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第23話:平衡感覚なんてなかった


受け取った棒をインベントリに入れると、そのまま図書館へ向かう。


館内に入ってマイアさんを探すが姿が見当たらないので、先に応接室の掃除に行くとしよう。


「あら、カヅキさん。おはようございます」


応接室に入るとマイアさんが居たので、探す手間が省けて良かった。


「マイアさん、おはようございます。少しご相談したい事があるのですが、よろしいでしょうか?」


「ええ、構いません。どの様なご相談でしょうか?」


「掃除が終わった後で本を読む時に、これを使わせて貰おうと思いまして」


そう言って、先程譲って貰った1mほどの棒を取り出して見せる。


「その棒を、ですか?」


「ええ、実は昨日まで調べていた本の中に平衡感覚と姿勢制御というスキルがありまして、この様な不安定な足場の上に居続けたら、それらが得られるのでは?と思い、どうせなら調べものをしながら出来れば効率的なのではと考えました」


「確かにその様なスキルはありますが、棒の上に乗っているだけでスキルが得られるなどとは書かれていなかったはずですが…」


「ですが、得られないとも、特定の条件や行動を起こした時のみ得られるとも書かれていませんでしたので、ダメで元々、試してみようと思いました」


これでダメなら別の方法を考えないといけないから、早めに試しておきたいんだよね。


「それは……ですが、場合によっては転んで怪我をするかもしれませんよ?周囲からの視線も…それでも試したいのですか?」


「はい、そのために出来れば人目に付かず、転んだとしてもあまり音が響かない場所を見繕って貰えればと、相談させて頂きました」


「…………はぁ、やめるつもりはないんですね。わかりました。それでは奥の作業室をお使い下さい。後ほど鍵は開けておきますので、帰る際には一声お願いします」


「我儘を言って申し訳ありません。ですが聞き入れて下さって、ありがとうございます」


「いえ、問題ありません。もしスキルを獲得出来たら教えて下さいね」


「ええ、必ず。では掃除に入りますね」


「はい、よろしくお願い致します」


退室して行くマイアさんを見送り、掃除をさっさと終わらせる。生活魔法の〔洗浄〕ってほんと便利だわー…

魔力操作も鍛えてるせいか、微妙にではあるが〔洗浄〕の範囲も広がって来てるのが非常にありがたい。かなり先の話になるが、そのうち1回で1部屋の掃除が終わるようになるのでは?


さて掃除も終わったし、作業室で本を読みながら修練に入るか。


そして棒を足場に本を読もうとしたのだが、碌に読めやしない…

最初は1~2秒でバランスを崩しており、本に意識を向けようとした時には崩れた体に意識を持って行かれ、1行読むまでに予想を遥かに上回る時間を要した。

朝から始めて昼頃には5秒くらいは持つ事も増えて来た。読めたページは3ページ目の途中である。効率が悪いどころの騒ぎじゃない。

はぁぁ、一旦休憩するか…


それにしても、私って意外と平衡感覚なかったんだなぁ…

まさか碌に立っても居られないとは、我ながら情けない。

でも実際にフィールドに出る前に、この欠点が露呈した事は朗報だろう。

もし、この欠点に気付かずに足場の悪い場所へ行った場合、探索や戦闘で結構なハンデを背負う事になった可能性を考えれば、探索前の現時点で判明し改善出来るのは非常にありがたい。

まぁ、改善には相当の時間を必要とする気がするが…それはもう諦めて受け入れるしかあるまい。


本を読むスピードも考えると予定が全体的にかなり遅れる事になるが、後の危険度低下のためにもここで確実に身に着けておきたい。料理の方も予想以上に時間が掛かっているし、私って実は結構無能なのでは…?

元々運動神経に関しても、取り立てて悪くはないが良くもない程度だった事を踏まえると、森でのスキル大量ゲット作戦も現状の2~3倍の期間を見ておくべきだろうか?


うーむ、この分だと戦闘スキルの修練に入るまでに1か月くらい掛かるのでは?

一般プレイヤーが普通にプレイしていれば、初日に到達する状況に追いつくまで1か月も掛かるとか、いくら何でも遅すぎじゃなかろうか?それこそ狩猟系や盗賊系プレイヤーだったら…

うん、やめよう。これ以上は私の精神と胃によろしくない!

とりあえず、暫くはこれと料理をコツコツ修練するとしますか。そのうち何とかなるだろうし、何とかなってから改めて考えよう、そうしよう。


そうして僅かばかりの成長を感じつつ、本日の修練を終える。

さて、一応部屋の掃除をしてから終了を伝えるためにマイアさんに会いに行く。


「マイアさん、お疲れ様です。今日はこれで終わりにするのでお伝えに来ました。それと一応掃除もしておきましたので、ご確認を」


「わかりました。後ほど確認して施錠しておきます。それから掃除もしてくださったんですね、ありがとうございます」


「いえいえ、部屋を貸していただいたんですから、これくらいは当然かと。また明日からも使わせて下さい」


「それは構いませんが、実際にやってみてどうでしたか?」


そりゃまぁ、気になるよね。成果はほぼないに等しいが、言わねばな…


「進捗は芳しくないですね。それとどうやら私は平衡感覚に優れてはいない様です。まだまだ先は長そうですね」


「そうですか。今のところあの部屋を使う予定はないので、暫くは使っていただいて構いません。明日からは鍵を開けておきますので、応接室の掃除が終わったらそのまま移動していただいて大丈夫ですよ」


「ご配慮、ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます。では本日はこれで、お疲れ様でした」


そして宿に戻れば、今度はうさぎをひたすら解体する作業が待っているという…



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