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『チョッ、エカテリーナチャ…』
「高機動型…いや、特殊兵装タイプか?……さて、それじゃ……」
俺は、装甲をパージしてスリムに成った貴族位の性能を予測しつつも、自身のマギスアーマーの出力を上げ、機体内のマップでは動きのない相手へ視界を移した。
「な!?…くっ、其れがあったか」
そこには直立した機獣が己の体型を変化させつつも、貴族位の女を開放した自身の胴体部分へ納めつつあった。それを見た俺は驚愕と少しの悔しさを滲ませてそう呟く
『ガァ』
『エ?、裸……!?イヤァァ…』
俺が悔しさを呟く間に、貴族位を体内に納めた機獣は開放していた胴体を閉めその変体?変形を終えようとしていた
『フゥ…コンナ事ガ出来タ丿デス丿ネ、エカテリーナチャン』
最後に、グワッと開いた機獣の口内に現れた貴族位の女の顔がそんな事を言うのと同時に機獣との合体?は完了した。
「超獣合体かよ…」
機獣の口内に現れた顔に、思わずそう呟く俺だったが、それは俺が想像したような口が兜の様に頭を覆うものでは無く口内に咥え込まれたような様だったし、その合体?した機獣の姿は、人型というより直立した獣に近かった。
『嗚呼…アノ方ト丿繋リヲ感ジ…『グルゥ』……分カッテマスワヨ、エカテリーナチャン……オヤ?』
機獣の口内で、自身の顔面に残る生身の部分で光悦とした表情を作り上げていた貴族位は、俺を見ると何かに気付いたのか首を傾げるが直ぐにその表情を侮蔑に変えると
『オヤオヤオヤァァ、貴方……フフフ……マサカ大罪人ダッタナンテ…穢ラワシイ……危ウク間違エ………』
そう言って嘲る様に俺を見下してきたのだが…
『大罪人?』
『トンダ不敬ヲ……ハッ?!……ホホホ……ナニヲ白々シイコトヲ……シカシソウデスネ…オマエ丿ヨウナ大罪人ニ覚エハアリマセンシ……ナルホド…偽神丿下僕ゴトキガ……断罪ヲ受ケタ身デドウヤッテソノ力ヲ得タノカ……ドウセロクデモナイ方法デショウガ……裏切リ者丿簒奪者共ガヤリソウナ事……』
貴族位の言った言話に思わず零した問に、相手から返ってきた言葉で更に気になるキーワードが増える
『断罪?簒奪者?』
『マァッ、白々シイコトヲ、オマッ『グルゥ』…エェ、ワカッテマシテヨ!』
俺の呟きに反応し、何かを言いかけて止めた貴族位は、その機獣と融合した身体で倒れ込むと、獣が獲物を狙う様に此方へ構え
『ガァ!』
と、俺に飛び掛かり勢いのまま前脚を振り下ろすが、俺の眼前で見えない壁にでも遮られたかの様にとまる
『うおっ、速っ!……へっ、流石にちゃんと戦闘用に意識したフィールドは破れないみたいだなっ!』
『ギャン』
油断なく展開していた俺のサイコフィールドに止められた前脚から伸びた鉤爪が、パリパリと音をたてフィールドを破らんとするのを見た俺は、クローを機獣に向け至近距離から強力なショックウェーブをお見舞いする
『グエェ…カ…加護丿気配ハ感ジマセン…ノニ、イッタイナッゼェェェェェ……』
『ガッ』
俺の攻撃で吹き飛ばされた機獣は、空中で体制を整えると、口内で貴族位がのたまうのも構わず着地と同時に自身に雷を纏い、周囲を高速で移動し始める
『チッ…雷でマーカーが弾けたか……速度を上げての撹乱が目的なんだろうがッ』
相手が帯電した事で、付着させていた虫型のマーカーが破壊され、敵の位置を機体のモニターで直接確認する必要にかられた隙をつかれ、背後から機獣による体当たりらしき攻撃を受ける。背後からの攻撃自体にフィールドを破られることは無かったが、衝撃に押された俺は勢いのまま前方の地面をフィールドで削り取って行く
『グルゥ『何!?力ガ…ス、吸ワレ…チョット!エカッ』ガァァァ!』
『ッ!?ちぃぃぃ!』
地面を削って勢いを殺し、姿勢制御を駆使して機獣へ向け機体を振り向かせた俺は、モニターに映る機獣が集約した雷を今にも口内から吐き出さんとしている姿を確認すると、急いでフィールドの前部分の増幅へ意識を注ぐがそれと同時に機獣の口内からの放電が発せられフィールドへ直撃し
『くぅぅぅ……なんとぉぉぉ!』
密度の増したフィールドで、雷の咆哮とでも言うべき機獣からの攻撃を防ぐ俺に、空から二本目の雷が落ちて来き、衝撃と共に雷の発する眩い光に俺は包まれたのだった…