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第20話:職業と職種


「スゥ婆さん、こんにちは」


「こりゃまた珍しい組み合わせが来たもんだ。一体何事だい?」


「見て見て、この子!渡来人のカヅ坊だよ。かわいいでしょ?」


「ほう?」


「初めまして、渡来人のカヅキと申します。調味料と食材を買うならこちらがいいと案内されて来ました」


「今日はこの子を紹介に来たんだ。1か月程うちに泊まりながら図書館に通う事になっててね。今後のために今から料理の練習をしておきたいって言うもんだから、連れて来たよ」


「ふむ…どんな生き物も食わなきゃ死んじまう。どんな時でもきちんと料理をして食べようとするのはいい事だ。挨拶もよく出来てたし、渡来人のようだが気に入ったよ」


何か知らんけど気に入られた様だ。やはり挨拶は基本的に有効らしい。でもこの言葉を聞く限り、渡来人はろくに挨拶も出来ないと思われてる可能性が…


「ありがとうございます。料理道具はマールさんから一式揃えて貰ったので、練習次第ですが大抵の料理は出来ると思います」


「そうかい。それでどんなのが欲しいんだい?」


「この予算で、調味料と野菜は普段から多用する物を5種類程、肉は量よりも種類多めでお願いします」


「ふむ、まずは肉の味見という訳かい。いろんな味を知ろうとするのはいいが、量が嵩張るが持てるかえ?」


「渡来人はインベントリと言う特殊な収納を持っているので、ある程度までなら問題ありません」


インベントリの概要は既に教えてあるから次第に知れ渡るだろうし、今後買い物の度に不思議に思われるのも何なので、最初から教えておこう。


「随分と便利なものがあるんだねぇ…はいよ、味付けや焼き方はモームにでも教えて貰いな」


「わかりました。今後もよろしくお願いします」


「ああ、いつでもおいで」


「それじゃ、今夜から教えようかね」


「お願いします」


その後、それぞれの店に戻る道すがら周囲のお店の説明をしてもらい、二人と別れた後で図書館に向かって歩き出した。




図書館に入るとカウンターにマイアさんが見えたので、そちらに向かう。


「こんにちは、マイアさん。すみません、遅くなりました」


「こんにちは、大丈夫ですよ。カヅキさんはわたし達と違い特に時間も決められていませんから」


「それでも一応司書見習いですからね。ある程度はきちんと仕事をしないと」


「そうですね。今は戻す本もありませんし、応接室の掃除をお願いします。その後はご自由になさって下さい」


「わかりました。ではいってきます」


そうして掃除終了後に念のため確認をして貰い、今日の仕事が終わったところでマイアさんに職業と職種、それらに関連するスキルについて書かれている本があるか聞いてみる。


「ええ、ありますよ。ありますがそれほど詳しくは書かれていません。やはりそれぞれのギルドがある以上、詳細はそちらで聞いた方がよいでしょう」


そう言いつつも、関連書籍のある場所まで案内してくれるマイアさんに感謝の言葉を述べ、数冊抜き出して席に向かい読み始める。


そして調べ始めたはいいが、まぁ出るわ出るわ。

区分だけでもこれを考えた奴はバカジャネーノ?ってくらい多い。ログインしたての状態がビギナーで、何処かに所属して身分証を持ち、見習いとして認められた時点でノービス、で次にルーキー、それからようやくまともに職業が名乗れるって言う…


私の場合だと、図書館に来る前がビギナー、マイアさんから司書見習いとして身分証を貰った時点でノービス(今ここ)、次の段階へ進むと新人司書としてルーキーとなり、それを超えるとようやく司書として名乗れるのだが…実はこの司書という職業こそが所謂1次職であり、ルーキーまでは0次職という驚愕の事実!

しかもこれで分類的には初級であり、中級との間にさらに上位職があるので、上級の上位はビギナー含めると実質9番目の職業である。本には書かれてなかったけど、最上級とかあったら二桁突入するぞ!?


おまけにこれは職業であって、職種じゃないっていうのが、もうね…

職業はあくまでこの世界における公的な立場であって、冒険者ギルド所属の冒険者の職業はルーキーの次がF級冒険者であり、上級上位がA級冒険者となるようだ。


なお、冒険者の8割以上がE級、つまり初級上位で止まっており、中級上位であるC級に至っては3%くらいしかいないらしい。B級以上は数えるほどしかおらず、別名英雄級と呼ばれているらしい。

そしてこれは個人的な推測であるが、職業はあくまで立場であるため、おそらくはステータス等に一切関与しないと思われる。

多分ステータスアップやスキルの獲得や上昇などを期待しても無駄な気がする。


多分、受けられるクエストが増えるくらいなんじゃないかな?あと運が良ければ称号貰えるかも?ってくらいだろうか?つまり面倒事が増える可能性が高くなる気がするので、私は上げないようにしようと思います!社会的地位とかいらないんよ…


そして職種。こっちこそがプレイヤーにとって重要な要素だったりする。

所謂剣士とか魔術師とか鍛冶師とか薬師とかである!

みんな大好きクラスチェンジとかある奴ね。うん、この世界でももちろんあるよ。それもたくさん。

え?どれくらい多いか?知らんな。数える気も失せるくらいあったので数えてません。知りたい人はご自分でどうぞ。


だって武器種毎、属性毎に派生するうえ、それらの複合に加えて所持スキルによって解放される条件毎にさらに派生するとか、これ作った奴の頭の中どうなってんだよ…もはや人なのか疑うレベルの内容だったわ。

しかもこれでも一部らしいから、もう知りたいという気すら失せたわ…

運営はこれ全部、きちんと把握できてるんだろうか?各職のバランス調整とか、イベントでの敵のステ調整とかすげー大変そう……


いつか暇になって他にする事が何もなくなった時にでも、ふと思い出したら調べて考察してみるのもいいんじゃないかな?


まぁいいや、職業と職種自体は凡そ理解出来たし、次行こう次。職種に付随する関連スキル!

剣士なら剣術、盗賊なら忍び足、狩人なら鷹の眼、魔術師なら魔術関連とかの必須スキル。

多分特殊な高位職の固有スキルじゃなければ、訓練次第で結構覚えられそうな気がするんだよね。職種に物魔両用のもあったから、少なくとも初期職種のスキルならほとんど覚えられるはず。


でもそこまでするのは時間が掛かりすぎるし、訓練ばかりでお金もろくに稼げないしレベルも上がらないだろう。何よりそれら全てが上がるまでは器用貧乏どころじゃない半端者だ。余程理解のある知り合い以外からは、文句を言われた挙句に置き去りにされかねないだろう。


だが、基本ソロで稼ぎの当てがあり訓練を苦に思わないなら、時間さえかければ器用貧乏を超えた万能を目指せるのだ!

ならば目指そう!万能を!!

何故なら私はそれらの条件を満たしているのだから!


「カヅキさん、そろそろ閉館時間なので退館して頂けますか?」


「………え?退館?」


「はい、かなり集中していた様なので時間を忘れていたのでしょう。もう外は暗くなってきていますし、そろそろ夕食時ですよ?」


えー、うっそだー、これからって時に~…

とは言え我儘をいう訳にも行かないし、大人しく帰るか。宿で料理を教えて貰う事になってるし、すっぽかすわけにもいかない。


「そうでしたか、教えて下さってありがとうございます。ではこれを戻してから帰るとします」


「わかりました。明日もまた来られる様でしたら、今日と同様に応接室の掃除をしていただければ、その後はご自由にされて結構ですので」


「はい、ではまた明日。お疲れ様でした」


「お疲れ様でした」


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