26.第七術式
その戦いを見ている者は皆、唖然としていた。
ソラとの間に飛び交う術式と、攻防戦に付け入る隙はない。
体術で戦い、距離を取って術式の打ち合い。
今度は剣術にまで発展している。
手助けをしようにも、もしも踏み込んでしまえば足手まといになる。
そう直感で分かっているのだ。
これは……次元が違いすぎる────。
偽ソラが、バッと一面に紙人形をばら撒く。
”何をするつもりだ……?”
”紙使う術式って第三術式だよな……?”
”ソラがまだ一回も使ってない奴だろ”
”どんどん見たことない技が出てくるな……”
”ソラ、こんなに隠してたのかよ。凄っ”
”まだまだありそう……”
パラパラと紙が舞う。
そうして片手で印を組んだ。
「『第三術式展開……』」
「打たせないよ。水命糸」
印を塞ぐべく、ソラが糸を放つ。
しかし、手前で防がれる。
(呪層壁で止められた……ふぅん、戦い方も似てるね)
周辺に散らばった紙が光り出す。
「『陣地入替』」
無造作にばら撒かれた紙人形が入れ替わっていく。
「……相手にすると、俺ってこんな面倒なんだ」
「ソラ様!」
ヴァルが叫んだ。
その刹那、影が走った。
目前に居た偽ソラの姿はもうない。
(適当にばら撒いてた紙人形と位置が入れ替わった……)
”瞬間移動してね!?”
”うわっ!”
”えっ……消えた?”
”シュンッ! シュンって移動してる……!”
”やばwwwなんだよこれwww”
ソラが思考を回す。
(俺なら、適当に入れ変わらない。そして必ず……)
ソラが背後に刀を振るう。
「ここ」
キィィン……! と火花が散る。
刀と刀の衝突。
”すげえええ”
”なんで分かったんだ!?”
”思考が同じだから……?”
”あんな速いのに……!”
鍔迫り合いになる。
(魔物の種族はおそらく……ドッペルゲンガーって奴かなぁ。イレギュラーで発生したか? でも、どういう仕組みで……)
ゼロ距離で観察し、思考を回すソラ。
だが、相手は待ってなどくれない。
「『第七術式……』」
「人の術式を勝手にバンバン使わないで欲しいなぁ……」
(誰も怪我させず、守りながら戦うって結構大変なんだよ? そこら辺分かってるんですか。俺の偽物さん)
印を組もうとする偽物ソラに、無理やり手をねじ込んだ。
「一緒に印を組もうか」
「『────ッ!!』」
”ふぁぁぁぁ!?”
”なにやってんだこいつ!?”
”どうなるのこれ……!”
”なんだよこの戦い……!”
”相変わらずやることが頭おかしい!”
「「『第七術式展開……』」」
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