表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/18

道中にて

翌日。

次の目的地である隣町へ転移するヒナさんとシリウスさんを見送ったわたし達は徒歩での移動を開始した。

流石にさ、知り合いとは言え他人の転移魔術で移動するのは違うしね……なんか、それはズルくない?

いや、ラグのお父さんの命がかかってるのに何を偽善的な事言ってんの?だけどさ。


まぁ、現実問題シリウスさんが同時に転移出来るのは3人、かつ1日1回が限界らしいしね。

やっぱり高度な術だと魔力の消費が激しいんだってさ。


でもだからってわたし達が古代知識のお陰で作れる特製魔力ポーションで回復させてまで連れてって貰うってのもやっぱり違うでしょ?

シリウスさんはあくまで担当受付嬢の旦那さんであってわたし達のパーティメンバーでは無いんだし。

………と言うか、多分ソレを実行したら旦那さん自体は快く転移装置になってくれるだろうけど、旦那Love勢のヒナさんに殺される。

社会的に、か、物理的に、かは分からないけど。

何故確信を持ってそう言えるのかというのなら、わたしが同じ立場でラグを利用されたら、ラグ自身が快く協力していたとしても相手を殺したいからだよ!!


ちなみに、ラグはまだ転移魔術も、ましてや古代魔法である転移魔法も使えない。

それが使えるのはもっと後……今から約1年以上後、知識の都の図書館で転移魔法の本を読んだ後なんだ…………でも、転移魔法を覚える頃には、お父さんはもう…………



(でも、焦っちゃダメだ。

本当なら最短ルート的には真反対の街なんだけど、それを伝えるにはわたしが前世の記録を持つ事も伝えなきゃいけないし………もどかしいなぁ………物語を読む側だった時は、『ヒロインは何で転生者だって言わないのかなぁ?どうせヒーローはヒロインの言う事なら何でもちゃんと受け入れてくれるのに。』って、思ってたんだけどなぁ………。)


「マリィ〜?」


(はぁ………でも、やっぱりいざ自分がそんなポジションに立つと、相手の心情は描写されてないから分からないし、

そうなるとラグがどう反応するのか分からないから、ラグに嫌われたり、距離を取られたり気不味くなったりするのが嫌だなぁ……って………はぁ……臆病だなぁ……まぁ、お母さんに関しては、説明不要だしこっそり解決したんだけどさぁ。)


「母上?」


(そもそも、もっと早くお母さんの病気を治せたらお父さんを探しに行く必要なんて無かったんだ………けど、お陰で可愛い娘達にえたんだから一概に悪いとも言えないや………


はは様~?」


(うん。とりあえずは知識の都を目指す様に誘導する?

転移魔法は便利だし、この先きっと必要になる。

ラグに教えて貰えたら……わたしだって多分転移魔法が使えるはず。

今のわたしの魔力量ならきっと皆一緒に転移出来るはずだから。)


「マリィッ!」


「ひゃいっ!?え、あ、らぐ?

どうしました??」


「全く、何をボーッとしてるんだよ。

僕達も行くよ?早くしないと今日中に辿り着けなくなる!」


「あ、わ、分かりました!では行きましょう♪」



とりあえず歩き始めよう!

隣町に着くまではそれなりの距離がある。

前世知識の車なら1時間位かな?


前世知識的に、大体がナゴヤ?からギフ?に行く位の距離感なのが隣町との感覚だし。

その間に小さな村や集落がある感じだからね。


徒歩だと半日以上、と言ったところ。

と、歩き始めて直ぐにわたしと手を繋いだシャルちゃんが心配そうにわたしを見上げてくる……上目遣い可愛いっ♡



はは様よ、調子が悪いのでは無いのかえ?

妾が運んでやろうかのぅ?」


「いえいえ、娘に心配される訳にはー


「いいや、心配くらいさせるのじゃはは様よ。

家族とはそうゆうもの、なのじゃろぅ?」


「うっ………



シャルちゃんは本気で心配してくれているし、見た目が中学生女子でも正体は魔王ちゃまでドラゴンちゃま。

装備品(マジックバッグと革製ブレストプレート等の革鎧)含めて約75kg(※)前後のわたしを背負って歩く位は余裕かな…?

