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第36話:鋭敏感覚


そんなわけで、若干の悲しみを背負いつつも初の野外食事を終え、食後の抱っこをしていると不意に水場の景色が変わる。

月光花が現れたのを確認してから月を見上げると、予想通りほぼ真上に来ていた。

やはり月の位置が関係してるようだ。

あとは月の満ち欠けや雲の状態でどうなるかも調べたいところだが、今はまず採取が先だな。


そうして時間切れまで採取し続けて、採れたのは28本。出現時間が30分程度なので、1本あたり1分強といったところか。

もう少し密集していればもっと効率も上がるだろうが、移動せずに採れる位置に発生していないため、1本ごとに移動していると何気に時間を食うのだ…


さて…月光花も採取し終わったし、どうするかな…

戻るにはまだ早いし、鋭敏感覚の修練でもしてみようか。

前回は手で持っていた卵の方に意識を持っていかれたので、今回は頭の上に乗せておくことにする。

むしろ、そっちの方がバランスを取るために頭に集中しそうだとも思わなくもないが、首筋や手の甲辺りと比べると頭頂部はそれほどでもなかった気がするので、物は試しということでまずはやってみよう。


そして卵を頭に乗せ、目を閉じ、呼吸を整える。

おそらく最終的には、こんな風に意識的に集中などしなくても自然にこの状態に…いや、それ以上の状態になるのだろう。

だが今はまだ、とてもじゃないがそこまでの知覚能力はないし、それどころか集中してさえ、かろうじて極近辺の情報をある程度感じ取れるようになるくらいだ。かなりの集中を要するため、今みたいに安全な場所で止まった状態ならまだ使えるが、戦闘時はもちろん、移動しながらの使用もまだ無理だ。(戦闘したことないけど…)


しかし、この鋭敏感覚はどれだけ育てるのが難しかろうが、時間が掛かろうが、極める価値が確かにあるのだ。

何故なら、この鋭敏感覚には対抗スキルとなりうるものが、おそらく存在しないから。


同じような効果を持つ気配察知には気配遮断という対抗スキルがあり、魔力察知には魔力遮断が対抗スキルとなる。

これらのスキルは、言うなれば特定のものだけを捉えるスキルだ。

周囲にあるその他諸々を除外して、対象として指定したもののみをピックアップすることに特化しているために、その対象として認識するための指標を隠されてしまえば、例えどれだけ範囲を広げようと気付かずに素通りしてしまう。


それに対して、鋭敏感覚は自身の周囲の全てを捉えるスキルなのだろう。

草も木も、対象と見なしていない小さな虫といった気配察知に反応しないものをはじめ、石などの無機物や風や水の流れさえも捉えることが可能と思われる。

それこそ極まれば、水が流れているのがわかるのではなく、水中も含めどれだけの水がどのように流れており、そしてその流れの中で魚や砂がどのように動いているのかまで、完全に読み取ってしまうのではないか?

足の裏から伝わる微かな振動から、地中深くの虫や地下水のことまで見通せるのではないか?

そこまでいけば、もはや自身の知覚範囲内で捉えられないものなど、何もなくなるだろう。


例え気配や魔力、姿や音や匂いに加え感情すらも完全に消し去って近づこうとしても、風や水の流れまでも完全に把握されている以上、そこに今までなかったものが入れば流れが変わり、変わってしまうが故に気付かれる。

人の体は、風も水も透過しないのだ。

既にそこに存在しているため、同じ場所に別の物は存在できない。だから風や水がそこを通ろうとするなら、その場所を避けて通らなければならない。それはつまり、そこに何かがあるということでもあるのだ。

故に何も発していなくても、そこに存在している時点で知覚可能となる。

その域に達する事ができたならば、そしてそれを常時当たり前に展開できるようになったのなら、そうそう不意打ちを受けることはないだろう。


そして、その性質の違い故に、今までの警戒系スキルと鋭敏感覚の効果は重複すると思われる。

育ち切った鋭敏感覚と警戒系スキル全てを一切の消耗もなく常時展開できるなら、大抵の場所でソロ活動することができるだろう。

さらに知覚範囲を広げることができるのであれば、その安全度はさらに上がる。可能であれば半径1kmくらいは欲しい。欲を言えば3kmくらいまで広げられれば、対応もしやすくて助かると思う。


といった理由で、何としても鋭敏感覚と警戒系スキルを極めたいところではあるのだが…警戒系スキルはおそらく危険と思われる状態でないと、かな~り育ち難いと予想している。

なので、まずは鋭敏感覚を育てようと思う。

とりあえずの目標は、一定の感度を保ったまま半径500mまで範囲を延ばすことかな?

それと、感度と範囲を維持したまま走れるくらいにはならないとね。


今後、森に入ることを考えれば、これくらいの警戒域は欲しいところだ。

狼とか熊とか移動速度凄いからなぁ…逃げるにしろ倒すにしろ、まだこちらが弱いうちは十分な準備時間が必要だからね。距離は非常に重要!


そのためにも、暇がある時はなるべく鋭敏感覚を使いこなせるように修練することにしよう。

何、大変なのは最初のうちだけだ。当たり前になるまで育ってしまえば、もう育成に煩わされることもなく、恩恵だけを受けられるようになるのだから。


その時を楽しみに、今はただ己を磨こう。

時間だけはたっぷりあるからね……




それにしても…なんで鋭敏感覚がスキル化したの?詳細知覚に関してはもっと謎だよ?

私の仮説が間違っていたのか、それとも他の条件があるのか?

しかも特殊スキルでレベル表示もないから、成長具合とか全くわからん…


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