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第182話:結界って、脆いんですか?


『一番いいのは、空から見た時に普通の森に見えることで、次点で侵入を防ぐ結界とかでしょうか……』


『結界ですか?人間の街でも簡単な結界くらいはあるようですが、あれくらいの強度では容易く破られますよ?』


『え……?人間の結界って、そんなに脆いんですか?』


『カヅキのいた街は、周囲の生物も非常に弱い部類のために、そこまで強度が必要ではなかったのかもしれませんが、人間の王族がいる城ですら、それなりの強度しかないことを考えれば、人間の結界自体が弱いのでしょうね。あの程度の結界ではワイバーンでも破れそうですし、さほど意味はないかと……』


なんだろう。この、ある意味で爆弾情報と言えなくもない情報は……

人間の結界はとても脆弱で、王城の結界でさえワイバーン以上には効果ありませんとか言ったら、どんな騒ぎになるのやら……というか、そもそも人間の結界って、ワイバーンクラスを想定しているのだろうか?人間の暗殺者や軍隊を想定して作られているのであれば、それで十分なのかもしれないしな……


それはともかく、ウルがそう言うってことは、ここでは使い物にならないってことなんだろうし、他の案を探すしかない。


『ということは、広範囲に幻を見せるようにするのが効果的であり、結界にはあまり期待しない方がいいということでしょうか?』


『そういうわけではありませんが……まず、広範囲に幻惑効果のある森というのはいい案だと思います。歴史あるエルフの郷であれば、大抵は今言ったような幻覚で、森に入ったものを追い払っていますからね。同等のものであれば、一定以上の効果はあるでしょう。結界にしても、人間の使っているものではなく、もっと強力なものを使えばいいというだけです』


うん?歴史あるエルフの郷?それって……ルリとフェルシアさんの郷が該当するのでは?もし、2人だけでもそれが可能だとするなら、余計なことする必要ないのではなかろうか?


『えっと……ここの作成が落ち着いたら、一度従者を街まで迎えに行くことになっているのですが……その2人が実はエルフなんですよ。それも、元長老と末の姫なので、もしかしたらもしかするかも?』


『カヅキ?今、なんと言いました?元居た街にエルフの従者がいると言いませんでしたか?』


『はい、言いました』


『しかも、元長老と末の姫だとか?』


『はい、そうですね』


『……何をどうしたら、その2人が人間の従者になるというのですか……いくらなんでもおかしいでしょう?もしかして、それも創世の女神様の計らいですか?』


『ああ、いえ……これに関しては女神は無関係ですね、多分。若干、間接的にではありますが、関わっている部分もあるといえばありますが……どちらかというと、人間の国とエルフの郷の政治的なあれこれの方が、大きく影響していると思います』


『何故、人間の国とエルフの郷の政治的問題になるのかわからないのですが……』


『いろいろとあったんですよ。ええ、いろいろと……私だって、従者なんていらなかったんですが……死人を出さないためには、それ以外に方法が思いつかなくて、ですね……』


『本当に、何があったというのですか……創世の女神様とのことといい、カヅキには驚かされてばかりいますね』


『多分、一番驚いているのは私だと思いますよ?』


なにしろ、この世界に来てからというもの、平穏な日々とやらと非常に縁遠くなってしまったからね……もっと気楽に、のんびりと暮らしたいんだけどねー……これが、なかなかどうして難しいのよ……


『話が逸れてしまいましたが、それで……そのエルフ2人をここへ連れてくるというのですか?』


『ええ、そうです。そして、ここの管理を任せるということで、ここに住み着いてもらい、従者として仕えさせていながら、私が一人旅をできるようにする予定なのです』


『カヅキは、ここをエルフに渡して放置するつもりなのですか?』


『いえ、放置するわけではなく、ここで家と温泉を維持してもらいつつ、素材を集めてもらったりするつもりです。私がいつでも温泉に浸かれるように、管理し続けてもらうだけです。2人ともエルフですし、森の中で生活するのであれば、それこそ数年くらい旅から戻らなくても、問題なく過ごせると思いますしね』


『ここに永住するわけではないのですか?』


『はい。今となっては、ここでも誰にも干渉されずにのんびりと暮らせそうな気はしますが、それでも地続きです。時間を掛けさえすれば、辿り着くものもいるかもしれません。それを確実に防ぐために、私は絶海の孤島を探すつもりです』


『絶海の孤島ということは、海に出るのですか?まさかとは思いますが、一人用の小舟でも作っていくつもりではありませんよね?』


『さすがにそれはありませんよ。人間たちに見つけられては、何のために孤島を目指したのかわからなくなりますから。少なくとも普通の船であれば、直線でも半年以上掛かる距離で探すつもりなので、それだけの期間を船上で過ごせるものを建造する予定です。完成はいつになるかわかりませんけどね……』


ほんとに、いつになるか全く予想がつかないんだよねー。基礎となる設計図は既にあるが、それを自分用にカスタマイズしてから建造となるわけだが、そのために必要な素材もまた予想がつかないのだ。


何をどれだけ用意すればいいのか、皆目見当も付かない……金属だけでもどれだけ必要になるのか、考えたくもない程の量を要求されるのは目に見えている。それこそ、鉱山ひとつ分使ったとしてもおかしくはないと思っていたりする。なので、実際には鉱山、もしくは鉱脈探しもしなくてはならないんだよね……


ほんと、船出するのはいつになるんだろうなー……


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