身長差(165cm対140cm前後)的に足を引きずりそうだけど。

と思っていたら…………

適当アバウトなので実際はもっと重いと思われる



「では妾に任せよはは様♪」


「まさかのお姫様抱っこ。」



え、まって、見た目女子中学生の娘にお姫様抱っこされるお母さんってどんな絵面??

しかもすっごい安定してるしスタスタ歩いてくんだけど???


宇宙お母さんよもぅ。


ちなみに、ラグとクリスちゃんはシャルちゃんの正体を知っているからか特に驚いた様子はなく、『仕方ない娘/妹だなぁ』程度の苦笑いだ………あ、うん、ま、いっか。

わたしは素直にシャルちゃんの首へ手を回して体勢を安定させた。



「うむ、妾に身体を預けてしばし休むがい!はは様♪」


「う、うん。そうするね?」



とりあえず、我が娘はドラゴンちゃまなので考えても無駄。

ドラゴンに戻って飛んで運ばないのはきっと急にドラゴンが現れたら街の人々が恐慌状態になるからというシャルちゃんの気遣いなんだってのは分かってる。

という訳でわたしは再び思考の渦へ沈んで行った…………………









~sideラグ~

うーん………マリィって、結構抜けてると言うか、ボーッとしてる事が多い様な気がする。

今までもあったから最近、では無いけれど。

にしてもシュールだ。

見た目は小さな女の子であるシャルルークが、考え事をしてるせいか光の無い目で虚空を見つめてボーッとしている成人女性(※)のマリィ(鎧あり)を楽しそうに軽々と運ぶ様は。

※この世界基準では16歳のマリィは成人女性


ちなみに、魔導師タイプである僕には筋力的に横抱きは無理だ。

身体強化をすれば楽勝とは言え、魔力が無尽蔵ではない僕が戦闘時以外に使い続けるものでは無いし。

となれば、愛しい妻とは言え僕に出来るのは精々おんぶ位かな。

しかも装備品を全て外して軽くなった状態のマリィ、と条件が付く。

それでも数分も経たない内に力尽きてヒィヒィ言いそうだけど。



「……少し、シャルルークが羨ましいな。」


「む?なんじゃちち様。

もしやはは様をき(かかえ)たくなったかぇ?」


「だっ…!?いや昼間から何言ってんの!?」



シャルルークに運ばれるマリィを見ていたらいきなりなんか変なこと言い出したんだけど!?

シャルルークってアレか!?耳年増と言うかそこら辺の羞恥心が無いのか!?

と僕は思うけど、シャルルークは至って平常だ。

いや、体勢や身長差の問題なのか、さりげなくマリィの胸に顎を乗せてたりする辺り楽しんでる節はあるかもだけど。

って、僕も何見てんだ変態かッ!!

いや、でもシャルルークの顎が乗ってると言ってもレザーブレストプレートがあるから見た目は平坦なんだよね今のマリィの胸。

……って!思考がおかしくなってるよ僕!!



「は?ちち様こそ何を照れておるのじゃ??

お主らは夫婦めおとじゃろうに。

(きかかえて歩)く位普通じゃろ。」


「だとしてもこんな道の往来ではしないよ!?」


「は…?今妾がしとるのじゃが!?

のぅあね様、ちち様は何を言うとるのじゃ??」


「見事なまでのすれ違い発言だな?わざとか??」


「むぅ…?」


「クリスはなんでそんな冷静なの!?」


「いや、シャルの発言は特に変じゃないからな。

………大事な部分が抜けてるだけで。」


「なんて!?」


「全く、ちち様も様子がおかしいのぅ?

あね様、父様を背負ってやるのじゃ。」


「あー……うん、とりあえず父上もシャルルークも落ち着け?」


「これが落ち着いてられるかっ!!」


「………はぁ。変身解除。」



へ?なんでここでクリスはトワに?

クリスは久しぶりに引っ込んでトワに戻り、そのトワは僕に()()()抱きついてきた!!



「わぷっ!?とっトワっ!?」


「もぉ〜!おとうさんはかんがえすぎなのっ!

しゃるおねえちゃんは〜ただね、だきあげてあるくことをいってるだけ!なのっ!」


「え?あ、うん……?

………………抱くってそうゆう!?」


「は?今更か??妾は最初からそう言うとるじゃろうが。」


「紛 ら わ し い わ !!」


スパァァァンッ!!



あ、しまった!!つい勢いでシャルルークの頭をはたいてしまった!!

