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第179話:女神のやらかし


工房をインベントリから取り出そうとしたら、メッセージが出てきた。



<特殊アイテム:簡易工房 を アップグレード しますか? はい/いいえ >



今までこんなことなかったのに、いきなりこれである。ほんと、何でもありだな。この世界!

まぁ、ここまできて渋っていても、先に進まないからやるけども……そんなわけで、”はい”のところに指先を当てると、別のメッセージが現れる。



<必要資源 を 倉庫 より 検索中>

<植物 クリア>

<鉱物 不足>

<不足品 の 代替可能品 あり>

<魔獣の遺骨 及び 魔石 を 代替品 に 使用しますか? はい/いいえ >



え?なにそれ?たったこれだけの文章なのに、ツッコミどころ満載である。

まず最初に、なぜいきなり倉庫の中身を検索しているのか。次に個数をきちんと把握していることもそうだし、代替品に関しては私のインベントリの中にあるものを指定している。しかもまだ未解体であるために、骨なんてインベントリに入ってないし、魔石に至っては初耳なんですが?!


そりゃまぁ、こういう世界なのだから、魔石とかあるんだろうけど……不思議と今まで見聞きしたことないんだよねー?メリルさんの屋敷でも聞かなかったし、用意された素材の中にもなかった。つまり、どちらも未発見の素材なんですが、これはネタバレになるのでは?さらに言えば、そのネタバレをしたのがシステムメッセージなんですが、これはどういうことなの?


勝手に素材を使用したりせずに、確認をしてきたところはいい。でも、他人の持ち物を許可なく調べたり、持ち主でさえ知らない情報を、勝手に開示するのはやり過ぎじゃないの?これ、女神の仕業だよね?今現在、私にストレス与えてんのは女神本人じゃないかっ!何考えてんの?!

めっちゃ平謝りしているイメージが来てるけどさぁ……そもそも、事の発端からして、欲してもいないチートスキルを勝手に投げたことから始まってるんだよ?それに加えてアップデートやらアップグレードやら、しまいにはネタバレまでして!そんなに謝るなら、はじめからやらなければよかったのに!


『カヅキ!どうしました?!一体何があったというのですか?!』


突然、ウルが目の前に現れて、険しい目つきでこちらを見ている。何故か気を張っているし、口調も強くなっている。


『何者かに命でも狙われましたか?この付近には誰も居ませんし、近づけさせませんから、落ち着いてください』


えっと……?何故かは知らんが、ウルが異様に慌てているし、警戒している。私は元々落ち着いてると思うのだが……女神に対して憤りを感じて、少々昂ってはいたが……


『ウル。私は誰にも狙われてはいませんし、落ち着いています。むしろウルの方が落ち着いてください』


『何を言っているのですか!そんな異常なまでの威圧を発していながら、何もないわけがないでしょう!』


『え……?威圧……?』


どういうことだ?威圧なんて使ってないのだが?


『っ!自覚がないのですか?今カヅキは、上位精霊たる我の動きさえ抑えるほどの威圧を、もはやこれを威圧と呼んでいいかすらわかりませんが、急に放ち始めたのですよ?ですからまずは落ち着いて、その威圧を止めてください』


ウルが嘘をつく理由もないし、本当なのだろう。でも確かに自覚がない。もし、威圧を放つ原因があるとしたら、女神への憤りだろう。どうやら、自分で思っているよりも感情が昂っているようだ。こういう時は、何も考えずに深呼吸を繰り返すのが効果的だったはずだ。できるかどうかは別問題だが……


すぅぅぅぅはぁぁぁぁぁ……すぅぅぅぅぅはぁぁぁぁぁぁぁ…………

深呼吸をしながら、自分の内面を探る。女神に対する憤りが燻ぶったままでは、威圧が解けない可能性があるからなぁ……完全になくすことは無理だろうが、一時的に棚上げすることくらいはできるはずだ。


『えっと……収まりましたか?』


『ええ、どうやら落ち着いてくれたようですね……本当に何があったのですか?ただでさえ温厚なカヅキが、あれほどまでに激昂するなんて……それも、無自覚にあそこまで強い威圧を放つとは、只事ではありませんよ?』


うーん……ウルは只事ではないと言うけれど、実際には望んでもいないチートを与えられた挙句、盛大なネタバレに対して憤って糾弾しただけなんだけどね……どう言ったものかなぁ……


『ウルだから話しますが、実は例の女神の過保護がまた発動しまして……』


『それは、創世の女神様のことですね?』


『ええ、その女神がですね……私が望んだわけでもないスキルを勝手に与えた挙句、ネタバレ……要するに望んでもいない知識まで与えられてしまって、それに対して憤ってしまい、つい糾弾してしまいました』


『え……?創世の女神様を糾弾したのですか?』


『はい。そうしたら謝ってきたのですが、それで余計に腹が立ちまして、そんなに謝るくらいならはじめからしなければいいのにって憤ってしまい、多分それが無自覚な威圧の原因だと思われます』


『……いろいろな意味で、カヅキがとんでもない人間だということはわかりました』


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