ギルドへ報告っ♪
ーという訳で新しくメンバーになった【クリス】だ。
よろしく頼む。」
「かしこまりました!職業は……【魔法剣士】ですね!」
「うむ、(トワ由来の)多少の攻撃魔法や治癒魔法も使えるからな。」
「そうなのですか…?
であれば、【暗黒騎士】か【聖騎士】へクラスアップする可能性もありそうですね!」
あ、ちなみにこの世界における
【暗黒騎士】は光属性以外の攻撃魔法や妨害魔法特化の魔法剣士、
【聖騎士】は光属性魔法や治癒魔法特化の魔法剣士の事で、
別に暗黒騎士は勇者や人類の敵という訳では無いよ。
それと、剣術と全ての魔法の両方を極めた存在になると【聖魔剣士】というEX職になるんだ〜。
ただし…クリスちゃんの場合、本当は【剣聖】だから職詐称なんだけどね。
ちなみに、本来なら剣聖であるクリスちゃんは魔法を一切使えなかった。
そこはトワちゃんに取り込まれた恩恵、になるのかな??
「そうだな、その時はまたよろしく頼む。」
「かしこまりました♪
鑑定珠によれば実力もAランク相当なので問題なくお2人とパーティーを組めますよ!」
「それは助かる。」
うん?クリスちゃん、なんか冒険者ギルドに慣れてなぁい?
そう思いながら見ていたのに気付いたクリスちゃんはわたしに耳打ちをしてきた…?
『母上。私が生前、【クリスチーヌ・エトワール】だった時はEXランクだったんだ。』
『え、それってギルドに登録し直してもだいじょぶなの??』
『問題ないと思う。【クリスチーヌ】では無く【クリス】名義だしBランクだからな。
【クリスチーヌ】自体もこの国ではありふれた名だし、あちらは【剣聖】登録のEXランク冒険者だしな。』
『そっかぁ………』
なら良いのかな…?
と言うかクリスちゃんも偽装・改竄が使えたの!?
『母上、私の改竄スキルもトワ由来だ。』
『えっ!?』
『…………どうやら、母上の体液を摂取した事により獲得したらしい。
トワは姿だけなら母上にも変身出来るそうだ。』
『えー…………』
いやぁ〜…原因にはすっごぉ〜く心当たりがあるけど!?
そう言えば会ったその日にあげたクッキーって以前に作った愛情たっぷりクッキーじゃなかったっけ!?
あ、後の手続きはリーダーであるラグの仕事だったんだけど、終わって戻ってきた。
わたしは内心の動揺を飲み込んでしれ〜っとラグに微笑みかける。
「おまたせ、それじゃあ行こうか?」
「はぁ〜い♡」
「承知した。」
「ついでに王都行きの目処が立った報告もしてきたからそろそろ行こうと思う。」
(ヒナさんがやけにあっさりと『そうですか、ではまた会いましょうね♪』と言っていたのは気になるけど。)
「遂にかぁ〜…予定よりは早かったね!」
「まぁ僕らの場合、Aランク相当の依頼ばかりこなしていたからね。
お金も経験も充分……なんなら既に中堅クラスの実力者さ。」
うん、ラグはわたしの態度に疑問を抱いだ様子は無いし、ごまかせたのかな?
それはそれとして、原作のラグだって物語開始になる18歳の頃にはSランク冒険者相当の実力を持っていたのにそれを見抜けなかった無能勇者(笑)にパーティー追放されてた訳だしね。
そんなラグが弱いはずが無いじゃないの〜♪
「それじゃあラグ?」
「ああ。王都に向けて出発だ!」
という訳で今までお世話になった街とはサヨナラをして、王都に向かって歩き出したわたし達。
ラグは慎重派だから旅をしながら実力を付けて資金も稼ぐ、じゃなくて資金稼ぎを兼ねて最低限の納得のいく実力を身に付けてからの旅の開始、なんだよね〜。
原作じゃ、勇者(笑)がおバカさんだからそんな事やれなかった………なのに(おバカさんのせいで)過酷な旅の中でSランク相当の強さを身につけていたラグ。
それなら、この半年間。しっかり準備と(無茶振り依頼で)鍛錬をしてきたラグはもうSランク相当なんじゃないかな??
それはさすがに言い過ぎ??
※実の所、この世界線では正気(?)のマリィはラグ式の鍛え方で彼女こそSランク相当の戦闘力を持ってるのを本人は知らない。
なお、ラグの実力は現時点で戦闘力B相当、サポーターとしてはSランク相当(依頼精査、拠点作製力、準備・戦闘指揮力全てにおいて高水準)。
マリィのサポーターとしての実力はC相当(料理を始めとする家事能力以外のサポート力が壊滅的な家事系サポーター扱い)。
ともかく、わたし達の旅は今始まったのだ〜!なんてね♪
「ところで母上に父上。」
「ん?なにかな?」
「ん〜?なぁに??」
「今更だが、私…と言うか【トワ】の方から母上に縋り付いたとは言え、何故助けてくれたんだ?」
「あ、それは僕も思った。
マリィはかなりお人好しの部類に入ると思うけど、それでも見ず知らずの人型スライムを助けたのは意外だよ。」
「そうかな?
