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第194話:そうなるよねー


その後、非常に厄介な提案を退け、ヴェルを助けて懐かれたことや、森を抜けて家や温泉を完成させたことなどを話した。


「たった一人で、よくそれだけのものを完成させましたね。それらを完成させるだけでも、普通はもっと人数が多い状態で3か月以上掛かりそうなものですが……さらにヴェノムサーペントまでとは、本当にあなたはいつもこちらの予想を超えて、突拍子もないことをしてきますね」


「別に狙っているわけではないんですけどね……その場その場で、行き当たりばったりに対処しているだけで、結果的にそうなっているだけなんですよね。予定は未定と言いますが、ほんとに予定通りにいったことはほとんどないと思います」


大体、どこかの誰かさんのせいで大幅に狂うことがほとんどだけどね!威圧の時みたいに、私が原因の時もあるけど……


「それで、向こうへ移動はいつにする予定ですか?」


「この機会にしておこうと思ってることがいくつかあるので、それが終わり次第ですね。まずはルリとフェルシアさんの引っ越しの準備が整うこと。先の威圧の検証に加え、今回の旅で得た諸々の物品の扱いの取り決めと処分、知り合いへの挨拶回り……くらいでしょうか?」


そういって、ルリとフェルシアさんの方を見ると……


「私共のことでしたらお構いなく。元々、身一つで謝罪に来た身ですので、持ち出すものも特にありませぬ。今日にでも出発することができます故」


「同じく。今日これから移動することも可能です」


うおっ、マジか……そういえば、この人たちは死ぬ覚悟でここに来たんだったな……そりゃ、持ち出すものなんて持ってきてないかー。とはいえ、ここで生活している間に増えなかったのかな?もしかして、いずれ移動することを考えて、増やさないようにしていたとかだろうか?


「いや、さすがに数日は掛かるから、そんなに気を張らなくても大丈夫。多分、死の森で取ってきた品物の詳細や取り扱いについての資料を、マイアさんが完成させるまではここにいることになるでしょうから」


「「承知致しました」」


「死の森で取ってきた品物ですか……ものによっては秘匿した方がいいものもあるかもしれませんね。知ったがために、欲で身を滅ぼす者が出て来かねませんし……有用な資源であれば、冒険者などに依頼がいくかもしれませんが、死の森となると生還率が極めて低くなるため、死者が多発するかもしれません」


まぁ、そうなるよねー。金持ちが知れば、その希少性故に破格の高額依頼を出してでも手に入れようとするだろうし、金に目が眩んだ身の程知らずの冒険者が、無駄に命を散らすことにもなりかねん。いや、ほぼ必ずと言っていい程、そういうバカが出てくるだろう。

だからこそ、ここで世に出る前に、メリルさんやマイアさんにその選別をしてもらおうというわけだ。奥地の物はまず無理だが、入り口付近ならまだ生還率も高いだろうし、アサシンタイプなら何とかなるのではなかろうか?


「そうですね。だからこそ、メリルさんとマイアさんに見てもらって、どう扱うかを決めて欲しいんですよ。私は世俗のことには疎いので、どれにどれくらいの価値があるのか、よくわからないので……」


「おそらく、ほとんどの物は世に出せないでしょう。もしもの時に備えて、マイアに資料は作らせますが、その資料も禁書庫行きは間違いないでしょうね」


「死の森に入ったらすぐに取れる物だと、手前の薄暗い森と変わらないのがまたなんとも……でも、敵対生物は割と簡単に寄って来るので、そちらを狩るという手もありますよ?」


「見えも聞こえもしない猛獣を相手にできる人は、冒険者の中でもほんの一握りです。そして、その人たちはその実力に見合った依頼をこなしているので、懐も十分潤っています。わざわざ死の森まで来て、割の合わない危険な依頼を受けたりしないでしょう」


「となると、やはり資料だけ作って、向こうに持ち帰るのがいいですかね?師匠たちへのお土産でもあったんですけど……とはいえ、主に肉と骨と皮と草ですけどね。まだ鉱山とかは見つけていないので、狩猟と採取しかしてないんですよ」


「むしろ、あの死の森でよくそれができるものだと、驚きを通り越して感心しています。湿原での採取など、日の当たる場所でも苦労するというのに、光も音もないのにどうやって選別しているのですか?」


「どうといわれましても、感覚を研ぎ澄ますと周囲の状況がわかるんですよ。周囲の空間全てを手探りしている感じでしょうか?なので、触ればわかるんですよ。今は鑑定も使えるので尚更ですね」


「それはまた……初めてここに来た時からそうですが、あなたは短期間にどんどん成長していきますね。渡来人は私たちよりもずっと成長が早いらしいですが、あなたの成長速度はそれを遥かに超えている気がします」


「あー……私はいろいろあったせいで、スキルの成長だけは異様に早くなったんですよ。代償として肉体的な成長は非常に遅くなってしまいましたけどね。本当に、この身体はいろいろと面倒なことになっているんですよ……」


ほんと、なんでこんなことになっているんでしょうねー?原因はわかりきってるけど、こっちからはどうにもならんというのが、またなんとも……はぁ、普通っていいなー……


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