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第40話:経験値


結局、その日は薬草6種の講義で終わり、翌日は回復薬作成の実践となった。

まずは調薬の基礎からということで、基本の薬草の扱い方を教えてもらう。

わざと失敗と成功を繰り返させて、その都度説明をしてくれたおかげだろう。実に覚えやすかった。


雑貨の説明もだが、マールさんは人に物を教えるのがかなり上手いと思う。

おかげで調薬に対する理解度は急速に深まったと思う。自分だけでここまで来るには、確かに相当な時間と素材が必要になっただろう。マールさんには感謝しなければ。




その翌々日、夜間採取の最中についに採取スキルが生えた!


ようやくかとも思うが、同時にまぁ、そろそろかとも思う。

今までの経験上、新スキルは大体五日前後で獲得する場合が多いんだよな。

内部経験値が見えないため詳細は不明だが、時間的に約50時間前後くらい?

おそらくは、試行回数及びその成果で経験値が増えると予想しているが、大体1日10時間×5日くらいやり続けるとスキル獲得に至っている気がする。


確かに集中してそれくらいやれば、ある程度までなら感覚が身に付くだろうし、おかしくはないだろう。

その割に、料理は何故か異様に時間が掛かったけど……

それ以外は若干の差はあるが、大体似た感じの時間で獲得してるから、獲得条件として大きく外れてはいないのだろうが、時間当たりの試行回数は、それぞれで結構な差があるのが気になる……


姿勢制御などのパッシブスキルは常時発動であるため、獲得条件が意識して姿勢を整えていた時間であってもおかしくはない。だが跳躍や採取のようなアクティブスキルに近いスキルはその回数が大きく影響するのではないか?(どちらもパッシブスキルだが、行動を伴うという点で感覚系とは違う気がする)

仮にそうだとして、実際に獲得までの時間当たりの試行回数を比べて見ると、採取の方が明らかに少ない。何しろ薬草類は水場に行くまでは疎らにしか生えていないのだから。


試行間隔が、跳躍なら数秒から数十秒に1回だが、それに対し採取は数分から十数分に1回が精々なのだ。そこにはおよそ10倍以上と言ってもいいほどの試行回数の差があるにも関わらず、合計時間ではほぼ同じというおかしな結果が出てしまう。

これだけの差を埋める要素が採取にあるとするなら、それはおそらく採取物であろう。

跳躍はその行動をしたからといって何かが手に入るわけではないが、採取はその行動によって採取物を手に入れることができるという違いがある。

その採取物の質や量によって、経験値が加算されているのではないかというのが私の予想である。

さらに、その採取物の質によっては、相当なブーストが掛かるのではないか?


マールさんは私の採取物はありえないほど高品質だと言っていた。

それは、採取を狩りになぞらえた場合、本来倒せない大物を倒す所謂ジャイアントキリングに相当するとしたら、本来であれば得られるはずもない大量の経験値を得られる可能性があることになる。

であれば、全ての採取物が高品質だった私は、ありえないほどの膨大な経験値ブーストが掛かっており、結果的にパワーレベリングに等しい高速育成を行ったのではなかろうか?

もし、この仮説が正しい場合、戦闘で雑魚狩りをしたとしても、その戦利品によっては経験値効率を飛躍的に伸ばすことが可能なのではないだろうか?


その場合、どう戦利品の質と量を増やすかが鍵となるだろう。

そのために必要なのは、ドロップ率とレアリティとドロップ数を増やすことだ。だが、ドロップ率はあくまでも確率であって、それ故に100%以外は確実性に劣る。レアリティとドロップ数の上昇に至っては、称号以外にあるのかすら、わからない。


まだ実際に狩りをしてないので推測でしかないが、例えば肉をドロップする敵を倒した場合、それはおそらく”○○の肉”などと表記された同一のアイテムになるのではなかろうか?

だが、それは一体どの部位なのだろうか?


VRゲームは初めてだからどうだかわからんが、○○の肉や○○の皮といったアイテムの場合、1頭分まるごとになるのだろうか?おそらく違うだろう。

何故なら、もし1頭分の皮が手に入るというのであれば、大型モンスターから手に入れた皮なら、皮鎧の素材として使用したとしても、相当な量余るのではないか?それこそ対象の大きさによっては数着、もしくは十数着分の素材となってもおかしくないと思う。


ゲームが進み、敵が強く大きくなるごとに、強い装備がより大量に作られるようになるのはおかしいだろう。

通常はその逆で、ゲームが進めば進むほど、敵が強く大きくなるほど、一つの装備の素材として要求される数量は増えていくはずだ。


そして、その必要な数量は常に一定であることからも、ドロップする素材の大きさ、量は一定であることがわかる。さらに言うなら、同じアイテムとしてスタックできるというのであれば、それは全く同じアイテム、即ち○○の肉だった場合、全て同じ部位の肉ということになるわけだが……それ以外の部位の肉は一体どこへ行った?


肉なら肉、皮なら皮、それぞれどこの部分の物なのかもわからない謎の部位の肉や皮だけを残して、それ以外の大量の肉や皮の方が消えていることになる。

つまり、通常のドロップアイテムはその一定量以外の部分は消滅していることになる。実にもったいない!


これら、ドロップアイテムとして認められなかった、あるいは除外された大量の部位を余すことなく全て手に入れることができたなら、アイテムの取得量は遥かに多く、また本来手に入るはずのなかった、ありえないアイテムまで手に入れることができるのである。


これはそのまま、経験値量にも反映されるのではないか?

そう、採取により入手したありえないアイテムによって経験値量が跳ね上がり、短時間でスキルを獲得できたように、戦闘スキルを短時間で獲得できるようになるのではないか?

これは是が非でも検証して確かめたい!


そして、そのために必要なのが、消滅している部位をアイテムとして獲得することである。

ではどうすればそれが可能となるのか?


その答えは、おそらく”解体”を成功させることではないだろうか?


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