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自己中な幻想  作者: CLLK
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俺は地下のあの倉庫の中の特殊な保管箱を研究することで、サイコフィールド(俺自身の理)で対象を覆う事で、恩恵(この世界の理を与えられた加護魔力によって強化、発動する、加護に付随するスキルの様なもの)が受ける加護魔力による効果を遮断出来る事に気付いた。


 ついでに、これは今回の事とは関係ないが、更に研究を進める内、対象にサイコフィールドを浸透させ全体を支配することで恩恵自体の把握と、純魔力を使う事での発動、維持を行う事にも成功していたりする。


 今回俺は、貴族位に対し、先の研究と同じ様にサイコフィールドの特性を活かし、貴族位を俺のサイコフィールドで覆う事で恩恵に使用する加護魔力を遮断した。おそらく貴族位は、その巨体を維持するため常時身体強化に類する恩恵なり魔法なりを使用していたのだろう、今は加護魔力の供給が途切れたせいでソレを維持する事が出来なくなり、その巨体を地面に伏している状態だ。


 「ふぅ、効果覿面だな。接触しないと駄目なのが難点と言えば難点だけど……」

 


 『……ハッ…--------様!グッ…オ…オモ…イ』


 自重でMSからMAへ形態変化したみたく成った貴族位は、動こうとしたのかギギッと一瞬音をたてるが、どうやら強化無しでは自らの身体を動かす事も出来ないらしい。


 『オ前…イエ…アナタ誰デス?…同族デハ無イヨウデスガ…他家ニ貴方丿様ナ方イラッシャリ……マサカ平民ガ…ソレニシテハ見事ナメタモルフォーゼ……』


 俺が眼の前の巨体を興味深かそうに観察していた間に回しただろう、大半が埋もれていてモノアイ位しか見えない顔が、俺を見下ろして詰問…いや問い掛けてきた。


 「おぉ…今迄に無い反応…」


 『聞イテラッシャイマスノ?ナントカオ言イナサイナ』


 「おっと…」


 是迄の者達の様に、怒り狂う様子も見られない事に少し感動している俺に対し、しびれを切らしたのか、貴族位は声のトーンを落とし警戒度を上げた様だったので、俺は少し待てとクローを上げマギスブレインの自動翻訳機能を起ち上げる。


 『アー…あー……こんなもんか?…こ、こんにちは、俺の言葉通じてる?』


 そういえば此方でまともな会話って此れが初めてなのでは?そう思いながらも、外部スピーカーから問題無く今迄よりも流暢に俺の思念を翻訳した音声が流れていることに多少の安堵を抱いたまま、相手がどう反応するかを待つ。


 『エェ…通ジテイマスワヨ…ケド…ソノ喋リ……貴方、何者デスノ……マサカッ、天子様丿庶子カ?……イエ……血統丿近シイ方々ハ…アノ時、天子様ニ取リ込マレ……ソレニ、取リ込マレナカッタ残リ丿者達モ獣型バカリデ、今モ皇居周辺ヲ徘徊シテイルト……』


 一応通じてはいる様だったが、そのせいで貴族位は何やら考え込んでしまっているようだが、その様子を見て俺は、貴族位が今迄の者達と同様に襲い掛って来ない事にちょっと感動してしまった。


 『あのぉ…お~い…』


 『モシヤッ、アノ反逆神共ニ連ナル……』


 気を取り直した俺は、尚も考え込む巨体に向けて何度か呼びかけるも、ブツブツと呟くだけで返事がない


 「ちっ、めんどくせぇ…なっ!」


 『ガァァァァ!』


 「速っ…くっ…な!ゾイドっ!……アッ…」


 一向に返事を返さない巨体に苛立った俺が、そろそろ強引にでも話し合いに移行させようと、腰溜めにクローを構えたその時、俺の干渉範囲に突然何者かの反応が現れると、その予想外の速さに後方からの奇襲を許してしまう。


 何とか体当たりの様な攻撃を避けた俺だったが、そこはかとなく懐かしの玩具臭が漂うメカメカしいその獣は、貴族位に優るとも劣らぬ巨体を勢いそのままに、今だ動かない貴族位へと突撃させた。


 『エ?…エカテッ!?ギャァァ……』


 そのゾイドの様な獣の突撃で、貴族位を覆っていた俺のサイコフィールドをあっさり破ると、貴族位のズングリとしたドレスの様な装甲?を砕き、何かを咥える様にすると森の奥へ飛んで此方から距離を取った。


 「クソっ、ケチらず物理耐性も意識しておくんだっ……はぁ?」


  俺が貴族位の無力化を最優先に意識を向けていたせいで、フィールドを加護の遮断に特化させ過ぎ、結果、簡単にゾイドもどきな機獣?にフィールドを破壊された自身を悔やみならがらもその機獣へ向き直った俺は、機獣の足下に転がされた者を見て思わず動きを止めてしまった


 『エ…エカテリーナチャン?』


 動きを止めた俺は、そう言って機獣の下で、大半を機械に侵された肢体を晒して機獣を見上げる女を見て、(マジか!本当に装甲だったんか。しかし随分とまぁ…スリムに成っちゃって…浸食される前はさぞかし……いやぁ~それにしてもパージして脱出とか、なかなか分かってらっしゃる……)と、俺は女へと向けていた視線を眼の前に散らばる装甲の残骸に移して無意識に口角を上げたのだった。


 


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