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第65話:覚えていませんね

おかげさまで、10,000PV達成致しました!


これも普段から本作を読んでくださっている方々のおかげです。

数多の作品の中から本作を選び、読み続けていただいていることに日々感謝しております。本当にありがとうございます。


これからも毎日更新を途切れさせぬようにしていくつもりですので、今後も読み続けていただければ幸いです。


                    2023年4月8日  天楼


「本当に何も知りませんでしたよ。この世界の貴族についてなど、図書館でも調べていませんでしたしね」


「それなのに、即興であれだけ真実味のある妄想を描いたというのですか?」


「ええ、あの程度であればきっかけさえあれば、いつでも思い浮かべられますし……」


「あの程度?あんな……怒りを抑えるのも難しくなる程の酷い状況を、いつでも?」


「慣れていますから。面倒事や厄介事は望まぬ時にこそやってきますし、何でこんな時にと思うようなタイミングで悪化させ混乱を振り撒く。事態を収束させようと足掻く者を嘲笑うかのように、最悪のタイミングで災禍が舞い降りる。絶望の蔓延する只中で、せめてこれだけはと握り締めた大切なものは、嘲笑と共に奪われ目の前で踏み躙られ砕かれる。それは別に珍しいことじゃない。いつでもどこででも起きている、当たり前の日常。だからこそ、常日頃から備えていなければならない。奪われぬために、踏み躙られぬために、砕かれぬために、最悪の事態を想定し、どう対処すべきかを考える。考え続ける。最悪の事態は千差万別。無数にあるそれらに対処するために、事態の推移を遡る。そして各段階に分け、それぞれの時点での対処法を考える。事態の予兆を考え、発生前に潰す方法を考える。対処法に対処された時のことを考える。事態の悪化が早まった時のことを考える。複数の事態が同時に発生した時のことを考える。事態に対処しようとした時点で災禍が舞い降りた時のことを考える。己が生き延びるために、己が己で在り続けるために。そういったことをしていれば、あの程度のことならすぐに思い付きます」


あ、やべー……何かつらつらと出てきた。昨日の今日でこれでは、どこかで女神がピキッっていそう。

やはりまだ精神的に安定してないのだろうか?情緒不安定さんは仕事しなくていいのよ?休暇あげるので、しばらく旅行にでも行っててください。


「カヅキ、あなたは一体………今まで何を見てきたというの?どんな生き方をしてきたというの?」


「……覚えていませんね。忘れてしまったようです」


正確には記憶を消されたんですけどね……


「そんなはずはないでしょう?先程の話はあなたの過去、体験談ではないのですか?であれば、それに付随する記憶がないはずがありません」


「先程の話に具体的な例はなかったでしょう?あれは単にそういう考え方があるというだけの話です。それを続けていれば慣れていくという説明でしかありません」


「………私はそれほどまでに信用できませんか?昨日会ったばかりの相手に、信用しろという方が無茶だと言う事は百も承知しています。ですが、どうしてでしょう?どうしてもあなたを放っておけないのです。我が子が独り立ちする時ですら、ここまで心配することなどなかったというのに」


「先程から、些か衝撃的な話がいくつか出ましたからね。まだ動揺しているのでしょう。きっとその心の揺れを心配と勘違いしているのですよ。一度休めば落ち着くと思います」


多分それに加えて、私の称号が悪さしてる気がするけど……それは黙っておこう。


「いえ、大丈夫です。それよりも、言葉だけでは信用できないと言うのでしたら、正式に契約を交わしましょう。もちろん書類も後ほど作成し、王家にも写しを預けることにしましょうか。内容は、私はカヅキに関する情報の一切を秘匿し、決して漏らさぬことを誓いましょう。誓いを破りし時は、この首を差し出します。また賠償金として土地屋敷を含む私財の全てを支払うこととします」


はいぃぃぃぃぃぃっ?!ちょっと待って、超待ってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

重い、重いよ!重すぎるよ!!なんでこんなことに首懸けてんのさ?!さらに私財まで!おかしいから、めっちゃおかしいから!私の過去にそこまでの価値ねーからっ!!


「えっと……それはさすがにやり過ぎです。私の過去にそんな価値はありませんよ?」


「私にとってはそれだけの価値があるのです。この首を懸けるだけで、カヅキの信用を得られるのでしたら、何を躊躇う必要があるでしょう?」


そこは躊躇って欲しかったなぁ……というか、メリルさんがいつの間にか、半ば狂信者じみた状態になってるような気がするのは、私の気のせいですかね…?


「あー………もう、いいです。わかりました、信用します。それと契約書は必要ありません」


「信用していただき感謝します。ですが本当に契約をしなくて良いのですか?」


「では仮に契約をしなかったとして、この後で私の情報を奪われた場合、メリルさんはどうします?おそらくどんな手段を使ってでも相手を探し出して、始末するのではありませんか?そして、その後で自ら首を刎ねるのではないかと思うのですが、どうでしょう?」


「……その通りだと思います。よくわかりましたね。いえ、ここはさすがの妄想力といったところでしょうか?」


妄想力……間違ってないけど、人に言われるのはちょっとアレだなー……


「契約をしていないにも関わらず、効力を発揮しているのなら、わざわざ契約書を作る必要はないでしょう。面倒な仕事が増えるだけですから」


「わかりました。ではそのようにしましょう」


なし崩し的に契約を交わしたような状態になってしまったが、私の情報が秘匿されるだけなので問題はないな。ないことにしよう。


「はぁぁぁ、それにしても……私の過去ですか……ここまでして貰って何ですが、本当に言えることは何もないんですよね」


「それはどういうことでしょうか?」


「信じてもらえるかわかりませんが、話そうにもその辺の記憶がないんですよ」


「え…?記憶が、ない?」


「秘匿されることを信じて言いますが……より正確に言うならば、私がこの世界で生きるために不要な記憶は、全て消されているんです」


「記憶を、消されている?何故?一体誰がそんなことを?!」


うん、まぁ、聞かれるよねー……これ、どこまで言っても大丈夫なんだろう?まぁ、適当にぼかして言うしかないよねぇ……



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