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第68話:増える過保護


「まぁ、私の最終目標は置いておいて……今は裁縫を学ぶのが先ですね」


「確かにそうですね。とはいえ、長期的目標である生産と戦闘の基礎を学ぶための準備も必要になります。まずはそちらから手を付けた方が効率的でしょう」


「え?そっちの準備と言われましても……生産は素材を集めに行く必要があるので、裁縫を学び終わってから伐採に手を出そうかと思っていたんですが……それと、戦闘用の武器は木工を取ってから、自作するつもりなのですが……?」


「やはり先のことを既に見越していたようですね。ですが師匠となるものの手配は、まだできていないのではありませんか?」


「ええ、それは確かに。あまり目立ちたくはありませんが、各ギルドに行って学ぶつもりですから、わざわざ師匠候補を探す必要はないでしょう」


他にあてもないし、ギルドなら初心者の育成担当とかもいるかもしれないし、素材も値段によるがそこで買えるかもしれないし、もしくは店を紹介してもらえる可能性もある。


「まだ何も手を付けていないなら、こちらで師匠となるものを呼んでおきましょう。それと生産で使う各種資材もこちらで用意しておきますので、安心してください」


うん?今、変なこと言ったぞ……?師匠となるものを呼ぶ?どれの?まさか全部じゃないよね?しかも、これから手配するってことは、ほぼ同時に来るのでは?いやいや、無理だよ?いくら超越種でも身体は一つしかないからね?複数同時とか出来ませんよ?


「えっと……資材の手配はまだわかるとして、師匠を呼ぶとはどういうことでしょう?」


「言葉通りに、あなたの師匠として相応しい者をここに呼ぶのですよ」


あ、やべぇ……これ暴走する予感しかしねぇ………

下手すると大事になりかねん。なんとか穏便に済むように説得せねば……


「いやいや、それはやったらダメなやつでしょう?おそらく結構な実力者を呼ぶつもりなのでしょう?相手にだって仕事も生活もあるわけですし、勝手に決められても相手だって困るでしょう?しかも呼び出した人が元辺境伯爵夫人となれば、相手は断れないでしょうし、場合によっては悪目立ちどころか大事になる可能性もありますから、そういうのはやめましょう」


「大丈夫ですよ。あなたがあらゆる技能を修めても目立たぬように、既に引退した知人に来てもらうだけですから。もう仕事もしていませんし、暇を持て余している老人たちを呼ぶだけですので、何処にも迷惑は掛かりませんよ」


「……この屋敷にそれだけの人が纏まってきたら、それだけで周囲の人たちは何事かと思うのではありませんか?しかもおそらくは、元とはいえ、かなり名の通った人たちではないかと思うのですが、そんな人たちなら容姿も知られているのではないのですか?」


「もう、この街で覚えている人は少ないでしょう。昔、ここにいた時期もありましたが、当時とは容姿も変わっていますし、そうだと気付く人はさらに少ないでしょう。それに一度に纏めて来るわけではありません。今はそれぞれ別の場所に住んでいますからね。連絡するにも、ここまで来るにも時間が掛かりますから、到着は別々になることでしょうし、目立つことはないでしょう」


ぬおぉぉぉぉ、押されてるぅぅぅぅ………

えっと、あと他に反論材料はー……


「それに一度に呼ばれても、私の身体は一つしかありませんし、複数のことを同時にはできないので、他の人たちを全員待たせてしまうことになります。それに教わる内容が内容なだけに、一つの分野だけでも結構な期間が必要になるでしょう。ですので、最初の1人2人くらいならまだしも、それ以降は相当な期間待たなければならなくなります。場合によっては数か月から半年くらい掛かるかもしれません。さすがにそれだけの長期間、ずっとここにいてもらうわけにもいかないでしょう?」


「確かに結構な期間、待ち時間が発生するでしょうが、半年くらいならどうということもありません。こちらの世界では、王侯貴族との面会する際、結構な期間の待ち時間が発生します。例えばですが、私が王城で謁見する事になった場合、この屋敷へ戻って来るまでの期間は2か月から3か月ほどになるでしょう。そのため、王侯貴族をはじめとする上流階級の者と、その者たちと関わりのある者たちは、待つことに慣れています。ですから、何も心配することはないのです」


あー、うー………ダメだこりゃ。

半年待機がどうということはないとか言われたら、もうなんて返したらいいかわからんよ……

名も知らぬ引退者たちよ、すまぬ。私ではメリルさんを止められなかったよ……


「そうですか……ですが、そんなに長期間、家を空けて来ていいのですか?家族の方は?」


「あなたが心配することは、何もないのですよ。全てこちらで、いいようにしておきますから」


「……わかりました。よろしくお願いします」


うん、もう何も言うまい……


「ええ、任されました。そうそう、次は木工を修めて武器を作ると言っていましたし、そちらだけ急いでもらいましょう」


「え…?いえいえ、そんな急がなくていいですよ。まだ裁縫にも手を付けていないのに、待たせるだけで申し訳ないですから」


急がせておいて、来てみたらまだ裁縫が終わってないとか、だったらなんで急がせたってことになるからなー……


「ゆっくりで構わないんですよ?別に急いでいるわけでも、期限があるわけでもないのですから。空き時間ができたら、別なことをしていればいいだけです。もっと気楽に、のんびりと。焦ってもいいことなんてありませんから」


「そこまで言うのでしたら、急がせるのはやめましょう。」


「そうしていただけると助かります」


あぶねーなー……会話を重ねるたびに、どんどんたがが緩んできているような気がするのは何故だろう?このまま緩み続けて外れてしまったら、何かマズいことが起きる気がするんだが……この緩んだ箍の締め方がわからない。どうしよう……


「それでは早速連絡用の書状を書いてこようと思うのですが、それなりに時間が掛かるので、裁縫は明日からでもいいでしょうか?」


「はい、それで構いません。私は平原にでも行って、体の変化を知ろうと思います。ついでに採取もできますしね」


「え?平原に行くのですか?」


「はい。あそこなら広いし、足元に草も生えてますし、何より危険な生物がいませんからね。それに今なら誰もいないので、例え転んだとしても誰に見られる心配もありませんから」


「…………ダメです。認められません」


「はい?」


「今のあなたは、体の制御がうまくできないのでしょう?そんな状態なのに、人目のないところで倒れたらどうするのです?もしおかしな倒れ方をして、うまく起き上がれなかったり、動けなくなったらどうするのです?人目がないということは、助けも望めないということです。そんな危険な行動は認められません!」


え、えー……何これ、どうなってんの……?

とんでもなく過保護なこと言ってるんだけど、どうしてこうなった?というか、いつからだ?さっきまではこんな過保護じゃなかったよね?

まぁ、師匠候補を呼び寄せるとか生産資材を揃えるとか言ってる時点で、過保護要素は顔を出し始めていたんだけど、行動を制限するような素振りは全くなかったのに……


はぁぁぁぁぁ……まーた説得フェイズ入るのか、メンドイなぁ………でもやらないと活動制限入りそうだし、やるしかないかぁ……


何か、私だけ別ゲーになってないか、これ……?


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