悪魔聖女
挿絵はカスタムキャストにて作成。
あれから更に数日後。
わたし達はお父さんの痕跡を追って旅を続けている。
知識の都への軌道修正に関しては上手く行かないので現状保留。
一足飛びでそこへ行けばいい、と言っても確実にそこにお父さんが居るとは限らない、って言われちゃったらわたしからは何も言えない………
確実にそこに居ると分かっているけど。
ね。
今のタイミングならラグのお父さんはラグのお母さんの病気を治す方法を、知識の都で調べているはず。
だからこそ知識の都を発つ前にわたし達は追いつかなきゃいけないのに………!
あぁもぅ!!神託でも予言でも出来る人が仲間になれば代わりに言ってもらえるのにっ!!
どこかに居ないかなそんな人っ!!
「は〜い♡今わたしを喚びました~?」
「………え?」
「あら?あなたはわたしと同じ気配がしますね〜?
もしや同業者の方ですか~?」
「えっ…?あの……?」
「それにしてはおかしいですね〜?予言を自分で出来る方が何故ワザワザわたしに頼るのですか〜?」
え…あの……えぇ……?
気付けば目の前に、白銀の髪、赤い瞳、大人びた顔立ちで修道服を着ているのに何故かコケティッシュ。
なのに何故かツインテール
そんな【悪魔聖女】、ジャンヌが居た。
あ、うん、原作では仲間の1人で、猫耳少女とラグが結婚する時に寿いでいた方ではあるけど。
「なっ…何で貴女がここに居るんですかジャンヌさんっ!?」
「あらぁ〜?わたしのことをご存知なのですぅ〜?
わたしも有名になったものですねぇ〜……
おねぇさんうれしい〜っ♡」
「本物も天然ですーっ!!」
…………悪魔聖女ジャンヌ。
『悪魔で聖女ですからぁ〜♡』
『あら…?そのセリフはヤバい…?はてぇ〜…?』
見た目は豊満な身体を持つ性職者とか呼ばれる様な淫靡な悪魔なんだけど、その中身は至って善人かつ無知で無垢。
性善説を地で行く様な人物…悪魔…?なのよ………
まぁ、原作でそんなジャンヌさんにすら『あらぁ〜…悲しいですけど…この方の救いは【死】しか無いようですねぇ~……』と見放されてその後アンデッド化した時に嬉々として浄化されたあの色欲勇者はどうしようもないんだけど。
まぁこの世界ではすでに死んでるからアレの事はいいか。
と言うか、悪魔さんのいきなりの登場にシャルちゃんは爪を出してわたしを庇う様に前に出て、
ラグは素早く防御術を起動していた。
そしてトワちゃんはあわあわしていた…………あ、クリスちゃんに変身したわね?
そして、クリスちゃんは皆を守る様に前に出てジャンヌさんに詰め寄ったわ。
……この天然善意100%の純情悪魔さんに対して警戒する意味は無いって伝えれる空気じゃないわよね………修道服を着ている、と言っても悪魔の羽を隠す気ゼロだもの、ジャンヌさん………
だから(無駄に)警戒心MAXなクリスちゃん達を止める手段がない………なんかごめんね?
「…その格好からして貴女は聖職者の様だが、何故悪魔族が聖職者を?
確か神聖力は貴女達には毒ではなかったか??」
「え〜?毒ぅ…ですかぁ…?
わたしは皆様の幸せを糧にする悪魔なので〜神聖力はむしろ心地良いですよぉ〜♡」
「………は?
貴女はまさか…【改心悪魔】、か…?」
改心悪魔……
悪魔の誉は罪を犯し悪行を成し快楽を享受する事。
それをしない悪魔は悪魔に非ず。
…まぁぶっちゃけ堕天使の悪魔版だよね。
そう問われたジャンヌさんは勿論嬉しそうににっこぉ〜♡と微笑んだ……可愛い。
そしてそれが決めポーズなのか、イメージで浮かべてたまんまのジャンヌさんのポーズ……前屈みしながらウィンク……をして名乗りを上げた……ノリノリね?
「はい♡
座右の銘は『一人は皆のために』!
皆様の幸せがわたしの幸せ!
不幸を蹴散らし幸せを糧にする改心悪魔♪
人呼んで【悪魔聖女ジャンヌさん】とはわたしの事ですよぉ〜♪」
ばばーん!!
と、大変可愛らしい癒し系ボイスでそんな名乗り上げをしてから両手を握りしめてのふんす顔をしているジャンヌさん。
可愛らしいわね。
そして、そんなジャンヌさんの名乗り上げを聞いたクリスちゃんは剣を収めた……うん、話が通じて何よりだし、ジャンヌさんは雰囲気通りの本物の天然ゆるふわ系悪魔さんだからまぁ良いんだけど。
……………と言うか、魔王ちゃまでもあるシャルちゃんは1度爪を出して構えていたけど、直ぐに正体がジャンヌさんだと分かって爪を収めてたし。
「…ふむ、お主は相変わらずじゃのぅ?ジャンヌよ。」
「あらぁ〜?そちらは魔王様ですかぁ〜?
