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【3月1日発売】ダンジョン配信者を救って大バズりした転生陰陽師、うっかり超級呪物を配信したら伝説になった  作者: 昼行燈


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55/63

55. 『陰陽』の6名


 その日は近所の公園で許可をもらい配信をする。もちろん、誰の邪魔にもならないような場所だ。

 自分なりに考えた配信の挨拶をして、それほど反応が悪くないことに安堵する。


”ソラだ~!”

”新しい挨拶可愛いな”

”急にどうした?”

”可愛いからヨシ!”


「先にちょっと紹介したい子が────ふがっ」


 俺の頬に千年天狗が頭突きをして、配信の画面に映り込む。


「儂じゃ!」


”なんかロリが出てきた!?”

”あっ! あの時のロリ天狗だ!”

”頭突きされたソラの顔で笑うわw”

”どっちも可愛い”

”儂じゃ、で草”


 それから天狗が数秒ほど沈黙すると、上目遣いでこちらを見る。


「……これに向かって話せばよいのじゃろう?」

「うん、そうだよ」

「これの向こうでは、テレビとかいうあの薄い板に映っておるのか。不思議じゃのぉ」


 千年天狗が感嘆の声を漏らすと、コメントが流れていく。それを天狗も読んでいた。


”天狗ちゃんだ~!”

”仲間入りするの!?”

”うおおおお! 可愛いいいい!”


「ふふん、可愛いじゃろう。儂はこれでも千年ボディであるからの。惚れるのは仕方あるまい」


 照れくさそうに喜ぶ。

 アカリから貰った幼稚園~小学低学年までが着ていそうなピンク色の服で、小さな体で胸を張っている。

 本人はこれを悩殺ボディだと思っているらしい。


 それに何かと千年という単語を付けたがるのは、この子の特徴なのだろうか。アカリと風呂に入ってる時も、『髪を洗っていないのは千年ほど』とか言ってたような気がするし。

 まぁ名前からも千年ってついてるから、凄く分かり易くはある。


 俺も語尾にソラとか付けたら良い感じになるかな……。

 

 あんまりイメージ沸かないな、やめておこう。


”可愛いなこいつ”

”流石ロリ天狗”

”強くて可愛いとか最高かよ”

”でも千年天狗ってちょっと言いづらいかも”

”もっと分かり易い名前が欲しいな”

”千年天狗も風格があって良いと思うけど”


「そうじゃ! 儂は風格と威厳がある!」


 腰に手を当て仁王立ちするが、可愛さが勝っていて威厳はない。


「じゃが、確かに少し名が硬いかもしれんの。現代に合わせて、名前を変えていくというのは風の流れに乗るようで理に適っておる」


 数秒悩んだのち、俺に視線を向けてくる。

 なにやら名前が思いつかない様子だ。


 俺からもアイデアを出して欲しそう……? よし、任せてよ!


「俺も一緒に考えるよ!」


” 終 わ っ た”

”もう可愛くない名前になりそう”

”ぽんぽこって名前付くぞ”

”ぽんぽこ可愛いじゃん”

”ぽんぽこはグラビトのあだ名だろ”

”ある意味ではセンスあるぞ、ソラは”


 俺の知らぬ間にネットの間では、グラビトはぽんぽこって言われてたんだ……俺もそれを意識していたから、別に否定はしない。

 まぁ俺もソラマメ、ソラマメ小僧、平安狂、アホの子とか……こう自分で名前を並べていくと、徐々にふにゃっとした顔になっていく気がする。


 どれも愛されていると思えば凄く嬉しい。でも、こう……なんというか、もう少し手心を加えてはもらえないだろうか。


 漆黒の陰陽師!! とか、水の陰陽師とか……色々とカッコいいあだ名があると思うんだ。


 でも、出来れば千年天狗には愛される名前を付けてあげたいな。


「うーん……ソラマメの子で、マメの子とかどう?」

「あっ、ダメじゃ。こいつネーミングセンス壊滅的じゃ」


”wwwwwwwwwww”

