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第80話:もう一人の・・・?


「でも、ヒヨコの従魔ってどんな子なのかな?もしよかったら、今度会わせてもらえない?」


ん?もしかしてと思っていたけど、やっぱりフィアを従魔として認識できていないのか……

あれだけこちらを窺っていたのに、今も肩に乗ってるのが見えてるはずなのに、そんなことがあるのだろうか?それも従魔術師が?ありえないとは思うが、実際に気付いていないっぽいしなー……?


「会わせるも何も、既に視界に入っているでしょう?お気付きになられませんか?」


「え……?視界内にいる?」


ソニアさんが視線を忙しなく動かす。そして私の肩でその動きが止まり、何度か瞬きをしている。


「えっと……もしかして、だけど……その肩に乗っかっている毛玉みたいなのは……」


今日だけで何度目かもわからぬ、その驚愕に満ちた顔を見ながら静かに頷く。


「ええ、この子が私の従魔であるヒヨコのフィアです。フィア、起きてもらえる?」


そう言って優しくトントンと指で叩く。


「ピィ……?」


「おはよう、フィア。一人紹介した人がいるから、目を覚ましてね」


「ピィィッ!」


首と足を伸ばし、頭が完全に出て来てくることによって、毛玉からヒヨコの姿になると、わかったと言わんばかりに一声鳴く。

その間、ソニアさんの目は開きっぱなしになっていた。


うーん、驚かせてばかりで申し訳ないが、これはこの至近距離で視界に収めながらも、気付かなかったソニアさんの落ち度ということで……もしこの世界にSAN値のステがあったら、ソニアさんのSAN値は今日だけでがっつり減っていたのではなかろうか?


「そちらの女性がソニアさん。これから私に装飾を教えてくれる人なので、仲良くしてね」


そう言いながらソニアさんを指し示すと、「ピィピィ」と鳴きながら、うんうんと頷いてくれる。

そして、会いたいと言った当の本人はといえば……未だに固まっていた。


「ソニアさん。ソニアさんからも何か一言お願いします」


「はっ!え、ええ。わかったわ。えっと……あたしの名前はソニア。明日からカヅキに装飾を教えることになったから、これから仲良くしてね」


それを聞いたフィアは、先程と同じように「ピィピィ」と鳴きながら、うんうんと頷いてくれる。これで紹介と挨拶は終わったな。

さて、どうするか……フィアも起きたし、インベントリの実演も兼ねてご飯でもあげるか。


「テーブル、少し使わせていただきますね」


そう断りをいれてから、水の入った器と焼きたての兎肉(カット済み)を載せてある皿を取り出してテーブルに置く。


「はい、フィア。食べていいよ」


「ピィィィ!」


一声大きく鳴くと、テーブルに乗り、湯気の出るステーキを食べ始める。それを見てからソニアさんの方を向くと、案の定驚いていた。


「一体どこから……それに、何で焼きたてのお肉が。しかも切ってある状態でここにあるの?!」


「インベントリから出したからですよ。フィアが食べやすいように切ってから収納していただけです。焼きたてなのは時間停止してるからですね」


「…………」


またしても唖然としているが、もうそろそろ慣れてもらえないだろうか?驚くのだって疲れるだろうし、そういうものだと思っていただきたい。


「メリル~……」


もはや半泣きに近い表情で、メリルさんに縋ろうとするソニアさんだったが……


「何を今更……これくらいのことで一々驚いていては、カヅキの師匠は務まりませんよ?もう十分に驚いたでしょう?早く慣れてください。明日から装飾を教えるのでしょう?」


「なんでよ~。なんであたしが悪いみたいになってんのよー……そうじゃなくて、ここはあたしを援護して励ますところでしょう?」


「いい大人が何を甘えたことを言ってるのですか。あなたはこれからカヅキの師匠となるのですから、もっとしっかりしてもらわなければ困ります」


「うわーん!味方がいないー……」


ソニアさんには大変申し訳ないのだが、あなたにもこっち側へ来てもらいましょう。常識を持ったまま非常識の世界へ投げ込まれ、頭を抱える側へ……




フィアがご飯を食べ終え、再び肩の上で眠りにつく。ほんと大物だねぇ、この子は。


さて……これでソニアさんとの面通しは十分だろう。あとは、ここに来てすぐにボロボロにされて運び出された人のことかなー……?確かサイスって名前だったか?おそらく師匠候補なのだろうが、最初からこれでは先が思いやられるなぁ……


「ソニアさんとの面通しも済んだところで、もう一人の、この場からいなくなった、おそらくは師匠候補であろう人のことを教えてもらってもいいでしょうか?」


そう質問した瞬間、それまで穏やかに私とソニアさんのやり取りを見ていたメリルさんの雰囲気が変わる。あ、ソニアさんがビクッとした。


「ああ、あの者のことなら忘れてもらって結構です。心配しなくても大丈夫ですよ。あなたが案ずることは何もありませんん。代わりはすぐに用意します。いえ、させますので、あなたは何も気にせず装飾の修業に励んでいてください」


いや、気にするわ!むしろ、その台詞を聞いてすげー心配になってきた……


「いえ、さすがに気になります。それに代わりをすぐに用意させると言いましたが、相手方にも都合があるでしょう。それに手紙もこれから書くのでしょうし、そんなに急ぐ必要はありませんよ?」


「あちらの都合など考慮する必要などありません。あの者はあろうことか、カヅキに弓引いたのですよ?それがどれほどの大罪か、知らしめねばなりません。実力を知りたかったから?絶対に怪我をさせない自信があったから?そんなことは言い訳にもなりません。カヅキに対し攻撃の意思を示し、警戒させた。その時点で許されざる愚行です。万死に値すると言っても過言ではないでしょう。故にあの者のみならず、その郷にも償いをさせます。今より3度目の日没までに謝罪と人員を寄越さぬ場合は、敵対の意志ありとみなし、今までの友好関係を破棄し、郷を攻め滅ぼすことも視野に入れると、既に使いを出しました」


ちょっと待てぇぇぇぇぇぇい!やり過ぎ!やり過ぎだからっ!!

万死に値すると言っても過言ではない?十分すぎるほど過言だよっ!むしろ一死にも値しないよ!

確かにびっくりしたし、謝罪させるくらいならいいだろうけど……本人のみならず、その郷にまで求めちゃダメでしょ?!

しかも返答は3日後、というか実質2日後だよね?それまでに終わらせなければ攻め滅ぼすって、完全に宣戦布告だよね?いくらなんでも大事にし過ぎだ!


おまけに、既に使いを出したってどういうこと?

書状を書くどころか、誰かに何らかの指示すらしてなかったと思うんですが、一体いつの間にやったんですかね?仕事早いってレベルじゃねーぞ?!


本人フルボッコにしてたから、それで済ますのかと思ってたら、裏で戦争準備とか洒落になってない……

過保護が暴走して狂乱レベルになっておられる。どうしてこうなった……


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