヤホヤの人達は僕や店主みたいに何らかのチート能力を有しているらしく、それを世の為人の為に使っている人は良いが、中には能力を悪用している人も居るから気を付けるように言われた。


 あまりバトル展開にはなりたくないな〜。

 僕はただゲームをやって楽しく過ごしたいだけなんだから……


 そんな事を考えながら歩いていると、何だかとても高級そうなレストランに到着した。


 うわ〜、見るからに高そ〜。


「大丈夫ですよ〜、ゆーゆさん。お金は全部私が出しますから、遠慮なく頼んじゃってくださいね〜」


 不安そうにしてるのを、エスタに見透かされたらしい。

 そりゃあこんな超高級レストラン、行った事ある訳が無い。


「いらっしゃいませ姫様。いつものVIPルームへどうぞ」

「ありがとうございますぅ。」


 こんな超高級レストランでVIP扱いか……

 エスタがお姫様だって、改めて実感するなぁ。


 僕達は奥の完全個室に案内された。

 メニューの値段を見てウッとなったが、ごちそうしてくれるのならお言葉に甘えよう。

 そして巨大な円卓に、大量の料理が運ばれて来た。


 いつも思うけど、こっちの人達ってめっちゃ食べるよね。

 まあご飯が食べられるのは健康な証拠だし、良しとしよう。うん。


 ある程度食べ進めた後、エスタがコップに水を入れようとしていた。


「ああ、姫様! あたしがやるっス! 姫様は大人しく座ってるっス!」

「ブー! お水を入れるぐらい出来ますよ〜だ!」


 強引に自分で水を注ぐエスタ。

 確かにコップには水が並々と注がれた。

 コップの周りを水浸しにして。


「ほら〜! テーブルがビショビショじゃないっスか〜!」

「ちゃんと水入ったもん!」

「いや、水さえ入ってれば良いって訳じゃ無いっスよ!」


 既に大量に用意されていたタオルでテーブルを拭くロッタ。


 うん、やっぱこの店もよく分かってる。


 特に襲撃に遭う事も無く、僕達は無事に城に帰り着いた。

 帰って来て少し落ち着いた後、僕は国王に呼び出された。


 別に怒られるような事してないよねぇ?


「来たかゆーゆよ」


 部屋の中には僕と国王のふたりしか居なかった。


 まさか僕、告白でもされるの?


「実はロッタからお前の能力の事を聞いてな」


 そりゃまあ、当然報告するよね。


「それでもしやと思い呼び出したんじゃが……」


 そこで僕は驚くべき話を聞かされた。


「まさか、そんな……」

「うむ。ワシも初めは自分を疑ってみたが、結果は変わらずじゃ。そこでじゃ、例の能力を使って確認してほしいんじゃ」

「……分かりました……」

「頼んだぞ。よし! 皆の者! もう入って良いぞ!」


 国王に呼ばれ、エスタ、ロッタ、ブラウを含む臣下達がゾロゾロと入って来る。

 僕は国王に言われた通り、ファイターエムブレム を起動させた。

 確認をした僕は国王を見て頷いた。

 それを見た国王はしばらく目を閉じた後、臣下に声をかける。


「例の物を」

「ハッ!」


 国王に命令されて、手持ち金庫ぐらいの小さな宝箱を持って来る兵士。


「この宝箱には謎の封印が施されておってな……鍵はおろか、どんな攻撃や魔法でも破壊する事が出来んのじゃ。ゆーゆよ、見事開ける事が出来たら、中身はお前にやろうと思うんだが、どうじゃ?」


 え? 誰も開けられないって事は、中に何が入ってるかも分からないんじゃ?

 ともあれ、誰も開けられないという言葉に燃える。


「や、やってみます」


 ファイターエムブレム に盗賊スキルを持ったキャラは居るが、主人公キャラはまだそのスキルは覚えてないから、さてどうしたものか?


 あ! ちょっと試したいゲームがあったんだった。


 僕はパズルゲームのぷよリスをセットした。

 このゲームは所謂落ちゲーというやつで、同じ絵柄を3つ揃えたら消えるという定番のルールである。

 今まではこのソフトをセットしていても特に何も起こらなかったが、こういうシチュエーションならもしかして……


 ソフトを起動すると、宝箱の前にぷよリスのゲーム画面が現れた。


「これを解けって事か……」


 空に浮かんだ画面を指で操作してステージをクリアすると、カチっと音をたてて宝箱が開いた。


「おおー! あの誰も開けられなかった宝箱が開いたぞ!」

「凄いっスねゆーゆさん! これならどんな金庫も開け放題じゃないっスか!」


 人聞きの悪い事をゆ〜な!


「中には何が入ってるっスか?」


 宝箱の中を覗き込むと、なんと中には大量の金貨や銀貨、銅貨が入っていた。


「凄いっス! ガチの宝箱っスよ!」

「ハッハッハッ! 良かったなゆーゆよ! 中身が空だったら申し訳無かったが、約束通りそれは全てお前にやろう!」

「ええ⁉︎ でもこれ、かなりの大金なんじゃ?」


 くれるというなら嬉しいが、正直これは多過ぎるのでは?


「構わん。どうせ誰にも開ける事が出来なかった物じゃ。ゆーゆが開けなければずっと蔵に眠っていたであろうからな」


 ホントはもっと謙虚になった方が良いんだろうが、あまり引っ張り過ぎて王様の気が変わっても困るので、ここは素直に貰っておこう!


「で、ではありがたく……」

「うむ」

「くううー! そんな大金が入ってると分かってたら、もっと必死にやれば良かったっスー!」


 ロッタがめちゃくちゃ悔しがっている。

 今度何か買ってあげよう。


 因みに後で数えてみたら、金庫の中には約500万円相当の硬貨が入っていた。


 これで現在の所持金は約600万。

 異世界に転生してひと月も経たない内に、随分大金持ちになってしまった。

 顔がにやける反面、あのキツいバイトの日々はなんだったんだろう? と少し哀しくもなった。




 

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500って数字も相まって脳内イメージは500円硬貨でザックザク
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