”wwwwww”

”草”

”草”

”ネーミングセンスちゃんと終わってて好きw”

”我らがアホの子”

”千年天狗もすべてを察したような顔してて草”


 ふにゃっとした顔で、可愛いのにな~と思う。

 

「そう言われてもナ~。千年天狗は何か思いついたの?」

「根本的に、儂はこの名前を大事にしておる。お主らだって、親からもらった名は大事にするじゃろ?」


 確かに、と思う。 

 コメントでも賛同の声が上がっている。


「じゃろじゃろ。儂もそこからは大きく変えたくはないの」

 

 なるほど、天狗の考えはよく分かった。


「となると……千年天狗だから、センでどう?」


 パッと千年天狗の眼が見開く。

 一瞬、すごく瞳が輝いているように見えて、俺も驚いた。

 

”良いじゃん”

”センちゃん可愛い”

”センは呼びやすいんじゃないか?”

”それで行こう!”


「ふ、ふん……! 儂も別に、その案はとっくに思いついておった! ソラに言わせるまで黙っておったのじゃ!」


”やっぱこいつ可愛いな”

”ぬいぐるみのパジャマ着させたいわ”

”ああ、恐竜のぱじゃま、最近流行ってるよな”


 センがポーズを決めて、ドローンに向かって叫んだ。


「儂の名は千年天狗改め、センとしようではないか!」


”888”

”センちゃん!”

”良い名前だと思う!”

”新しい仲間!”

”ようこそ、アホの子軍団へ”

”これで君も今日からアホの子”


「ちなみに! 儂はソラの仲間になった訳ではない!」


”!?”


 俺にとっては、ここが少し厄介なところであった。

 センは既に、俺の式神としてヴァル達と同じ扱いになっている。


 そこで俺が説明を入れる。


「実はセンって住む場所がなくて、行き場所に困ってたんです。俗に言う住所不定ロリ天狗です……」


”俗に言わねえよwww”

”草”

”草”


「まぁ、そこでうちに来ないかって言ったんですが……」

「陰陽師は嫌いじゃ!」

「この通り、陰陽師と妖怪なのでなかなか……」


 苦笑いを浮かべる。


”まぁ確かにな”

”なんか違う意味で仲いい”

”これはこれでアリな関係性”

”可愛い”


「そこで、現代の配信やら情報やらを教えたら……」

「なかなかに面白そうではないか! と思ってな! 儂も配信者になってみたい!」


”おぉ……?”

”おっと、この流れは……!?”


「ソラが陰陽師の良さを広めようとするのならば、儂は妖怪の良さを広めようではないか!」


 これはサクヤが提案したことであった。

 『千年天狗、配信者になってみないか? 率直に言うともう妖怪の時代は終わっている。お前の望む世界は来ない。だが、配信者は新たに妖怪の世を築くチャンスだ』


 配信で、妖怪の時代を築く。確かにその可能性はある。


『ソラを見ろ。こいつはまさに今、陰陽師の時代を作っている。新しい時代を作れる可能性は、ここに……私たちには十分にある』


 そう提案し、まさかセンがそれに乗ったのだ。

 俺も正直驚いた。妖怪の時代が終わったことを素直に受け入れ、自分もこうしてみたい、とやりたいことがあったとは……。


 陰陽師が嫌いなままでも、妖怪としての誇りと、自分が今できることを考えられるほどセンは賢い。

 賢さ的にグラビト寄りなのかな……なんて思ったりもした。まぁ、だいぶ性格は違うけど。


 誰かや何かを恨むだけじゃなくて、新しくやりたいことが見つかることは凄く良いことだ。

 俺としても最後まで面倒を見なきゃなぁ……とほのぼのと思った。


「儂はこの配信……えーっと、ねっと配信? ダンジョン配信かの。で、新たに妖怪の時代を築いてみせようぞ!」


”おおおおおお!!”

