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第192話:あれー?


全く教えないのもアレだし、ボカして話すことにするかー……察しの良すぎるメリルさんなら、それだけである程度把握してくれるだろうし、確定情報ではなくなるから多少はマシになる、かも……?


「毎日、適度に休憩や食事はしますし、しっかり睡眠も取っていましたよ。その方法に関しては、過保護な方が関与しているとしか……」


「ああ、なるほど……例のあの方ですか。確かに、それでは詳しく聞くのは控えた方がいいでしょうね」


「そうしていただけると助かります」


思った通り、超速で状況を把握しましたね……助かるけど、相変わらず怖いなー、この超頭脳。それだけに、あの異常極まりないチートアイテム類を知られるわけには……チートレベルに届かない劣化品でもあれば、それでお茶を濁すこともできるだろうけど……


「そういうわけで、道中の休息に関しては何も問題ないので安心して下さい」


「わかりました。昨日も今日も、無理をしている様子はなさそうですし、大丈夫なのでしょうね」


「では次に行きますね。こうして移動速度が低下することはなくったのですが、それだけではここまで早くなることはありませんでした。では何が原因なのかというと、それは”威圧スキル”です」


「威圧スキルですか?」


「ええ。私もスキルレベルは低いし、ここではまず効果がないだろうと思いながらも、思い付いてしまった以上は結果が知りたくて試してみたんです。そうしたらですね、これがおかしな威力を発揮してしまったために、私の周囲から移動可能な全ての動物が一斉に逃げ出しました……」


「カヅキ?一体何をしたのです?それは威圧スキルと間違えて別の何かをしたのではありませんか?」


「いや、ほんとに試しに1回だけ、と威圧スキルを発動させただけなんですよ?ただ、その時は知らなかったのですが、威圧は自分が持つスキル以外にも、装備に付与された分も含めた様々なスキルの影響を受けるらしく、その相乗効果によって、威圧レベルが異常なまでに増幅されていたのが原因らしいと、試行錯誤の末に結論が出ました。この検証には、私の威圧の効果に驚いた上位精霊も協力してくれましたので、ほぼ確実だと思います」


「それは……威圧のスキルレベルは、他のスキルに影響を受けて増減するということですか?」


「減るかどうかはわかりませんが、関連スキルを持っている、あるいは装備していれば増幅するのは確かですね。ちなみに……その時装備していたのは、師匠たちの作ったトンデモ装備類なので、おそらく今までも、この世界の住人にもこの効果は適応されていたのではないかと思うのですが……心当たりはありませんか?」


「……いえ、そのようなことはなかったはずです。どのような装備をしていようと、威圧の効果が変化したなどという事例は聞いたこともありません」


あれー?あの時はウルにも手伝ってもらって、装備を付け替える度にどれくらい威圧の範囲が変わるのかを調べていたのだ。その結果、多分正解であろう計算式を導き出せたわけだから、他の人にも適応されているはずなのだ。


さすがに、私専用の固有計算式とか使っているとかじゃあるまいし、多分システム上の計算式として、住人を含む全てのキャラクターが同様の効果を得ているはず……だとすれば、今までの長い歴史の中で、誰一人として気付かなかったのはおかしい。


少なくとも冒険者は気付くはずなのだ。普段から常に装備をガチガチに固めて、決して脱がないなどという人はいないだろうし、そもそもほとんどの装備は消耗品だ。より良い装備があればそちらに切り替えるのは当然だし、そうでなくとも森の中などで野宿している時ならいざ知らず、街中で宿を取って休んでいる時まで鎧を脱がずにいるとは思えない。魔術系のローブなどならともかく、皮鎧や金属鎧は脱いで楽な格好になるはずだ。


だが、そんな状態であってもケンカなり揉め事なりは起こるものだろう。そういった時に、格上の者が威圧スキルで相手を大人しくさせる場合もあるのではなかろうか?であれば、その時に装備の有無によって威力に差が出ていることに、誰かしら気が付いても良さそうなものなのだが……


例えば私の時のように、自分ではその差に気が付けなくても、他の身近な人が戦闘時と違うと気が付けば、それを疑問に思って本人なり周囲の人になり聞きに行くのではないだろうか?戦闘を生業にしている者にとって、相手を怯ませることができる威圧スキルは非常に有用なので、その威力が変化するとなれば、誰もが興味を持つだろう。中には興味を持って研究する者も出てくるのではないか?


だが、そんな話題があればメリルさんの耳に入らないはずがない。ならば、住人は適用外なのか?それともサービス開始されてから、この仕様が追加された?いや、仮にサービス後の仕様変更だとしても、この世界では既にかなりの時間が経過している。住人にもこの仕様が適用されているのであれば、やはり冒険者の誰かが気付いただろう。ということは……この威圧の仕様は、渡来人だけ、もしくは私だけかのどちらかになりそうだな……


これは、後で師匠たちに手伝ってもらって、検証した方がいいのではないか?さすがにこれはちょっとどころではなくモヤモヤする。


「もしかしたら、この現象は渡来人特有の、それもまだ私だけしか気付いていない能力かもしれません。あとで構いませんので、師匠たちに頼んで検証した方がいいのではないでしょうか?」


「そう、ですね……それは調べた方がいいでしょう。わかりました。そちらは私が手筈を整えるとして、どのような条件があるのか、教えてもらえますか?」


「ええ、構いませんが……調べる前にマイアさんを呼んでもらって、新事実の資料として正式に作成してもらった方がいいのではないでしょうか?実際に見てもらった方が理解が深まるでしょうし……」


「それもそうですね。こちらで資料を作って教えるよりも、より正確なものができるでしょうから、カヅキの案を採用しましょう」


そう言うと、メリルさんはメイドさんに目配せをしたので、おそらくだが、これからマイアさんが呼び出されるのではないだろうか?呼び出されるマイアさんにしてみれば堪ったものではないだろうが、まだ他にもいろいろと伝えることがあるし、全部まとめて資料化してもらうことにしよう。


だって、死の森の素材が大量にあるからね。私がいなくなった後で資料化を頼まれたら、もっと悲惨なことになるだろうから、今のうちに済ませた方がいいと思うんだよ。だから、申し訳ないが大人しく仕事を増やされてください……


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