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第87話:エルフ


そうして、厄介な真実っぽいことに気付いてしまった……などと考えながら歩いていると、先導していたメイドさんが立ち止まり、振り向いて話しかけてきた。


「今回は先日のようなことは決して起こりませんので、ご安心ください。既に万全の布陣を敷き、万が一にも御身に危害が及ばぬようになっております。如何なる凶刃であろうと、此度の会談に於いて御身を傷付けることは叶いません。ですので、そのように警戒されなくとも大丈夫です。警護は我々に任せ、どうか緊張をお解きください」


あれ?もしかして心配されてる?

あー……考え事しながら歩いていたから、緊張してると思われたかな?それと、メリルさんの正体などという厄ネタに思い至ってしまったがために、警戒に似た雰囲気を出してしまったのかも?


「大丈夫です。ご心配をおかけしました。皆さんのことは信頼していますし、余計なことは考えないようにします。行きましょう」


「かしこまりました」


そう言って再び先導を始めるメイドさん。

うーむ……今回はこうして歩いていてもでかい魔力は感じないし、やはりあれは前回の人が何かしていたのか?皆さんを信頼してはいるが、念のため自分でも警戒系を全てアクティブにしておくか……

普段はプライバシーもあるし、あまり範囲を広げず、感度も低くしてあるのだ。だって、ねぇ……何だか覗き見してるみたいで、気が引けるんだもの……




うわーお……いっぱいいらっしゃる……

何だ?この厳戒態勢。普段の感度では気付かなかったけど、ここまで凄いことになってたのか……

これが所謂VIP待遇ってやつですか?アハハ……これ、アクティブにしない方が良かったかもしれん。逆に緊張するわ、こんなもん!


まぁ、いいや……警戒系のスキル上げと思って、このままにしておこう。ちょっとどころではなく落ち着かないが、これも修行ということで。


そうこうしていると、扉の前でメイドさんが立ち止まり、ノックしてから中に話しかける。

うん、何か数日前にも見た光景ですね。この後、直感が働いて臨戦態勢に入ったんだよねー……


あれ?今回は、扉を開けた後のメイドさんの立ち位置が前回と違う。

前回は、開けた扉の外側?ドアノブ付近で扉か閉まらぬように押さえる感じの場所に立っていたのだが、今回はもっと内側というか、蝶番のある付近、それも部屋の内側で私が通るのに邪魔にならない位置に立っている。

ちなみに、扉の裏側の見えない位置に一人いて、扉を押さえてるっぽい。ご苦労様です……


そんな前回との違いを観察していると、中から声が掛かる。


「カヅキ、大丈夫ですよ。ここにはあなたを傷付けるようなものは誰もいません。私が存在することを許しません。だから、安心して入ってきていいのですよ?」


「すぅぅ、はぁぁぁ……わかりました。失礼します」


一度、落ち着くために深呼吸をしてから返事をして部屋の中に入る。




そこには、メリルさん以外に2人の女性がソファの前に立っていた。

片や少女、片や初老の女性、顔立ちが似てるから祖母と孫娘だろうか?どちらも長く煌びやかな金の髪と長い耳、緑を基調とした色合いの服装、何よりも整い過ぎている容姿……おそらくエルフではなかろうか?さすがファンタジー世界、やっぱりお約束の異種族はいるのね。


でも、思ったよりも背が小さい?エルフは長身ってイメージがあったんだが、2人とも小柄な私よりも少し低いくらいの身長しかない。たまたまなのだろうか?

前の人はどうだったっけ?よく覚えていないが、メリルさんがフルボッコにしてた時の体格を思い出すと、メリルさんより背が高いようだから、この2人が小柄なのか、もしくはこの種族の女性全般が小柄かのどっちかなのだろう。


「初めまして、渡来人のカヅキと申します」


「初めてお目にかかる、深淵の森の郷の長老、フェルシアと申します」


「初めてお目にかかります、同じく深淵の森の郷のシャルリシアと申します」


「私の自己紹介は必要ないでしょう。カヅキ、何も心配することはありません。ですからこちらへ来て座ってもらえるかしら?そちらの2人も座っていただいて結構です」


「わかりました」


「「ありがとうございます」」


それにしても、何故2人なのだろう?

前の人の代わりであるなら1人でいいはずなのに……いや、長老が来ているということは、戦争回避のための交渉役として郷の責任者が自ら来たのか?となると、私の師匠はもう1人の少女なのか?


「それで、私が呼ばれたということは、お二方のどちらかが私の師匠になるということでしょうか?」


郷への攻撃云々という話題が出る前に、私の分の用事を済ませて、早く作業場へ戻ろう。なんか嫌な予感がする。面倒に巻き込まれる前にさっさと逃げよう!


「いいえ、2人共あなたの師匠となります。フェルシアが木工を、シャルリシアが弓を、それぞれ教えることになります」


あれ?どういうことだ?確かにどっちもエルフ向きの職ではあるけれど……

ではあの前の人は?まさか両方1人で、ってこと……?


「本来であれば、サイスに両方受け持ってもらうつもりだったのですが、しばらく会わないうちに中身が腐ってしまったようです。そのような者にカヅキを任せるわけにはいきませんからね。代理として郷で最高の腕利きを用意させました」


代理の方が腕がいいっておかしくない?まぁ、二極と特化の差といえばそれまでなんだけど……郷で最高の腕利きを引き抜くとか、どういうことなんですかね?

生産と戦闘のトップいなくなって大丈夫なの?ああ、それにフェルシアさんの方は長老って言っていたし、政治のトップでもあるよね?

政治、軍事、生産という、統治に必要な3本柱のトップが不在って……郷の運営が非常に心配になるのですが……


「えっと……それはさすがにマズいのではありませんか?フェルシアさんは長老でもあるようですし、言うなれば政治、軍事、生産の各トップを引き抜いた形になるわけですから、郷の方に混乱や不備が生まれるのではありませんか?」


「それについては、ワシから説明しましょう」


おお、長老自ら説明してくれるとはありがたい。

今のメリルさんだと、自業自得ですの一言で済ましかねないからなぁ……


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