44.掲示板（５）/ド田舎
【ド田舎ダンジョン・洞穴ファーム】にソラが行くスレpart12
223.この陰陽師が凄い！
ソラがド田舎ダンジョン行くってマ？
224.この陰陽師が凄い！
マジ
配信で行くって
225.この陰陽師が凄い！
未確認の魔物がいるんだろ
226.この陰陽師が凄い！
配信者じゃない冒険者たちも動き出してて、深層冒険者が出てくるっぽいぞ
227.この陰陽師が凄い！
未確認の魔物を討伐して、何かドロップするかもしれないしな
228.この陰陽師が凄い！
速報、賞金が掛けられた！！
……【URL】
229.この陰陽師が凄い！
討伐賞金100万か
230.この陰陽師が凄い！
来たな
231.この陰陽師が凄い！
まぁ、いつも通り
232.この陰陽師が凄い！
未確認の魔物が確認されたら、そいつを討伐した人に100万の報酬だもんな
233.この陰陽師が凄い！
ド田舎のダンジョンだし、危険度はそこまで高くないから安いな
234.この陰陽師が凄い！
まぁ、上層に出てくるような魔物ならな、怖くない
235.この陰陽師が凄い！
ダンジョン配信者は基本来ないだろうな
236.この陰陽師が凄い！
冒険者が来るのかな
237.この陰陽師が凄い！
普通の魔物っぽいしな
238.この陰陽師が凄い！
笑い声聞こえたけど
239.この陰陽師が凄い！
喋る魔物っぽいぞ
240.この陰陽師が凄い！
ソラは妖怪って言ってたぞ
241.この陰陽師が凄い！
ダンジョンに妖怪がいるっておかしくね
242.この陰陽師が凄い！
妖怪って日本古来の魔物？ みたいなものだろ
243.この陰陽師が凄い！
ダンジョンは海外から入ってきた物だから、基本的に海外のモンスターしかいないぞ
244.この陰陽師が凄い！
吸血鬼とか、サキュバスか
245.この陰陽師が凄い！
サキュバス
246.この陰陽師が凄い！
サキュバスとかいる訳ねえだろ
247.この陰陽師が凄い！
ソラがサキュバスと出会ったらどうなるんだろ
248.この陰陽師が凄い！
ソラ汁みたいに吸われる
萎んでくぞ
249.この陰陽師が凄い！
>>248
草
250.この陰陽師が凄い！
>>248
草
251.この陰陽師が凄い！
>>248
草
252.この陰陽師が凄い！
>>248
草
253.この陰陽師が凄い！
ソラについては
どう考えてもエロい方にならないの何らかのバグでしかない
254.この陰陽師が凄い！
存在がバグだろ
255.この陰陽師が凄い！
で、妖怪はいるの？
256.この陰陽師が凄い！
>>255
居ないんじゃない？ 冒険者たちも「妖怪ってなに」って感じだったぞ
257.この陰陽師が凄い！
まぁ、ソラが妖怪みたいなもんだろ
258.この陰陽師が凄い！
>>258
草
259.この陰陽師が凄い！
>>258
草
260.この陰陽師が凄い！
ソラマメ妖怪
261.この陰陽師が凄い！
>>260
新しい用語を増やすな
262.この陰陽師が凄い！
ソラマメ豆腐
ソラマメ小僧
ソラマメ妖怪
良い感じにシリーズが増えてきたな
263.この陰陽師が凄い！
まぁ、今回は大したことなさそうだし
そんなに話題にはならさそう
264.この陰陽師が凄い！
>>263
お前、ソラマメ初心者か？
ソラは大抵、『特に話題にならなさそうｗ』から
日本の話題を全部持ってく奴だぞ
＊
とある土地に【ド田舎ダンジョン・洞穴ファーム】があった。
そこで発生した未確認の魔物に、百万の賞金が掛けられた。配信者ではない冒険者は、このような機会はあまりなく、大金を楽に稼げるチャンスだと思っている。
それに多くの人も潜るため、何かあってもすぐに人が駆けつけてくる。
