60.お昼のひなたぼっこ
サクヤの提案で、俺はカツさんと身内対抗配信なるものをやることになった。
身内対抗配信って何すんだろうなぁ……と、アカリの屋敷にある縁側で、寝転がっていた。
グラとセンの配信。
ヴァルの配信。
鯉の池配信。
三つの配信を順番にスマホで観ながら、土曜のお昼に浴びるお日様というのは、やけに気持ちがいい。
「でも、身内対抗配信って何すんだろうなー」
「……ねぇ、私の話聞いてた?」
隣に居たアカリに、尖った口調で言われる。
「うん、聞いてた。地下室にある封印が甘くなってる奴を再封印してって俺を呼んだんでしょ」
「そうよ。うちの屋敷って無駄に広いから、蔵以外にも忘れられてる物も多くて困るのよね」
御影一族のように数百年も代々続いているのなら、忘れられている物も多くあるだろう。
ため息を漏らすアカリに、ここで暮らすのも楽ではないのかもしれないと思う。
「そのくらいならお安い御用だよ。こうして貢物も貰っちゃあね」
出してくれたソラマメ豆腐を手に取る。
「あっ、サクヤにこのこと秘密ね。『またソラマメ豆腐で買われたのか!?』って怒られるから」
「またって……あんた、他にもこういうことあったのね……」
よくあります……と言うとアカリにも怒られそうな気がしたので黙る。
なんでみんな、俺を買収するのが上手なのだろう。
どこでその交渉技術を学んだのか、教えて欲しいと思う。
「それで、あんたは身内対抗配信なんてものをやるんでしょ。模擬戦みたいなもんじゃない? 配信者としてどっちが強いか、みたいな」
模擬戦か。
久しくその言葉を聞いた気がする。
「俺とカツさんで?」
「それ以外なら誰がいるのよ」
確かに。
俺とカツさん……どちらが強いか、なんてものにあまり興味はなかった。
『陰陽』なら俺の式神ズは、全員戦闘済み。残る戦闘未経験は、カツさんだけだ。
「あんたは忘れてるかもしれないけど、カツさんって深層冒険者だからね」
「俺……あんまり深層冒険者の強さ知らない……」
だって、ほとんどダンジョンで見かけたことないし。あの人たちって、ダンジョンの深層にしかいないんでしょ。
それにカツさんとアカリ以外の深層冒険者に会ったことないし。
なんか冒険者ギルドガイド、みたいなのに指標があった気がするけど……まともに読んでない……。
「まぁ、私も深層冒険者だし、言えることがあるとすれば……カツさんは私より強い」
アカリは日本の十代若者の中で、五本指に入る実力者だ。
そのアカリがカツさんは強いというのなら、その実力を疑う人はいないだろう。
まぁ、カツさんの実力は俺も認めている。
東京ビアドームでの一件だけじゃなく、配信の際に必要な魔物を討伐する時にも、戦い方は見ているからだ。
「って、あんた驚かないの? あっ、まさか……最初から分かってたみたいな顔してる!」
あっ、やべ、顔に出てた。
「いやいや、そんなことないよ。アカリよりも強いんだって驚いたよ」
「嘘つけ!」
アカリに頬をムニュッとされ「はにゃして~」と抵抗する。
「ところであんた、模擬戦やったことあんの? カツさんは冒険者育成とかで、よく新人や冒険者たちと模擬戦してるのは見てたけど……」
「模擬戦なら、あるよ」
あれ、なんで嘘だぁって顔するんですか。
本当にありますって。
「本当に昔だけどね」
「あぁ、子どもの頃みたいな感じね」
……まぁ、いいや。
実は、俺は模擬戦にあまりいい思い出がない。
「へぇ……いい思い出じゃないのね。聞いてみたいわね」
おや、口に出ていたようだ。
なんかアカリ嬉しそう。
ふにゃっとした顔で続ける。
「うーん……あれは、俺がぼっちになった原因でもあるんだよね……」
隠すことではないから、話してもいいか。
大体、今と同じくらいの年齢だっただろうか。
俺も養成所から陰陽師になった人間で、その中で対人戦の訓練は必須科目として置かれていた。
そして、その頃の俺が使っていた術式というのは、どれも周囲の人間から『頭がおかしい』と評判だった。
更新遅くなって申し訳ないです!
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