転生?
·····「ん〜あれ?」
目を覚ますと夕焼け色の部屋?空間?そんなところに太一は立っていた。
「僕、死んだよね?」
周りを見渡すと、真っ白な階段が天に向かって伸びている。
階段の先に何があるのか、目を細めて見てみるが果てしなく続いてる。
「とりあえず上がるか…」
太一が階段に足をかけたその時…眩しい光で一瞬目がくらんだ。
瞳を開けるとそこには病院みたいなカウンターがあった。
瞬間移動?と訳も分からず辺りを見渡すが誰も居ない。
しばらくすると、カウンター付近にアニメなどでよく見る魔法陣らしき物が現れ、その真ん中からキラキラとオーラを纏った綺麗な女性が出てきた。
見た目はゲームなどで表現されるエルフに近いだろうか、綺麗なブロンドの髪、くりっとした瞳、耳は尖っていないものの誰が見ても相当の美人である。
彼女はこちらに気付かずせかせかと何やら半透明のボードを見ている。
「すみません…」
と近寄りながら声を掛けてみる。
「ひゃい!」
彼女はびっくりした様子で太一を見る。
「あっあなあなた様はどなたでしょう?」
「いや、こっちのセリフなんですが…山口太一です…」
彼女はハッとした顔押してこう続けた。
「あの…すいません……このクリスタルボードに手を当ててもらえませんか?」
明らかに忘れてましたという表情で太一に動作を促してきた。
太一は言われるがままにクリスタルボードと言われる物に手をかざしてみた。
「え〜と、山口太一様ですね…今日はどうされましたか?」
「はっ?」
「えっ?」
二人はお互いの目を見つめ、5秒位沈黙になった。
その静寂に終止符を打つように、彼女が又もやハッとした顔をしてボードを見つめた。
「度々、すみません…貴方は地球の英雄犠牲の方ですね」
彼女はどうやらあまり仕事ができない子なのか…いや、そもそも俺が場違いな存在なのか…?
「英雄犠牲とはなんですか?」
とりあえず、気になった言葉を質問してみる。
「確か…どの様にかして命を絶たれた意味です」
どうやら、彼女は前者で間違いないようだ…
「でしょうね!」
質問しなければよかったと太一は思ったが、口には出さなかった。
「それでですね~太一様には魔法のある異世界に勇者として転生してもらいます、現世で英雄犠牲の方は勇敢な心の持ち主なので、異世界で困っている人々を平和へと導いて欲しい……と書いてありますね」
「俺が勇者?」
正直、嬉しかった。
誰かの為に何かしたいと思っていたし、何より生きてる実感がほしかった。
「申し遅れました、私は天女のシズラと申します」
シズラと名乗った天女は先程とは違ってキリッとした顔で自己紹介した。
「っで僕はどうすればいいのかな?」
又もやこの質問に5秒位の沈黙あった。
シズラが口を開いた。
「……こちら整理券になります」
「えっ?整理券……ですか…まさかやり方わからないんですか?」
疑いの目で太一はシズラを見る。
「そんなわけあるわけないわけないですよ〜…」
あっ。やっぱりそっちか…まあ、急いでないし任せるか…
「クアトロマジック。ルーム」
シズラが両手を胸の前で合わせて、その手を前にかざした…すると魔法陣が現れキラキラした扉が現れる。
「こちらでお待ち下さい」
太一はこれが魔法か!とときめく心を抑えつつ言われた通り扉を開け中に入った。
「また、ご連絡するのでその部屋で待っててください」
「一応、了解だけどあまり待たせないでな!」
フラグのようなことを太一は言った気がしたがもう遅い…
ゆっくり扉が閉まる……「早く転生したいわ〜」……