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第2話:人間やめてない?


『え~っと、そろそろ大丈夫ですか?』


「はい、なんとか…いろいろ吹っ飛んだ気がしますが……ハハハ…」


『それでは説明を再開しますね。先程も言ったようにあなたが好むであろう様々な要素を詰め込みました。製造・建築は単純に素材を加工するだけではなく、素材を素材として更に加工することで変質した別の素材を作ったり、製造過程自体に加工して独自の製造法を確立させるもよし、木材に様々な溝を掘り、釘などの留め具を一切使わずに建築することも可能です』


「お…?」


『地形が建築に向かないなら整地をして好みの地形にすることも出来ますし、石畳を敷いたり石・土・木などで壁を作ったり、家の床を掘って地下室を作ることも出来ますし、あるいは洞窟や遺跡を利用してダンジョンのようなものを建造することも出来ます』


「おおー!」


『広大な領地を持ったなら、そこに森や川あるいは湖などを作ったりするもよし、頑強な外壁に守られた城塞都市を築くのもいいかもしれません。』


「それもいいな…」


『他にも海へ出るために船が必要になることもあるでしょうが、その際に地球の船舶を再現してみたり、さらには戦艦と呼ばれる大型の船を作ることさえ不可能ではありません』


「なん…だと…」


『もちろん育成の方もかなり自由度を高くしてあります。種族の多さは当然として、そこに至るための道筋も様々です。何も考えずただ単にレベルを上げるだけでも進化先はいくつもありますが、対象への接し方、食事、戦った相手や戦い方などでも成長の方向性が変わるだけでなく、その対象が持つ特性や技能、趣味嗜好にも影響を受けるため、育てれば育てるほど個性が出てくるようになっています』


「お、おお~……」


『また条件次第ですが、本来固定されてるはずの種族特性や属性なども育成の仕方によっては変化が起きる場合があります。わかりやすい所では水棲生物であるのに火属性を持ったりなどですね。他にも毒に強いとか、アンデッドなのに聖属性に強いなど、育成次第ではありえない様な個体に育つ可能性も否定出来ません』


「そこまでか…」


『またこの育成システムはプレイヤーであるあなた自身にもある程度適用されます』


「え?」


『食事、戦い方、使用技能に加え属性や耐性など、様々な要因で変化します。レベルをただ上げるよりもこういった特性やスキルに分類されるものを育てていくことが、出来る事の幅と深さをより広げてくれるので、序盤はレベルを上げる前に下積みを優先することをお勧めします』


「しれっと爆弾情報出たぞ…」


『特性は主に種族と職種によって決まり、スキルはレベル上昇に伴い解放や取得が出来るようになりますが、プレイヤーの行動次第ではレベル上昇せずともその場で解放、あるいは自動取得出来る場合もあります。』


「レベルを上げなくても取得可能って事?」


『そうです。例えば知識系や耐性系などが該当します。知識系はただ単に本を読むだけでは得られず、完全に理解することによってスキルとしての取得条件が解放されますし、耐性系は毒であればその毒に体が馴染み、毒として認識出来なくなる事が条件で解放されます。』


「毒を毒として認識出来ない体になるって、人間やめてない?」


『そうでもありませんよ。生物は環境に慣れていきますからね。毒沼や毒沼付近に生息する生物はその毒で死なないようになるのと同じです。とはいえ毒にもランクがあるので耐性を超える毒だと当然ダメージを受けてしまうので、その場合より上位の耐性が必要になります』


「毒はランク制なのか」


『毒のランクは、微毒・毒・猛毒・劇毒・致死毒になりますが、所謂状態異常系はほぼ全てランク制です。加えて複合毒というものもあり、その場合は発症する異常全ての耐性を持っていないと耐性として効果を発揮しません』


「それって毒と麻痺の複合毒を受けた場合、毒耐性だけだと無意味ってこと?」


『その通りです。毒耐性しか持っていない場合は麻痺したまま毒ダメージを受け続けることになります』


「え~っと…毒と猛毒の複合とかもある?」


『複合毒としてはありませんが、毒のブレスと猛毒の噛みつきを持つ魔物はいますよ。これはそれぞれ個別の判定になります』


「毒は多分対応する解毒薬を使って治すんだろうけど、複合毒はどうやって治すの?」


『それぞれに対応した複合解毒薬、もしくは状態異常回復薬ですね。状態異常回復薬は様々な肉体的状態異常をまとめて回復出来ますが、それ故に希少で高価になるため入手難易度も高くなります。尚、回復薬にもランクがあるため、ある程度高ランクになると金銭での入手は極めて難しくなるでしょう』


「状態異常が少ない序盤はともかく、複合毒出たら詰むんじゃ…」


『そのために高位神官のスキルや耐性装備があるのですよ』


「あ~…そういやそんなのもあるよね、MMOだもの」


『ええ、元よりパーティープレイ推奨ですからね。ソロでも十分活動出来ますが、そのために必要な準備はかなり大変になると思いますよ』


「むぅ…耐性の取得は現実的じゃないくらい難易度が高いっぽいな~…」


『そうですね。故意に取得を目指すなら、まず微毒の毒薬と回復薬それに時間が大量に必要になりますからね。加えて、毒に侵されている間はずっと苦しみ続けることになる訳ですからそれに耐えられる忍耐力も必須でしょう』


「ずっと苦しむって…どういうこと?」


『先程VRMMOと言ったことをお忘れですか?現実と変わらない感覚で遊べるということは即ち苦痛も現実同様ということです。無論ショック死しないように上限は設けてありますが、ある程度の苦痛までは一切減衰が入りません。そのため、殴られたり斬られたりすれば痛いですし、麻痺すれば痺れますし、毒を受ければもがき苦しむことになります』


「………」


『微毒でも軽い吐き気や倦怠感・眩暈などが発症し、ランクが上がれば文字通りもがき苦しむことになり、薬やスキルなどで回復するか、効果時間が終わるまではそのままです』


「マジか…きつすぎない?」


『長丁場ですからね、すぐに先に進めるようにはしていません。じっくりとこの世界を長く楽しんで貰うためにいろいろを趣向を凝らしました』


うわぁ…すごくいい笑顔をしていらっしゃる。うん、まぁ、この辺の設定作るの、すごーく頑張ったんだろうなぁ…


「ちなみに…毒耐性ってどうやったら条件解放されるの?」


『微毒状態で”360時間経過”することですね』


「……え?」


今、360時間って言った?それって15日だよね?半月苦しみ続けろと??


『本当はもっと長くしようと思ったのですが、最初の入り口ですし短めにしました。各ランク毎に必要時間を延ばすことで調整しました』


「ええ~…え?何これ、どうしよう?」


『耐性装備さえあれば必要ないので、取得出来なくてもそこまで困ることはないはずです』


「あ~、うん…そっか~………まぁ、いいか…」


『でもあなたはずっとこの世界で暮らすのですから、先を見越して各種耐性を取得する事をお勧めします』


「そう、ですか……ガンバリマス……(遠い目)」



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