”妖怪の時代!”

”妖怪の配信者っていなかったじゃん……! すご”

”やばwww”


 俺が口を挟む。


「これに際して、ちょっと今日は発表があって……」


”え?”

”まだ何かあるの?”

”ワクワク”


 サクヤの次なる一手。


 それは、たびたびダンジョン配信事務所『陰陽』が抱えていた問題を、一気に解消するものだった。


「ヴァルやグラビト、アオたちも配信者としてデビューします」


 コメントが静まり返る。

 あれ……もしかして接続切れちゃったのかな。


 前だと通信不調だったら、俺はよくペチペチ、って軽く叩いていた。

 けど、それをサクヤに叱られてしまった。精密機械なのだから、叩くな、と。


 なので今は指で突いている。

 

「あれ、接続が切れ……」


 画面いっぱいにブワッと溢れるコメント。


 その量に驚く。


「ッ!!」

 

”うおおおおおおおおおお!!”

”つまりヴァル専門の配信が見れるってことか!!”

”ソラ以外でもソラマメ要素を摂取できるのか!”

”式神を配信者にする発想とかどこから出てきたんだ!?”

”アオの配信みたい!”

”グラビトのモフモフ堪能できる配信プリーズ”

”それぞれの個性が出る配信になりそうですげえ楽しみだわ!!”

”いつやるの!?”

”早く見たい!!”


 どうやら、コメントの量が多すぎてサイト側が処理できていない様子だった。

 数万人以上が一斉のコメントをしたのだ。


 それくらい、この発表は大きいものであった。


 ダンジョン配信事務所『陰陽』メンバー。

 2名→6名。


 ヴァル


 グラビト


 アオ


 セン


 センが仲間に入り、この四名の配信者デビューが発表された日であった。



なんか、本編が凄いことになってますが、もっと凄いことの発表がございます。

近況報告で先に宣伝していましたが、実は去年の六月から連載を開始しました


今作、【ダンジョン配信陰陽師】

このたびHJ文庫様より出版されることになりました!!


わーい、わーい!


それに伴いまして、書籍版では非常に多くの加筆を行い、既存の読者の方も新規の読者の方もより深く、より楽しめように執筆させていただきました。


本編と違うところも多くあったり、書籍版では『もしかして?』っていう情報なども追加し、ぜひ手に取ってご確認いただけますと嬉しいです!


ただ、やはりそれだけではまだ足りない……もっと楽しんで欲しい……!

という頑張りでかなりの時間をかけて……



電子版特典では

なんと、【平安時代のソラ】をメインにSSを書かせていただきました!



本編では絶対に語られることのない平安時代の新鮮な平安狂、ソラくんを摂取することができます。

自信をもって、これだけでも買う価値のある最高の特典SSを作ったと自負しております。


既に予約が開始されていて、来週の金曜日から発売になります。


初動や予約は、2巻へ続くための大変重要な時期です。どうか、一冊でも多くみなさまの元へ届いて欲しいです。

お願いします買ってください。


あと8日後に発売です!予約たくさんしてください!


SNS等での発信をする際は、

X(Twitter)内ハッシュタグ

#配信陰陽師


となっております。少しでもこの作品を盛り上げて世の中にソラマメを布教することができたら、凄く嬉しいです!


定価¥748円


発売日:2024年3月1日(金)

作品のリンク(電子特典付きamazonなど)。


HJ文庫リンク

https://firecross.jp/hjbunko/product/1814


キャラ紹介ツイート

https://twitter.com/HJbunko/status/1755838448794235095/photo/1


■イラストレーター

 福きつね様


 【ダンジョン配信者を救って大バズりした転生陰陽師、うっかり超級呪物を配信したら伝説になった 1】

キャラ:上野ソラ&大神リカ


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ダンジョン配信者を救って大バズりした転生陰陽師、うっかり超級呪物を配信したら伝説になった
3月1日発売!!
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