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第78話:デタラメすぎる!


「私もインベントリに関しては知識がないので、教えてもらえますか?」


「はい。構いませんよ。インベントリは40種類、各99個まで、大きさの上限はわかりませんが、マジックバッグと違って口がないので、大抵の物は入りますね。重量は多分関係ないです。布、水の入った樽、金属インゴットなど、重さではなく個数で管理されてますから。それと最も大きな差は時間停止していることでしょうね。インベントリ内に肉などを入れておいても全く変化しません」


「う、嘘よ!さすがにそれはデタラメすぎる!そんなものを持ってる連中が大量に来たら、冒険者はみんな廃業じゃない!」


うーん、そう感じるのも無理ないかもしれないけど、多分そんなことにはならないと思うなー……だって、連中は自分で使うからねぇ……


「それはないと思いますよ?依頼でもされない限り、住人側には何も渡さないでしょうからね」


「そんなはずないでしょ?彼らだって戦闘職は狩りをするのでしょう?その戦利品を売ってお金にするわけだから「渡来人の生産職に売るでしょうね」え……?」


「住人にも戦闘職と生産職がいるように、渡来人にも戦闘職と生産職がいます。戦闘職が狩りをして素材を生産職に売り、その素材を加工して戦闘職に売る。これはどちらも変わりません。そして現状、住人の中で渡来人と関りがあるのはギルドの受付嬢くらいで、それ以外だとほとんどいないと思います。つまり、同じ街にいても住人と渡来人は一緒にいないんです。住人と渡来人、それぞれが独自の生活をしているから、市場に大きな変化がないのではありませんか?最初の数日、あれだけの人数が一斉に狩りをしたのにも関わらず、街中に肉や皮が溢れなかったのは何故だと思います?渡来人は渡来人にしか売らなかったからではありませんか?」


そう言いながら、メリルさんへ確認の意味を込めて視線を送る。


「確かに、当初予測された物価の変動は、予測よりずっと少ないものでした。人に対する問題が大きく、そちらに注視できませんでしたが、流入してきた人数や受けた依頼の数を考えても、住人側に渡された戦利品はかなり少なかったと見るべきでしょう。であれば、カヅキの推論が正解に近いのでしょう」


やはりというか、この人はしっかり街の状況を見ていたな……おかげで裏付けが取れたけど、有能過ぎて怖いわー……


「であれば、やはりその時点で既に、渡来人のみで構成された市場が出来上がっていたと見た方がいいでしょう。そして渡来人には固有の連絡手段があるため、それによって市場のことが知れ渡り、結果そこにしか物が流れず、住人と渡来人の市場が分断されたのだと思います。一度大勢の人間によって取り決められたことは、個人もしくは少数で変えることは難しい。そのため、これからもこの市場形態は余程の大事が起きない限り、変更されることはないでしょう」


今度はソニアさんへ視線を向ける


「つまり、今後も渡来人がどれだけ狩りをしようと、あたしたちに影響はない?」


「皆無ではないでしょうが、平民に影響はほぼ出ないでしょうね。むしろ困るのは上層部ではないでしょうか?彼らが力を付け始めたら、放置しておくわけにも行かないでしょうし……」


いずれ、ギルドなりクランなりが実装されるだろう。バカは淘汰されるようだから、まともな集団ができるのだろうが、それはそれで戦力的に脅威になると思うんだよね。それなりの実力と良識を持ち、連携が取れる集団となると、相手をするのはなかなかに大変だろう。


「ですので、今ギルドに所属している住人の冒険者さんたちにも、然程影響はないと思います。あくまでも個人的な予測でしかありませんが……」


「そう、なのね。それにしても……渡来人って何でもありなのね。不老不死にインベントリ、カヅキはさらに生産の才能まで持ってるんでしょう?」


「どうなんでしょうね?メリルさんはあると言っていますが、私はメリルさんに言われるまで、そういったものが存在すること自体知りませんでしたから」


「自覚はなくとも、間違いなく持ってますよ。そうでなければ、裁縫スキルを3日で習得などできないでしょう?」


「はぁぁっ?!3日で一人前になったっていうの?!ほんとどうなってるのよ!」


私に言われても困るんですけど……その才能を与えたのは女神であって、私が努力して身に付けたわけじゃないんですよ……


「そんなことを言われましても、特別なことは何もしてませんよ?教えてもらう通りにしてただけですから」


「知識も技術も教えれば教えただけ、どんどん吸収するものだから、つい楽しくなってしまって……思わず、ほぼ全ての技術を教え込んでしまったわ」


「何してんのよ……それ、メリルが主犯じゃない。教える方も教える方だけど、それを全部覚える方も大概よね……」


「装飾は何日でスキル習得するのかしら?今から楽しみね」


「装飾の修業は明日からですか?」


「ええ、その方がいいでしょう。それなりに時間も経っているし、ソニアも驚き疲れていそうですからね」


「一体誰のせいで驚き疲れたと思ってるのよ……」


ということは、これからは空き時間ということか……

課題の服の仕様を考えるか、それともソニアさんに従魔術のことを質問するか……服はどうせ今日中に完成させることは無理だしな、従魔術にしておくか。


「ソニアさん、まだ話せるようでしたら、従魔術について質問してもいいでしょうか?」


「え?従魔術?別にいいけど……まさかそっちにも手を出すつもりなの?!」


「というか、手を出した方がいいといった感じでしょうか?」


「どういうこと?」


「実は従魔術関連のスキルを何も持っていないのに、既に従魔がいまして……どうすればいいのかわらないので、とりあえずご飯食べさせて一緒にいるって感じになってます」


「はいぃ?あなたは何を言っているの?従魔がいるってことはテイムしたんでしょう?」


「卵を拾ったので、1週間ほど抱っこしていたら無事孵化したんです。そうしたら、その時点で従魔になってました」


「……なにそれ。カヅキ、あんたって子は……本当に何やってんのよ……」


そんなことを言われましても、卵を投げつけてきたのは女神ですし、生きてるってわかってるのに放置するわけにもいかないわけで……


「私はただ抱っこしてただけですよ?」


と、しれっと答えておいた。事実だからね、仕方ないよねー……


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