う〜ん………確かにわたし、(ラグを狙う)敵には容赦無いけど………
「ならば、尚更だな。何故だ?母上。」
「んぅ~……?」
確かに、わたしは元々【聖女】に選ばれる様な人間ではあったらしいけど………
『世の中の全ての人達に救済を。』
なんて実現不可能な事を言える程の偽善者なつもりもないんだよねぇ………
だからこの先、トワちゃんと似た様な可愛い魔物の仔や、可哀想な孤児が居たとしても、助けるかどうかはわからないし、全てを救えると思う程に傲慢なつもりもないしねぇ…。
………うん。なんで、か。
確かにトワちゃんはわたしを【お母さん】として頼ってきた。
けど、それでも、トワちゃんを娘として受け入れたのは例外だからだ。
「うん……そうだね。
トワちゃんは例外、だったからかなぁ…?」
「例外…?」
「多分だけどね?トワちゃんはわたしと“同じ”だったから、惹かれ合うものがあったんだと思うよ?」
(わたしの本来の職業、【治癒神】はどうやら聖女の上位互換の職業みたいだからね。
ラグにすら内緒にしてるから言えないけど。)
それに、トワちゃんは“原作”の登場人物でもあるからね。
助けないと話がおかしくなる………のかな?
既に3年も早く出会っているし、わたしがラグの妻になってる時点で既に話はめちゃくちゃだから理由としては弱いけど。
「そうか………じゃあ、この先“可哀想な子供”に遭遇しても無闇やたらに手を差し伸べたりはしないんだよね?」
「え?当たり前だよぉ〜。わたしはそこまで偽善的にはなれないからねぇ〜。」(暗黒スマイル)
((!?))
おっと〜………
愛する夫と娘の前でする顔じゃなかったかなぁ〜♪
しっぱいしっぱい♡うふふふふ……………
「………コホン。まぁとにかく?マリィが手当り次第助けるつもりは無い事は分かったよ。」
「あ、あぁ。母上は考え無しに誰にでも愛を振りまく様な御仁では無いようだ。」
「え〜?当然でしょぉ〜。」
わたしの愛はラグと娘にしかあげないよ?
トワちゃんとクリスちゃんはわたしの娘♡
という訳でわたしはラグに背中から覆い被さるように抱きついちゃう♡
「こらこら、歩きにくいでしょ?」
「このままおんぶして?」
「み、耳元で甘やかな声を出さないでよ!?」
『照れちゃてぇ〜♪かわいい♡』(ウィスパーボイス)
「〜っ!?」
あらぁ?ラグがフリーズしちゃった………
「母上、父上が困ってるぞ。
やめてあげてくれ。」
「んぅ~?クリスちゃん羨ましいの??」
「断じて違うが?」
「まぁ〜まぁ〜♪ご遠慮なさらずぅ〜♡」
「いや、遠慮では無くてな?
…母上?何故私に抱きつくんだ?
背中によじ登るな母上。
耳元に口をつけないでくれ母上。
いや、やめて頂けるか母上!?」
『ほら、こうしてほしかったんでしょう?クリスちゃん♡』(甘ロリウィスパーボイス)
「あっ…ははぅぇ~…♡」
「おっとっと?」
あやや…………クリスちゃんが膝から崩れ落ちちゃった………
おーい?こんな所で寝ちゃダメだよぉ〜??
仕方ない子だねぇ♡
身体強化して〜……
「うんしょっ…とぉ………あ、身長差のせいで足を引きずっちゃう………えっと、ストレージから荷車を…………と、お布団敷いて〜♪結界張って〜♪風魔法と炎魔法の混合魔法で快適な温度にして〜♪よし♪」
※マリィもラグ同様に各属性の全初級魔法は習得済み、主に野外での料理時のかまど作成と点火、掃除、洗濯をする、等の家事とテント内の空調に使用する。
光属性だけは【治癒神】職の為か最高クラスの性能だが普段は灯り代わりに使う。
ガラゴロガラ〜♪
って、ラグ〜?
「お〜い?ラグ〜??」
「はっ!?マリィっ!!」
「んぇ?」
「ほんっと何してんの僕の妻!?」
「え〜?ただ愛してるだけだよ??わたしの旦那様♡」
「ほんっっと!外ではやめて貰えませんかねぇ!?」
「くすくすっ♪やだ♡」
「あざとかわいいなちくしょう!!好きだっ!!」
「うん!わたしも好き♡」
うんうん♪本日も愉快なり!ってね♪
わたしは怒りつつも照れているラグに微笑みかけながら、クリスちゃんの乗る荷馬車を引いていく。
きっと、この旅は楽しくなるよねっ♪
あ、最終回的なノリですけどまだ続きます。はい。
マリィさん、当初の予定とは違うキャラになって作者的にも予想外の動きをしてるので制御不能になってる…………()