第44話:新米薬師
≪システムメッセージ≫
<一般スキル:調薬 を獲得しました>
ああぁぁぁぁぁっ!なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
うっそだろぉぉ?いくら何でも、これは早すぎるだろう……?
私が作った回復薬なんて、まだ2桁しかないぞ?
仮に、先の収穫物による経験値ブースト説があっていたとしても、薬草以外の素材を使った回復薬の経験値どれだけになるよ?とんでもない数値になるぞ?!
それとも、私の仮説が根本から間違ってるのかなぁ…?その可能性も十分にあるっちゃあるんだけど……
もしかして、何を何個以上とかが条件なのか?
そして今回は、単独でこれらの回復薬を一通り失敗せずに作る事とか?(目の前にある完成した自作回復薬を見ながら)
でもなー……それにしたってスキル獲得が早すぎるのではなかろうか…?
何しろ、住人にとっては一人前の証のようなものなんだよ?それなのに、基礎から教え始めて僅か数日で独り立ち可能なところまで成長されたら、師匠の立つ瀬がなくなるじゃないか……
これ、マールさんに伝えるべきなのかなぁ?
うわー、すげー悩む……どーしよ……?
でも、教え育ててもらった成果を伝えないのは不義理だよなぁ……
黙っていてもモヤモヤするだけだし、やはりきちんと伝えよう。
マールさんはまだ来ないみたいだし、何か作ってみるかなー?
うーむ……まだしばらく戦闘をするつもりはないから、回復薬ではなく毒薬の濃縮によるランクアップでも試してみるか。
まずは微毒草を使って通常の微毒薬を2つ作る。
次にそのうちの1つを、毒の成分が変化しないように弱めに加熱し続け、水分を飛ばしていく。
水分が半分になったら、別の微毒薬の半分をゆっくり加えてもう一度水分が半分になるまで飛ばし、残ってる半分をもう一度ゆっくりと加えて、濃度が一定になるように良くかき混ぜる。
「ただいま~。うん?それは何をしているのかな?」
「おかえりなさい、単なる思い付きで微毒薬の効果が2倍にならないか、試しているところです」
「それって、毒性を強くしてるってこと?」
「ええ、そうです……よし、一応完成。さて、どうなってますかね?見てもらっていいですか?」
詳細知覚のことはさすがに黙っていよう、あれは厄ネタすぎる……
「いいよ~。え~っと…?なるほど、確かに毒性は強くなっているけど、精々1割増しってところかな?ただ、効果の持続時間が2倍近くになっているね~」
「あー、そっちの効果が伸びましたか…」
「ちなみに、これをどうやって作ったか聞いていい?」
「単純に水分量を半減してみました。1つを毒性が変わらない温度のまま加熱して、水分を飛ばしてから減った分を継ぎ足して、1つ分の水分を飛ばして成分を2倍にしただけですね」
「やっぱりね~。誰でもやるよね。あたしもやったし」
「やりましたか。まぁ、効果を上げたいなら、素材自体を変えればいいだけなんですけど、今ある素材でより効果の高い物をって考えると、手っ取り早いのが成分を増やすことですから」
「うんうん、わかるよ~。でもそうならないんだよね~…」
これで効果が上がるなら、より上位の素材なんて必要なくなるからね。
だから、効果の強さではなく長さが伸びるようになっているんだろう。
「それはそうと、一通り作ってみたので、こちらも確認お願いします。」
「はいはい、まかせて~」
評価的には及第点であっても、売り物になる程度の出来であれば十分だろう。
どうせ自分しか使わないのだ。
わざわざ買いに行かなくても、いつでもどこでも在庫を補充できることが大事なのだ。
「うんうん、どれも問題ないね~。この出来ならもう十分に売れそうだよ。一人だけでこの品質を維持できるなら、もう新米薬師を名乗ってもいいくらいだよ~」
「ありがとうございます。これもマールさんに丁寧に教えてもらえたおかげです」
「いやいや、これはカヅ坊がすごいんだよ?普通は教わったからって、こんなあっさり作れるようにならないからね?」
「教え方が上手だったからこそ、ここまで早く成長できたんですよ。その証拠に、先程の課題を全て作り終えた時に、調薬スキルを獲得しましたからね」
「え……?いやいや、まさかそんな…さすがにそれはないでしょ~。だってまだ教え始めて数日だよ?」
「確かにそうなんですが…実際に獲得した私の方が困惑してますよ?おそらくですが、商品として売れる品質の回復薬を、一人だけで一通り作れるようになったからではないかと」
それくらいしか条件が思い浮かばないんだよね。何しろ、今までと比べても異様に早いもの…
料理や解体なんて1か月掛かってるのに……この差はなんだろうね?
「そりゃまぁ、確かに全部売り物になる品質だから、一人前と言ってもいいんだけど……これがさっき聞いた、渡来人はスキルを獲得しやすいってことなのかな?」
「どうなんでしょうね?さすがに自分でも今回は早すぎると思っていますし……解体なんて1か月掛かってますからね」
「あ~…何でもすぐに成長するわけじゃないのね、それでも十分早いんだけど」
「スキルは獲得しましたが、ようやく売り物ができた程度なので、これからも適度に通いたいと思っていますが、いいでしょうか?」
「うんうん、それは構わないよ~。お客さん来ない時は暇だしね~」
「ありがとうございます。私も少し落ち着きたいので、今日はここまでして一度寝ようと思います」
「そうだね~、それがいいかも。それじゃ、また明日…はダメそうなんだったね。まぁ、好きな時に来たらいいよ~」
「はい、それでは失礼します。おやすみなさい」
「うん、おやすみ~」
その後は部屋に直行して、すぐに抱き卵付きで寝ました。おやすみなさーい。




