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第24話:スキル獲得


その後そんなこんなで、宿の部屋と厨房と図書館の作業室を行き来し続け、更に4日が過ぎ。


作業室を使い始めて6日目の夕刻、遂にその時が来た。



≪システムメッセージ≫

<一般スキル:平衡感覚1 を獲得しました>



いよっしゃぁぁぁぁぁぁっ!きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!


いやぁ、ほんと長かったー……

少しずつ成長はしていたけど、なかなかスキル獲得に至らなかったから、もしかしたらこの方法じゃ無理なのかも?とか疑い始めていたけど、無事獲得出来て良かった~。

でも平衡感覚だけだったのが悲しい……だが、このまま続けていけば姿勢制御もその内獲得出来るかもしれんし、まだ悲観するのは早いはず!

姿勢云々を考える余裕が出てきたのは結構後からだしね。開始が遅ければ獲得が遅くなるのも道理だから、まだまだ慌てる時間じゃない。うんうん。

さて、まだ少し時間に余裕あるし、スキルなしの時とどれくらい差が出るのか検証してみなければ!


ふむ…?あんまり変わらない気もするけど、ゆる~くふんわりと微かな力でそっと支えられている感じがしなくもない…かな?

ま、まぁ…まだレベル1だしね。そんな劇的に変わる方がおかしいということで!

レベル表記があるってことはまだ伸びるし、効果も上がるって事だから今後に期待しよう。


とりあえず、今は思いつきの自己鍛錬でもスキル獲得が可能だと証明されたことを喜ぼう!これなら一般スキルは、努力次第でほぼ全部覚えられるはず!例外はあるだろうけど、それはもう仕方ない。その時になってから考える!

マイアさんにスキル獲得出来たら報告して欲しいと言われているし、今日はもうここまでにして報告に行くか。

棒をしまい掃除をしてからマイアさんに会いに行く。


「マイアさん、お疲れ様です」


「カヅキさん、お疲れ様です。いつもより少し早いですが、今日はもう終わりですか?」


「ええ、実はようやく成果が出たのでご報告に参りました」


「成果ということは…少し場所を変えましょうか」


そう言って席を立ち、移動し始めるマイアさんに付いて行くと応接室に案内される。


「どうぞお座り下さい。今、飲み物をご用意致します」


「ありがとうございます。」


お互いに席に着くと、まずマイアさんから話始める。


「それで…成果が出たと言う事は、棒の上でバランスを取り続ける事でスキルを獲得したと言う事でよろしいでしょうか?」


「はい、その通りです。先程、平衡感覚1のスキルを獲得しました」


「本来、他者のスキル構成やスキルの詳細を聞くのはマナー違反なのですが、その平衡感覚1がどのようなものかお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「構いません。とは言っても名前の通りにバランスを崩し難くなるという効果ですね。まだレベル1なせいもあるのでしょう。ほんの僅か、そっと手を添えてバランスを補正してくれていると感じる程度の感覚ですね。

しっかり支えられている訳ではないので、気を抜けば簡単に崩れてしまいます。」


レベルが10とかになったらどうなるんだろうな?何も考えなくても勝手に体の方でバランスを取って真っ直ぐ立てるようになるとか?


「なるほど、確かに平衡感覚1のスキルのようですね。しかし、本当にあのような方法でスキルを獲得出来たのですね。他の方々は皆さん実戦の中で獲得しておられましたが…」


「いきなり実戦をするのは危険なので、その方法はなるべく取りたくないんです。戦闘を有利に進めるためのスキルなら、戦闘中ではなく戦闘前に取っておくべきと言うのが私の考えなので」


「確かにそれが理想でしょう。ですがそれが出来ないから実戦で鍛えてるのではありませんか?」


あ、これ平行線になりそう……

うーん、どうしよ。これからもここで修練してるとスキル増える可能性もあるし、ある程度こちらの活動方針というか、行動基準を伝えておくべきか?

今後、調薬やら武器修練とかもあるし、その度に説明するのも面倒だしなー。何しろフィールド出るまで下手すると1か月くらい掛かる見通しだから…よし、言ってしまおう。


「私の考え方では、その実戦に備えていろいろなスキルを獲得し鍛えて、出来るなら装備やアイテム類も十分以上の物を揃えてから、地形も生態系も能力や習性までも知り尽くした上で、それこそ敵に襲われる前に一方的に全滅させられるくらいになるまではフィールドに出たくないと思っているんです。私はとても臆病な小心者ですからね。可能な限り事前に危険を排除しておきたいんです」


「それは……さすがに行き過ぎなのではありませんか?それだと何時まで経っても街から一歩も出られないと言う事になりますよ?」


「そんな事はありません。街の周囲には弱い魔物たちもいるでしょう?そしてその強さの上限は判明しているはずです。同時にどこまで強くなればあらゆる攻撃が無効になるのかも。つまりその上限を完全に超えられれば、私でもそこに行けるようになると言うことです」


「そうですね。ですが、その状況を作り上げるには相当の時間が掛かるでしょう。他の渡来人の方々は皆先に行き、一人だけ取り残されることになるのではありませんか?自身の望む強さを得られるまでここに残り、ただ只管に修練を積み重ね続けるのは辛くはありませんか?」


「おそらく大丈夫だと思います。そういうの割と好きなんですよ。特に今回のような明確に成長を感じられるものはやっていて飽きませんし、何より成長を実感出来るのが楽しいですから」


「となると、暫くは様々なスキル獲得のために試行錯誤と修練をし続けるおつもりですか?」


「はい。まだまだ調べなければならないことも多いですし、それが終わるまでは本を読みつつ出来ることをしていこうと思っています」


「わかりました。それと…今回の、今まで戦闘中にしか獲得出来ていなかったスキルも、修練次第では戦闘せずに獲得出来るという事実は、さすがに報告せざるを得ない内容と判断するのですが…

そうなるとほぼ間違いなくカヅキさんの嫌いな面倒事が発生すると思います」


そりゃそうなるよねー!下手すりゃ、また王女とギルマス一同に取り囲まれかねん。しかも前回に続いて大事2回目となったら、前回以上の面倒事になってもおかしくない。

というか、むしろならない理由がないよね?


「まぁ、そうなりますよね。なので報告は致し方ないとしても、その内容は獲得が実証された事とスキル名のみに留めておいていただけると助かります」


「おそらくわたしが報告者という時点で、一部の方々にはバレると思います」


「その方々には、あの時のエミーリア様の命令が効力を発揮することを願うしかありませんね…」


「では修練方法とカヅキさんのお名前を伏せる形で報告させていただきます。今日はこの後は宿でしょうか?」


「ええ、宿で料理の練習ですね。それから夕食、資料整理、就寝ですね」


「料理の練習もしているんですか?」


「こちらに来て3日目くらいからモームさんに教わっています。これも今後必要になると思いまして。ではそろそろ失礼しますね、お疲れ様でした」


「そうでしたか…はい、お疲れ様でした」


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