表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/220

第51話:おや?卵の様子が・・・?


とはいえ、女神の思惑から外れるのは、そう難しいことじゃない。

まず一つ目は、王女と婚姻できる立場にならないこと。

メリルさんが孫にしようとするのが早いか、それとも私が裁縫を覚えきるのが早いかにもよるが、もしもメリルさんが孫にならないならこれ以上は教えられないなどと言うのなら、教わらなければいい。

それこそ弟子をやめても構わないのだ。基礎さえ身に付いてさえいれば、応用など後からどうとでもなるのだから。


二つ目は、王女が近づけないように街から離れること。

その場合、今後は街周辺に近づけなくなるだろうが、幸いなことに、もう既にある程度サバイバルはできるようになっているのだ。

何度も夜間採取をしているため、野外での料理にも結構慣れたし、野営道具一式もある。まだ武器の修練を全くしていないが、この世界がVRMMORPGであることを考えれば、武器の扱いを覚えるのはそう難しくないはずだ。


今まで魔法はもちろん、武器すら手にしたことがない者たちが、すぐに戦えるようになるべく調整されている以上、その難易度は低いはず。スキル化するには数日掛かるだろうが、スキル化していなくても武器を扱えないわけではないのだから。


動物を狩れれば解体もできるし、料理もできる。生活魔法があるため火種や飲料水、風呂の心配もなく、寝床も用意できる。採取と調薬によって薬も作れるし、スキル化してはいないが植物関連の知識もあるため、食用の野草なども採取していれば食事に問題はないだろう。

こうして改めて振り返ってみると、結構いろいろできるようになってるじゃないか。


アンカーのことを考えると、これ以上誰かに何かを教わろうとするのは悪手かもしれないため、裁縫を獲得したらもう街を捨ててもいいかもしれない。

どうせ他の技能もやっていればいつか覚えるはずなのだ。教わるのはそこまでの時間短縮のための手段でしかない。それならば、いっそ切り捨てても構わないのではないか?

非効率と王女という厄介者、どちらかを選択しなければならないとしたら、私はノータイムで非効率を選ぶ!


非効率は修練によっていずれ解消されるが、厄介者は何時まで経っても厄介者であり、その性質が解消される事はないのだ。

王女は死ぬまで、いや死んだとしても王女、王家の女性として扱われるのだ。そんな特級の厄介者を自分の傍に招き入れるなど正気の沙汰ではない。

それだけは何としてでも避けねば……




などと、見た目と声がいいだけの化物おうじょから逃げるための算段を考えてると、不意に何か小さな物音が聞こえた。それと同時に感じる微かな振動。

思わず閉じていた眼を見開いて、抱いている卵を凝視する。


コツコツ……コツコツコツ…………


断続的ではあるが、微かな音と振動を確かに感じる。それも卵の内側から。

およそ1週間くらいか?思ったよりも時間が掛かったが、ようやく生まれるらしい。


さて、一体どんな子が生まれてくるのだろう?

王女対策も考えねばならんのだろうが、結局メリルさんの今後の動き次第なところがあるので、今すぐに何かできるわけではない。だから今は脇に置いておこう。

それよりも今は卵である。


コツコツと内側から叩くようにしているということは、鳥の雛のような嘴を持っているのだろうか?

これが蛇や蜥蜴などの爬虫類だった場合、こんな硬質な音はしないのではなかろうか?こういった卵生生物の誕生に関する情報など全くと言っていいほど持っていないが、それでもある程度は想像できる。


蛇にしろ蜥蜴にしろ、生まれたばかりの赤ちゃんだと鱗も外皮も柔らかく、歯も生えているかあやしい。そんな状態で卵の殻を内側から破ろうとするのであれば、頭突きくらいしかないのではなかろうか?

その場合、こんな硬質な音ではなく、ドンドンとかゴンゴンとかいう鈍い音になると予想される。あるいは丸まっている体を無理やり伸ばすことで割るくらいだろうか?

以上の理由から、多分生まれるのは爬虫類や両生類ではないと思われる。


他の卵生といえば鳥と魚だけど……魚もこんな硬質な音を立てて殻を割る種類はいないだろう。いないと思う、多分……

あと何よりも、こんなところで魚をはじめとする水棲生物に出てこられても、どうしたらいいかわからない。水槽とか用意してないよ?


それ以外の可能性となると、やはりファンタジー世界特有のなんでもあり設定だろうか?

それこそ人型の獣人とか半魚人、妖精や精霊、霊体やアンデッドとか……あ、ドラゴンとかやめてくださいね。超目立つから!バカが殺到するから!!やつらはドラゴンと聞くだけで目の色を変え、実物を見ようものなら狂喜乱舞する文字通りの狂人と化すからね。とりあえず、3年くらいはドラゴンのドの字も出てこないように、しっかり情報封鎖しておいてください。お願いしますよ、運営。


あとは、そうだな~……あまり好戦的じゃない子だといいなぁ。やたら敵に突っ込んで行っては怪我をするような子だと、見てるこっちが辛いからね……

理想を言えば、大人しくて賢くて、普段は静かに採取や生産をしている感じで、好戦的ではないが戦えば強い。各種耐性を持っていて、自分は状態異常にならないけど、相手には容赦なく状態異常を振りまくような…それでいて攻撃が通りにくい上にめっちゃタフで自己回復も持っているといいなぁ……やっぱり傷ついたり倒されたりするところは、できる限り見たくないしね。だって、可哀そうだもの。


鳥類でデバフ持ちで倒しにくいとなると……まぁ、真っ先に思い浮かぶのはコカトリスだよねー。

とはいえ、大抵のRPGで中ボスだったり、毒の沼地の主だったりと、割と重要ポジにいることが多いコカトリスになるものだろうか?

いくら分岐多めの特殊な子とはいえ、ボス系統にはならない気もするが……この子、あの女神のお手製なんだよなー………

あの女神の場合、たとえこの子がレイドボスまで進化しようとも、「その子なら護衛にピッタリですね。これならあなたも安全でしょう」とか言って、むしろ喜びそうな気がするのは何故だろう…?


まぁ、なんだ。何はともあれ、今は無事に生まれてくれればそれでいい。

どんな風に育てるか、どんな子に育つのかは後の楽しみに取っておけばいい。

今はただ、新たな命の誕生を見守ろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