王都にて。
魔王様のシャルちゃんはただの龍人、シャルルークとしての冒険者カードを持っていたからシャルちゃんもあっさり王都入りを出来た!
あと、あの勇者(笑)の冒険者カードを拾ったのでソレを届ける為にも冒険者ギルドにやってきた♪
「こんにちわ。」
「ようこそ王都冒険者ギルドへ!
コチラは冒険者用のカウンターとなりますがギルドカードはお持ちですか?」
「こちらにあります。」
「拝見いたします。…………はい、確かに。
Bランクパーティ【星追の書者】のラグ様ですね。」
「はい。」
あ、そうそう。
あれからパーティ名は【星追の書者】にしたんだ♪
2人で色々と考えて、お父さんを必ず見つけだすっていう希望を込めた名前に、ラグが翻訳師である事を意識した名前をくっつけた!
結構気に入ってるんだよね、これ♪
「ではご要件をどうぞ。」
「まずはこれらの依頼の処理をお願いします。」
「かしこまりました。」
~しばらくして~
「それではこちらが報酬となります。」
「どうも。それともう1つあるのですが………これを拾いまして。」
報酬を受け取ったところでラグはアイテムバッグからあの勇者(笑)の冒険者カードを取り出した。
「冒険者カード……ですか。」
「はい。恐らく遺品かと。
近くに血痕があり、ドラゴンが飛んでいく姿も見ました。」
「ドラゴン!?」
「はい。しかし僕達には目もくれなかったので“勇者を倒す事”が目的だったのかと。」
「勇者………様、ですか!?」
勇者、と聞いた受付嬢はラグから渡された冒険者カードを急いで確認した。
もちろんそれは本物の勇者(笑)の冒険者カードだし、勇者(笑)が死んだのは本当だからねぇ……。
結果は当然、勇者の死、だよ。
まぁ、原作でもそうだったけど、勇者が死んだからと言って人類の敗北では無いんだけどね?
そもそも魔王様って……
「む?妾がどうかしたのか?母様。」
と、思ったわたしが見るとキョトンとした顔で首を傾げる愛娘の魔王ちゃま。
「いえ、なんでもないですよ♡」
「む?なぜ頭を撫でるのじゃ母様!?
………んへへぇ〜♪気持ちいい〜のじゃぁ〜♡」
わたしに頭撫でられてニコニコしてるこの幼子みたいなドラゴンちゃまだよ??
こんなに可愛いわたしの娘が人類の敵な訳ないじゃない!!
むしろ勇者の方が害悪っていう、なろう系テンプレ展開だしね、原作。
と言うか受付嬢さん、取ってつけた様に敬称を付けたあたり、あの勇者(笑)は嫌われ者だったらしい。
まぁ、そりゃそうか。
パワーレベリングも出来ないこの世界線では、ヤル事しか考えてない性格最悪の勇者(笑)はパーティも組めず、元来、勇者は大器晩成型の成長をする故に低レベル帯ではクソザコな彼1人では最弱の魔物相手ですらマトモに戦えず、初期レベルのまま中々上がれなくて、ご自慢の魅了・洗脳も自分のレベル以下の相手にしか効かないから誰も魅了出来ないわけで。
原作で魅了や洗脳が成功したのは教会から派遣されたわたしや冒険者にパワーレベリングしてもらって、勇者特性で経験値が倍以上に入るからあっという間に派遣された冒険者達のレベルを越して、結果的に魅了や洗脳をキメる事が出来てた訳だし。
そしてそのパワーレベリングで高レベになる事で受付嬢とか自分の好みの女性達も魅了をしてたから虚構のモテモテ勇者(笑)が出来上がっていた訳だしね。
そして何故この世界線では勇者が居るのに教会が動かないかと言えば、予言にあった聖女降臨が成されなかったから、と今代の勇者がクズ過ぎるとの情報が入ったから、なんだ。
そりゃあね、ラグが受付嬢さんから聞き出した勇者(笑)についての評価は、
【弱いくせに『俺様は勇者なんだぞ!!』とかイキってるし、男に対しては適当、おざなりで、女に対しては高圧的かつヤラシイ目、更に美人や美少女をナンパしては失敗する様なクズ】だよ?
ただの色欲魔じゃん。
しかも、それでいて勇者だから下手に捕縛も出来ない扱い辛さ。
これ、死んで清々されてない??
まぁ、原作でも色欲勇者が死んで魅了や洗脳が解けた皆は概ねそんな感じだったし、中には色欲勇者に犯された事実に塞ぎ込んでしまったり自殺した女性も居たレベルだし………
良かった、聞いた限り被害ゼロで。
と言うか原作の教会は聖女様が勇者を更生する事を信じて送り出した結果、逆に洗脳されて性処理人形にされてしまい、
結果的に魔王討伐以前に中ボス程度の相手に殺されて、大失敗して権威失墜してた事を考えたら教会的にも朗報では??