ご無沙汰しております♡」
「うむ。してジャンヌよ、我が母様に何か用かの?」
「はは…?はてぇ…?
魔王様の母……?ではこちらの方は龍人の方ですかぁ?」
「うむ!」
「違いますよ!?」
「違うからね!?」
「はてはてぇ…?
あの、魔王様~?おふたりは違うと言ってますよぅ…?」
「ぬ?そうか………ならそうゆうことにしておいてやるのじゃ♪」
「上から目線っ!!」
「は?お主は(一応)父様とは言え、実際妾の立場の方が上じゃろうが?」
※魔王なので
「アッハイ。」
思わずツッコンだラグにギロリと1睨みするシャルちゃん………
ラグは流石に怯んだみたい………にしては余裕がありそうね?
やはり父親としての感覚もあるからかしら?
シャルちゃんにしても本気で殺意は向けていないみたいだし……
あ、ちなみにラグが本気で殺意を向けていたらわたしは勿論ラグの方につくよ?
圧倒的に
夫>>>>>>>>越えられない壁>>>>>娘達>ヒナさん夫婦≧その他大勢なので。
ラグと娘達が崖から落ちそうになってたらラグから助けるのがこのわたしなんで。
全員助けたくはあるけどそれとこれとは別ね。
と、それより……
「仲良しさんですね♡」
この状況でも変わらずニコニコしてる聖女様……強くないかしら??
まぁ、それがジャンヌさんクオリティなんでしょうけど。
それより、この状況どうしましょ…?
と、わたしが思案していたら、
ニコニコしていたジャンヌさんはその笑顔のまま天然の爆弾投下をしてきたのだった…!!
「ところで〜…同じ聖女であるあなたが〜なにゆえわたしに予言の依頼をしようとなさるのですかぁ〜?♪」
ピシリ。
途端に凍りつく空気。
天然であるジャンヌさんは空気を読めないから首を傾げて天然ほわほわアルカイックスマイル。
既に半分以上気付かれている(魔王であるシャルちゃんは最初から気付いていたらしい)公然の秘密レベルの話とは言え、繊細な話を平気で踏み抜くのはどうなのよ…!?
あと迂闊…!ジャンヌさんは聖女だけど悪魔族だから教会からは忌避されているけど、わたしは人間。
聖女(の上位職)だと知られたら教会から資金源かつ権威増強の為の偶像として追われる身になる。
それを避けたい意図をシャルちゃんは察し、
クリスちゃんは気付かないふり、ラグに関しては多少の違和感を感じていた程度。
そんなわたしの秘密を、ジャンヌさんは平気で暴露しやがりましたのですわ!?(混乱による謎のお嬢様言葉)
「ななななんの事でぃすかぁ〜?わたしはただのしがない狩人ですよぅ?」
「あらあら〜ご謙遜を♡
あなたはわたしよりも強力な神聖力を持つ……天使さんですよね☆」
「ふぁ。」
「は?」
「え?」
「あ゛?」
シャルちゃん!?いや今のドスの効いた声はなぁに!?
と言うか天使!?わたしは人間だよ!!
ステータスステータス!自分に鑑定!!!
(!)特殊条件を満たしたので『スキル:鑑定』を『絶対鑑定(天使)』に進化します
は!?絶対鑑定(天使)ってなに!?不穏っ!!!
名前【マリィ】
年齢【16】
種族【デミ・エンジェ・ドラゴン】
いや待って。
デミ…はまだ半分は人間だって意味なのは分かる……けど、【エンジェ】【ドラゴン】ってなに!?
「りゃぐぅぅ〜!!」
「えっ!?マリィは一体何を見たんだい!?」
「わ、わたし…わたしぃ……!
天使で龍人になっちゃったぁぁぁぁっ!!!」
「はぁぁぁぁぁぁっ!?」
「え、何故母様が妾の付与した龍人化を看破できるのじゃ?」
「おいコラ、僕の妻を勝手に人外にした犯人はお前かシャルルーク。」
「カカカッ♪バレたからには仕方ない!
いかにも!母様を龍人化したのはこの妾なのじゃよ♡」
「人様の妻に何しくれてんの本当に!?」
「あ、あの、シャルちゃん…?なら天使化は…?」
「そちらに関しては妾は知らん。
いや。もしかしたら龍人化による影響で魔力総量ではなく、神聖力の総量が増えたのかもしれぬのじゃが。」
「やっぱりお前のせいじゃないかシャルルーク!!」
「黙れ駄父様♡」
「お前が黙れよもぅ!?この駄龍様!?」
「あは……あははははは…………
なぁにぃこれぇ…………
わたしはただ、ラグと夫婦で居たいだけなのにぃ…………!!
はい、という訳でジャンヌさんの登場&マリィ=サンの人外化でしたぁ〜!
マリィ:じゃないわよこの駄作者!?
何してくれてんの本当に!!わたし、人間にもどれるのよね!?
ラグの子供をつくれないとか嫌だよ!!?
え?天使でも人の子を産めるのでは?
マリィ:わたしに聞かないでよ!?