見た目は幼女でも中身は老齢のドラゴン様なのに!!

………案の定、シャルルークは僕を睨みつけてくる………マリィを抱えてるせいか叩かれた頭を押さえることも出来ないみたいだ。

いや、ドラゴン様が僕程度に叩かれて痛みを感じてるかは疑問だけど。



「は?なんじゃと!?生意気じゃな小童こわっぱがっ!!

お主がはは様の夫でなかったらあの勇者にやった様に頭が消し飛ぶ程ぶん殴っとるぞ?ん??」


「っ…!?」

「ひぅっ…!?」



す、凄い威圧だ…!

僕もトワも動く事が出来ず、息苦しい……!

そして、シャルルークはちらりとトワに視線を移す。



「のぅ…トワ?」


「ひゃ、ひゃぃ…?」


「お主、頭を吹っ飛ばした者を蘇生できるかぇ?」


「ひゃぅ…?ぁ、ぅん。スーのそせーじゃむりだょ?

それができるならしんじゃったクリスおねーちゃんをたべてスーにしなくてもそせーできたもん。」


「ふむ、そうか。

…………では(物凄く業腹じゃが)諦めよう。

命拾いしたな?ちち様?」



いやそれ、トワが蘇生魔法を使えたら僕を1回殺すとか言ってるよね!?

確かに勢いとは言え頭叩いたのはやりすぎだけどさぁ!!でも殺す程か!?



「なんなのドラゴン様って!命の扱いが雑過ぎる!!」


「は?どうせ人間なぞすぐ死ぬ。

遅いか早いかの違いだけなのじゃ。

あ、ちなみにはは様に関しては例外じゃよ?」

(何せ、簡単に死んでもらっては困るからのぅ。

じゃから密かに妾の血を飲ませてやって半龍人と成った今の母様は長生きじゃ。

病気とは無縁じゃし、ついでに魔力も増強、頭を潰されぬ限りはそうそう死なぬ!

そもそも身体が龍人のソレじゃから頭を潰すのも妾並の強さが無いと無理じゃがな!カカカッ♪)

※今のマリィはゲームで言うなら+Lv.1000状態なのを本人すら知らない(ステータス改竄(龍)の効果で人間や半龍人には看破不可)

※やべぇ龍人を娘にした故に彼女から目をつけられたマリィの末路


「例外!?シャルルーク!君はマリィに何かしたのか!?」


「さてのぅ…?知らんのじゃ♪」

(ふむ、勘が良い小童じゃのぅ。)


「なの…?ならおとーさんはスーがまもるねー♪」

(というか、おとーさんはすでにスーの『 たいえき』をた〜くさんのんでるからふつーのにんげんよりつよつよなの〜♪)

※実の所毎日『トワが魔法で生成した水』と称してミミックスライムの体液を摂取し続けた今のラグとマリィはトワの支援魔法が強めに入る


「トワ………。」



うっ…可愛い………無邪気に抱きついてニコニコしてるトワに父性が刺激される…!

とりあえず頭撫でとこ。



「んへへぇ〜♪きもちい〜の〜♡」


「ふん…ロリコンか。」


「違うわっ!!これは父性だっ!!」


「ほんとかぁ〜??」(ニヤニヤ)


「くっ…!マリィには懐いてるのになんで僕には生意気なんだこの娘…!!」



お父さん舐められてるのかこれ?

あ、ならあれか。



「マザコンめ……(小声)


「あ?聞こえとるぞ小童。ぶち殺すぞ??」


「地獄耳かよ………


「ほらほら〜けんかはめ〜!なの♪

はやくいこ〜!」


「………ソウダネ。」


「ふん…トワに免じて今は爪をしまおうかの。」



にしてもこんだけ騒いでて未だに思考の海に沈んでるマリィは何を考えてるんだろ…………


マリィ(ー旅を終えたらもっとラグとイチャイチャ出来るのかなぁ~?

あ、でもラグに求められたら毎日でもシちゃうかもだし、沢山子供がデキちゃう?

でもでも!望まれない子供は可哀想だしあまりに子沢山でもお金足りなくなりそうだしやっぱり基本的には今と同じく避妊魔法使ってからスるのかなぁっ!?)

※……などと実は割と支離滅裂かつどうでもいいこと考えてた、あるいは妄想とも言う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