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第37話:雑貨屋?


そろそろ門が近づいて来たし、卵をリュックに入れよう。

宿に戻るまでだから、少しだけ我慢しててね~…


今日はこれと言って街中に用事はないので、そのまま宿に…いや、まだ早朝だから開いてないと思うけど、一応雑貨屋に寄ってみるか。

もし開いているなら回復薬の入れ物を買えるだろうし、この後の調薬で入れ物不足の心配がなくなるから心情的に楽になるしね。


「あら、カヅ坊じゃない。おはよう、今帰って来たの?」


「おはようございます。ええ、夜間採取から今戻りました」


うわー……こんな早朝から店を開けてるんだ。まだ夜明けからいくらも経ってないぞ?


「そっかそっか。うん、怪我もしてないようだし、大変よろしい」


「平原しか行きませんからね…マールさんこそ、いつもこんな早朝から店を開けてるんですか?」


「開けるだけ開けておけば、今のカヅ坊のように朝帰りのお客が来ることもあるからね~。開けたままでもご飯を食べたりすることは出来るから、困ることはないしね」


「まぁ、確かに…それはそうと昨日話していた回復薬の入れ物とかを売ってもらえますか?宿でご飯食べた後で、調薬の練習しようと思っているので」


「はいはい、もちろんいいよ~。ちょっと待ってね~………ところで、調薬の練習は宿の部屋でするつもりなの?」


「ええ、あそこなら何か作っていても、他の人に知られる事はありませんからね」


何よりどれだけ失敗しても、それを見られることはない。変なやり方や配合とかしても誰にも気付かれないというのは、精神的にとても楽だからね。


「でもそれだと誰にも教えてもらえないでしょう?図書館で調べてたらしいけど、そんなに詳しく書かれていたの?」


「いえ、調薬に関しては初歩的なことしか書かれていませんでしたね。もしかしたら昔はもっと詳しく書かれた本もあったかもしれませんが……ああでも、薬師の歴史的にわざと残さなかったのかもしれませんね。それと、誰にも教えてもらえないことについては、それでいいと思っています。保護や管理、調整されるくらいなら教えてもらわなくて構いません。」


「ええ~…初歩しか知らないのに自分だけでやろうとしてるの?それに教えてもらわなくていいって…」


「道具と基礎知識があるのなら、あとは試行回数でどうとでもなります。教えに関しては束縛のデメリットが大きすぎて割に合わないので、どうにもなりませんね…」


こればっかりは、ほんとにどうしようもないなぁ…あまりにも面倒くさすぎる。

私から見れば、自由に出来る範囲が多少広いだけで、結局隷属してるようにしか見えないからね。

何故、自ら檻の中へ入らねばならんのか、コレガワカラナイ。


「う、う~ん……これは……どーしよっかな~………?」


「どうかしました?」


「あ~、うん、え~っとね……むぅ~~~、うん、カヅ坊ならいい、かな…?」


はて?珍しくマールさんが悩んでおられる。

ここまでの会話で悩むような話題はなかったと思うが…?


「カヅ坊、一度宿に行ってご飯食べて来てくれる?それまでに用意しておくから~」


「え?はい、わかりました。ではご飯食べたらまた来ます」


「うん、いってらっしゃ~い」


うーむ…あの口ぶりだと何かを渡すか教えるかといった、こちらに何かを与えるような感じだったが、一体何を?

話の流れからすれば、調薬を教えるとも思えるが……その場合、マールさんが非登録の薬師で、それも他人に教えられるほど調薬に長けているということになる。

なるのだが……実際にあるか?そんなことが…

確かにゲームとして見るならば、最初の街の単なる雑貨屋の店員が実は重要人物だったり、ものすごい技術者で弟子入りするとすごい物が作れるようになるとかあったりするけど……まさか、ねぇ…?


むしろ、秘伝書というか手引書みたいなものの方がありえるか?

それを読んで基礎から実践していれば、何も知らない素人からでも、上級には届かないが中級くらいには手が届きそうになるような、手書きの本とか…




そんなありえないような、あったらいいな的なことを考えながらご飯を食べてから、再びマールさんのところへ行く。


「おはようございます?マールさん、ご飯食べて来ましたよ」


「おかえり~、それじゃあちょっとこっちに来てくれる?」


そう言って店の奥に行くマールさん。

まさかと思いつつもついて行くと、台所のような場所に通される。そしてその奥、陰になっているところにある階段を通って地下倉庫(?)っぽいところを反対側まで移動し、大きめの木箱のふたを開けるとその中にさらに階段があり(ナンデアルノ?)、階段を下りた先、まだ通路は続いているにも関わらず、踊り場から少し進んだところで止まり、壁に触れたと思ったら隠し通路が現れ(いや、おかしいだろ!?)、その通路の奥まで進み、行き止まりになったところでまた壁に触れると壁が回転して向こう側へ(どんでん返しまであるのかよ!)、壁の向こう側は放射状にいくつもの分かれ道になっており、その内の一つを進んでいる途中で止まると、いきなりジャンプして天井に手を付いたと思ったら、縄梯子が落ちてきた(ここは何処の忍者屋敷ですか??)。

梯子を上っている途中で止まると、またしても(今度は背中側に)隠し通路が現れ、そこを進んで行くとようやく扉が見えた。


この世界の雑貨屋はどうなってんの?!おかしいだろ!もうこれ、王城の緊急避難用の隠し通路と言っても誰も疑わないよ?!

なんで最初の街中にこんなのがあるのさ!ここでこのレベルなら王都はどんな地下大迷宮になってんの?

ほんと、このゲームの開発陣、頭おかしいのしかいねーの?この分だと、絶対他にもいろいろ仕込んでるだろ……

などと頭の中で憤りつつ歩いていると、


「はい、着いたよ。ささ、入って入って~」


「えっと…はい、失礼します」


そう言って、私はその扉をくぐった。


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