この状態は普通にダンジョンへ潜るよりも安全で、駆け出しの初心者がワンチャンを求めてやってくることが多々あった。
もちろん、配信者も未確認の魔物と戦うことはバズるきっかけになりえる。
「現場に居合わせた大神リカさんに、中継が繋がっております！」
「どうも～、大神リカです～」
わらわらと冒険者が集まっているド田舎ダンジョンに、煌びやかな美少女がいる。
よくテレビにも出演していることから、安定感のある大神リカが取材され、それが生中継でテレビ放送されている。
今夜のダンジョン関連のニュースは、すべて大神リカが出てくるだろう。
それを見ていたダンジョン配信事務所『陰陽』のリーダー、上野ソラはしかめっ面をしていた。
傍に居たヴァルが式神たちに耳打ちする。
「グラビト殿。ソラ様、何か落ち込んでいませんか？」
「知らん……アオがいけ」
「やだ！」
ソラが落ち込んでいることは目に見えて分かっている。
これからダンジョン配信しながら潜るというのに、この調子では『今回の配信、失敗するんじゃ……？』と不安を抱くのも無理はなかった。
それに気づいたサクヤが、ソラへ近寄る。
「どうしたソラ。今日はやる気がなさそうだが」
「お、俺も……」
「俺も？」
「俺も、あっちのテレビ出たい……」
取材を受けている大神リカへ指先を向ける。
「あっちのカメラ大きいから……！ なんか凄そうだから……！」
それを聞いていた式神三人が頬を引き攣った。
(((えぇ……それが理由……？)))
「そうか。後で買ってやる」
(((それで納得しないと思うけど……)))
ソラがパッと表情を明るくする。
「やったー！」
「……ソラ様」
「なんだ、いつも通りではないか」
「僕はちょっと気持ち分かる……」
和気藹々とした空気の中、それを見ていた冒険者たちが呟く。
「あれが噂の上野ソラかよ……」
「上の空の間違いじゃないか？」
「ハハハ！ 言えてら」
「賞金の100万は俺たちだけどな」
ほとんどの人間は、ソラを初めて生で見る。
配信でいつも見せている穏やかな空気と生粋のソラの性格を間近で見た。
それが、ちょっとした油断……『なんだ、思ってたよりも凄くないじゃん』と思わせる。
例え彼が、若手の中でも一番強かったとしても、それは若手の中である。
ベテランは経験で何とかなるだろう、という余裕がどこかにあったのかもしれない。
だが、彼らは画面越しのソラしか知らない。
「きゃ、きゃぁぁぁっ！？」
ダンジョン入口から叫び声が響く。
大神リカに向けられていたカメラが、そちらへ向く。
冒険者が叫んだ。
「クソ！ 誰か抜け駆けしやがったな!!」
「数が減って良いじゃねえか」
入口から走って逃げてきたのは、女性の冒険者であった。
その背後には大ナタを持った魔物。
「助けて！」
冒険者たちは視線を交互に合わせ、どうするか迷う。
────抜け駆けした奴だぞ、誰が助けるんだ……？
その刹那、ソラが誰よりも前に出ていた。
「────水命糸」
「へっ……」
女性を襲おうとしていた魔物が、一瞬で両断される。
その迫力に場が圧倒される。
「「「────ッ‼︎」」」
その場にいた者たちは思う。
（こいつが、生で見る上野ソラか……‼︎）
（冗談だろ！？ 見えなかったぞ……！）
（今、何したの！？）
（早っ!!）
水命糸を振り解き、ソラが息を吐いた。
「大丈夫？」
ソラが手を伸ばした。
「あ、ありがとう……」
「気にしないで」
言葉通り、ソラは特に助けたことに恩を着せることなく、前へ歩き出す。
誰かがつぶやいた。
「これが……」
これが現若手最強筆頭候補────上野ソラである。
「何してるの？ 行こうよ、みんな」
