第71話:頭の中に直接
「ただいま戻りました。遅くなってすみません」
「おかえり。大方、帰ろうとしたけど引き留められたんだろう?」
「よくおわかりで……」
「そりゃあねぇ。それで飯は食べて来たのかい?」
「いえ、まだです。向こうで食べるなんて言ったら、一体どんな騒ぎになるのか、考えたくもありません……」
「確かにねぇ……張り切り過ぎて、あたしの3倍くらいテーブルに並べそうだ」
「……冗談じゃありませんよ。そんなに入るわけないでしょう?メリルさんは何であんなに過保護なんですかね?」
「そりゃ、そんな見た目してるからだろうねぇ。誰が見たって、一人で街の外に行けるようには見えないからね」
「子供じゃあるまいし、そこまで酷くありませんよ。危険地帯へ行くというのならともかく、街道を通って他の街へ行くくらい、おかしくないでしょう?」
「不安だねぇ……だからみんな、世話を焼きたがるんだろうね」
「納得いかないんですが……」
などと話し込んでいたらご飯が出来たらしい。ちゃんとフィアの分も用意されているのがありがたい。
でも、私と同じものを同じだけ食べるフィアの食欲は凄いな……明らかに自分の体積以上に食べているのに、全く苦しむ素振りもなく、おいしそうに完食するのには素直に感心した。
食事を終えて部屋に戻って来ると、まず自分とフィアに〔洗浄〕を使ってさっぱりする。それからフィアを枕の隣に降ろして、自分もベッドに横になる。
今日も大変だったなぁ……
特にメリルさんとの舌戦が……うん、あれは正しく戦いだったな……全く、どうしてあそこまで甘やかそうとするのか、理解できん………
とりあえず、明日からは普通に裁縫を習えるようになるはずだ。なるよな……?
その後のことは……もう知らん!どうにでもなれって感じだ。というか、もう私ではどうしてみようもないという方が正しいと思う。
あの様子だと、早ければ数日後には新しく師匠になる人が屋敷に来るのだろう。
それを境に続々と人が増えていくはずだ。何人呼ぶとは聞いていないが、下手をすれば10人近く呼んでいそうで怖いが、今更どうなるものでもない。
どんな人が来るかも不明なら、私を弟子として認めるかも不明なのだ。その都度、直接会って対応するしかないのだから、今ここで何を考えようと無駄なのだ。だから考えるのをやめる。
下手に考え続けると、また嵌りかねんからなぁ……
≪システムメッセージ≫
<特殊スキル:全建築 を獲得しました>
<特殊スキル:全土木 を獲得しました>
<特殊スキル:全造船 を獲得しました>
<特殊スキル:全車両製造 を獲得しました>
<特殊スキル:全楽器製作 を獲得しました>
<特殊スキル:異界言語 を獲得しました>
<特殊スキル:製造道具知識 を獲得しました>
<特殊スキル:異界料理知識 を獲得しました>
<特殊スキル:地中精査 を獲得しました>
<一般スキル:操船 を獲得しました>
<一般スキル:演奏 を獲得しました>
<一般スキル:歌唱 を獲得しました>
<一般スキル:栽培 を獲得しました>
<特殊アイテム:道具セット を入手しました>
<特殊アイテム:工具セット を入手しました>
<特殊アイテム:楽器セット を入手しました>
<特殊アイテム:種セット を入手しました>
<特殊アイテム:簡易工房 を入手しました>
うおっ!?って、今度は何じゃぁぁぁぁっ?!
何でこんな大量のログが………ん?このラインナップ……まさか、ほんとに地球側に賠償請求したのか?あの女神………
しかも私が思い付いたやつ、全部持って来たんじゃね?調整するとは何だったのか。それにしても仕事はえーな……
さらにどうしたことか、私が要求してないものまで混じってるんですが?一体何があったし……
こんな大量に搾り取って大丈夫なの?恨まれてない?やり過ぎはよくないよ?
とはいえ、あの女神が地球側に対して容赦や手加減をするとは思えないんだよなー……何しろ、滅茶苦茶怒ってたからなぁ……おそらく一切返還する気もないんだろうな。
まぁいいや、それは置いといて……それぞれの説明でも見ておくかー。
全建築:
あらゆる神殿、城、寺社仏閣、都市、橋などの建築を可能とする。過去に築かれた全ての建築物の完全な設計図と部品図を内包し、部品製作から組み立て、仕上げまでの全ての技術も内包する。
全土木:
あらゆる土木工事を可能とする。神殿や城などの地盤構築から堀や水路、地下通路にダムなどの治水工事に至るまで、地面に関するあらゆる施工法と技術を内包する。
全造船:
あらゆる船舶、艦艇の造船を可能とする。過去に造られた全ての船の完全な設計図と部品図を内包し、部品製作から組み立て、仕上げまでの全ての技術も内包する。何故か砲弾や魚雷なども含まれている。
全車両製造:
あらゆる車両の製造を可能とする。過去に造られた全ての車両の完全な設計図と部品図を内包し、部品製作から組み立て、仕上げまでの全ての技術も内包する。何故か砲弾や追加装甲なども含まれている。
全楽器製作;
あらゆる楽器の製作を可能とする。過去に作られた全ての楽器の完全な設計図と部品図を内包し、部品製作から組み立て、仕上げまでの全ての技術も内包する。
異界言語:
異なる世界において使われていた、あらゆる言語を内包する。かつて使われていた失われた言語も、極一部の者たちが作成し使用する独自言語含め、全て網羅している。
製造道具知識:
あらゆる製造道具の性能や扱い方を内包している。利便性や性能により失伝したものも全て含まれている。
異界料理知識:
異なる世界において使われていた、あらゆる料理法を内包する。過去に作られた全ての料理のレシピに加え、温度や湿度、タイミングに至るまで、全ての情報を内包する。
地中精査:
一定範囲内の地中の状態を詳細に探査することが可能。地中に存在する鉱物や生物はもちろん、地層、空洞、水脈、温泉などの詳細な情報を得ることができる。
はい、とても有用ですね……有用過ぎて学ぶことが何もないですね。もう既に全てインプット済みですか、そうですか……
うん、今まで知らなかったはずの図面やら知識やらが、いくらでも思い浮かべることができますね。それも超はっきりと!
これ、大丈夫?頭、爆発したりしない?他の知識が、ところてんみたいに押し出されたりしない?
というか、現時点でもアレなのに、まだ半分くらいしか説明見てないんだった……
もう既に全部頭の中に入ってるっぽいけど、何ともないから多分大丈夫だとは思うんだが……やっぱりちょっと怖いわ、これ……
だって、いつの間にか今まで知らなかった知識や技術が、自分の中に大量にあるんだよ?!突然過ぎて自分の頭の中が大丈夫なのか、そりゃ心配になるってもんでしょ?!
確かに私が望んだ知識と技術だけどさぁ……便利で有用だけどさぁ……もうちょっと、こう……緩やかにして欲しかったなー……




