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【3月1日発売】ダンジョン配信者を救って大バズりした転生陰陽師、うっかり超級呪物を配信したら伝説になった  作者: 昼行燈


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62. ソラの戦い方


 その場にいる陰陽メンバーは、私を含めて深くその内容を聞き入っていた。

 

「五星明會は前にも話したが、最強の陰陽師五人衆のことじゃ。奴らは平和を維持するために編成された、最強の陰陽師部隊じゃ。それぞれの派閥ごとに能力が分かれ、その中でも水命糸を使う者は厄介じゃった。」


 センがため息を漏らす。


「なぜ厄介だったんだ?」

「そのタイプの陰陽師は力技や催眠系ではなく、手数で押してくる。こちらの能力を潰し、じわじわと嫌な感じで迫ってくるんじゃ。特に五星明會の水命糸使いと出会ったら、死を覚悟した方がよいの」


 アオが呟いた。


「水色って性格、悪いよね」


 お前が言うか、と言いたげな視線をセンが向けている。

 私は少し悩んでから、その言葉を否定した。


「性格が悪いというよりも、私が分析するにソラの戦い方は必ず勝つ戦い方なんだ」

「必ず勝つじゃと?」


 私はただソラを眺めていた訳ではない。

 ダンジョン配信事務所『陰陽』の参謀として、きちんとソラを見てきた。


 相手との差があれば、なんであれ普通に圧勝する。


「相手との差が均衡状態であれば、じわじわと手を潰して有利を作る」


 それを今まで何度も見てきた。


「逆に……私が気になるのは、相手がソラよりも圧倒的な格上であった場合だ」

「ははっ、想像できないのぉ~。いるとは思えぬな」

「僕もできない」

「言った私もなんだが、同じ意見だ」


 だが、そんな姿は今までみたことがない。

 ソラよりも強い相手なんて……いや、強い相手はいなかった。


 ぞわぞわと、何かが引っかかる。


 なんだ、この違和感は。


 センが鼻を高くした。


「まぁ、儂が知っておるのは五星明會がいた、ということ。そして奴らは三代目であった」

「三代目?」

「今の現代には失われてしまった情報じゃが、儂の知る頃の陰陽師には世代ごとに区分が作られておった」


 初代陰陽師の世代。

 それは始まりよりも古く、術式の原型を作ったとされる者たちのこと。

 

 二代目陰陽師。

 初代から拾われた子どもたちによって編成され、術式の原型を派生させていった者たち。


 三代目陰陽師。

 二代目から引き継いだ技術でより革新的な能力を使ってくる者たち。

 妖怪たちはこれを……最強の敵と呼んでいた。


「よく論争が起こったものじゃ。初代が一番強かったという妖怪もおれば、二代目が一番という声……儂は三代目しか顔を知らんがの」


 ロリだというのに、どこか感慨深い面持ちを浮かべるセンだった。


「儂は詳しくない。じゃが……儂の父はよく言っておった」


 それは失われた情報。


「二代目の陰陽師は、一番苦労した陰陽師じゃろうとな」

「なぜだ?」

「初代は話によると十人しかおらなんだ。多くの二代目の陰陽師たちが、頑張って技術を広げ、三代目に繋ぎきって見せた」

 

 そうして続ける。


「二代目の頃は疫病や餓死が酷かったらしいからのぉ。人間VS妖怪も苛烈じゃったと聞く。一番……多くの陰陽師と妖怪が死んだのは、後にも先にも二代目の時代じゃろうな」


 最も戦闘を体験した二代目陰陽師たち。

 それが最強という人の理屈も理解はできる。


 その戦乱の世を生き抜いた陰陽師たちは……ソラほど強いのだろうか。


「まぁ、儂らには関係のないことじゃ」

「いや、面白い話だと思うぞ。お前の父親も妖怪なのだろう? 何代目と戦ったことあるんだ?」


 一千年も前の話だ、興味がでないはずがない。


「初代と二代目じゃ。儂の父である阿修羅天狗は、初代は例外なく全員が化け物といっておった。それに比べて二代目は凡人……いや名は知らぬが、口にしてはならぬ奴がいて、そいつは凡人ではないと言っておった」


 そうして、センが告げる。


「『流石は初代最強に見初められ、拾われた男である』と」



新作始めてみました。

なろう向けです。


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