ちなみにリッチロードさん、もし倒すならゲームで言うところの適正レベルは50前後。
今のわたし達ならだいじょぶかもだけど、中ボスでこのレベル。
魔王ちゃまって一体何レベー
ゲーム的解釈【Lv.3000】
ール?
…………ディス○イアかな!?
いやあのゲームだとして見るなら低レベル扱いだけどさぁっ!!
「なんじゃ母様?妾を見て百面相なぞしおって。
はっ!?もしや体調不良か!?直ぐに寝るのじゃ母様!!
妾がとっておきの薬を煎じようぞ!!
しからば宿へ急ぐのじゃ!!はよぅ!はよぅっ!!」
「だ、だいじょぶですよシャルちゃん!?
お母さんはだいじょぶですから!落ち着いてください!!」
「む?そうかの??なら良いのじゃが………しかし、無理はするなよ母様。」
「はい♪ありがとうございますシャルちゃん♡
いい子いい子…♡」
「むふん♪」
「………母上、あまりシャルルーク殿ばかり可愛がるのは感心しないぞ。」
「あら?寂しいのですかクリスちゃん。
ならお母さんに抱きついても良いのですよ?」
「……………。わかった。」
わたしがそう言って両手を広げると、少し考えたあとクリスちゃんはおずおずといった感じでわたしに抱きついてくる……と言っても左はシャルちゃんが居るから右から、つまり横から抱きつく感じだけれど。
「はぁ〜い♡クリスちゃんもいい子いい子♡」
「…………。」
「なんじゃ姉様、お主も大概じゃのう?」
「ニヤニヤしないでいただけるか、シャルルーク殿。
それと、何故私が姉なのだ?」
「良いではないか♪妾より先に母様の子になったのならお主が姉様に違いないのじゃ♪
それに、見た目的にもその方がしっくりくるじゃろ?」
「………見た目だけならな?シャルルーク殿は何歳だ?」
「これっ!女子同士とは言え、遠慮が無いぞ姉様!
母様も何か言うてやるのじゃ!」
「う〜ん………そうですね、ラグ以外には許されないことですよ♡
あ、ラグにならいくらでも教えてあげますからね?
年齢い・が・い、もね♡」
「あぁもうやっぱりあなたもボケだよな母上!
父上の不在の時に返答に困るジョークをかますな!?
処理が追いつかないんだが!!」
ちなみに、原作でのシャルルークちゃまの年齢は120歳。
だから恐らく今は117歳前後。
龍人族は成長が遅いので卵から孵るのは10歳前後の時、見た目年齢もそれくらいの状態で産まれてくる。
(卵のサイズも1m以上ある)
そこからの成長もゆっくりだから、身体年齢は見た目通り12歳前後らしいよ。
ただし、身体はかなり頑丈らしく、記録にあった【トラック】なる乗り物に撥ねられてもトラックの方が壊れるだけなくらい、らしいけど。
なんなら片手で止められるかもしれない。
たしか原作では同じ龍人族の女騎士さんが突進してくる魔緒を片手で掴んで投げ飛ばす描写があったような………
それはそれとして、長生きな龍人は3000年を超えても生きているとか………
だから、間違いなくわたしの方が先に死ぬ。
まぁ親だから仕方ないかもだけど、この世界の人間族の平均寿命は60歳前後。
龍人族の感覚からしたら、単純にあと5年前後しか共に居られないのかも…………だけど。
今は………
「あらあら♡
確かにラグはわたしにツッコム方ですねぇ〜♪」
「違う……今母上が言った意味合いは絶対ズレてる…!!
清楚な見た目と雰囲気をしておいてこんな公共の場で平然と猥談挟むのはやめてくれ母上…!!」
「あらあらぁ〜?
わたしは『ボケとツッコミ』の事を言っただけですよぉ〜?
クリスちゃんこそおませさんでは?
可愛いですね♡【エ駄死】ってやつですか♪うふふふふ♡」
「…………もうやだこの母上。助けてくれ父上………。」
「うん?よく分からなかったのじゃが、2人はなんの話をしているのじゃ?」
今は、この関係を、空気を、楽しもう。
~オマケ~
ラグ:ところでマリィ。
マリィ:(?)なんですかラグ。
ラグ:……また娘を増やしたな?
マリィ:ぎくぅ……!
ラグ:コレはお仕置が必要な様だ。
マリィ:え、あの、お手柔らかに…?
ラグ:ん?(ニコニコ)
マリィ:あらぁ〜………
《翌日》
クリス:……母上、昨日はちゃんと眠れたのか?
マリィ:………。(しょもしょも)
ラグ:♪(ツヤツヤ)
クリス:……。
(あー、コレはヤッたな昨日。珍しく父上上位で。)
シャルルーク:む?姉様よ、母様はどうしたのじゃ?
クリス:そっとしておこう。