第178話:久々の・・・
さて……植える作物も決まったし、次はそれぞれの場所決めだなー。
果樹は、家と畑を遮る垣根の役目も兼ねて、池の奥に少し空間を広めにとって、縁側から見て種類毎に斜線を引くように横に並べることにしよう。それぞれの種類毎に /////// と、こんな感じに並んでいたら、成長した時に割といい見た目になるのでは?と思ったからだ。深い意味はない。
というわけで、その予定地付近に生えている雑草類を土ごと掘ってインベントリに入れる。なるべく種だけに養分がいくようにしたいからね。ここの雑草たちには別のところで生きてもらうとしよう。
そうして地面を削り、余計なものが何もない真っ新な地面がむき出しになったところで、各種種を地面に埋めていく。その後で、以前掘った土だけをインベントリから出して、地面が平らになるように戻していく。
うーん……あの区画だけ地面がむき出しなのが少し気になるが、まぁいいだろう。そのうち、自然といろいろ生えてくるだろうし、下手に手を加えるよりもこのままにしておいた方がいいかもしれんな……
果樹の方はこれでいいとして、次は野菜用の畑を作らねば……
果樹が育った後で陰にならないように、ある程度距離を空けて畑を作ることにした。
根菜類と青物は、それぞれ畝を1列ずつ使うようにして、とうもろこし、菜の花、胡麻、大豆は畝を3列ずつと、予定通り多めにしておいた。なお、大豆の3列のうち1列は枝豆として収穫する予定である。上手くいけば、だけど……
なんというか……思ったよりもあっさりと作業が終了してしまった……もっと苦労すると思っていたんだけどなー……?
そもそも、何故簡単に畑が耕せてしまったのか?コレガワカラナイ……
いや、だってさぁ……今まで農作業なんてしてこなかったのに、畑仕事どころか開墾作業してるようなものなんだよ?栽培スキルはあるけど、農業スキルや開墾スキルなんて持ってないのに、どうしてこうなった……
別に苦労がしたいわけではないが、いろいろと腑に落ちないというか、そうなる理由がわからないとモヤモヤするんだよね……どこかの女神にしてみれば、余計なことは気にしないで気楽に生きなさいってことなんだろうけど、人間、そう簡単に変わるものではないのだ。なので、気にするなというのであれば、気になる要因を作らない、あるいは矛盾点を消しておく必要があるわけだが、世の中そんな風にはできていない。
何故?どうして?と疑問に思うことなどいくらでもあるし、そういった状況はいくらでも発生する。今回のこともそのひとつと言えるだろう。原因不明の成功や失敗の理由など探したところで、どうなるものでもないが、やはり納得いかないことには考えを巡らせてしまうものではなかろうか?
≪システムメッセージ≫
<生産スキル:栽培 が 特殊スキル:全栽培 に進化しました>
<特殊スキル:全系統 が アップデート されました>
<特殊アイテム:簡易工房 を アップグレード してください>
は?……はいぃぃぃぃぃぃっ?!
うおぉぉぉぉい、女神ぃぃぃぃぃっ!いきなり、何してくれてんの?!チートはやめろと何度も言ってるだろうがーっ!
何、ほっぺた膨らませてそっぽ向いて拗ねたイメージ寄越してんの?まさか、気になる要因を作らないように、解消できるように新しくスキル作ったんじゃなかろうな?
何でさっきのイメージを、右向きから左向きにしただけのイメージを送ってきたし……こういう反応に困ることするんじゃないよ!なかったことにするから、スキルを元に戻しなさい。
おい、こら!耳を手で塞いで、何も聞こえなーいみたいなイメージを送るな!別に耳で直接聞いてるわけじゃないだろうに!あーもー……最近は大人しくなったと思っていたらこれかよ……別に今回は精神に負荷が掛かっていたわけでもなかろうに、なんでこういうことするかなぁ……?
くっそぅ……油断した……まさか、あれくらいの思考で新スキルを投げつけられるとは思わなかった。おまけにスキルのアップデートだと?一体何をしたっていうんだ?それに簡易工房のアップグレード要求とか……嫌な予感しかしねぇ……ぶっ壊れスキルとぶっ壊れアイテムの両方を底上げするとか、チートにも程がある。
工房のアップグレードって、多分テキストに書いてあった拡張機能のことだろう。資材を投入すれば可能になるってやつ。でも確か、必要資材数がかなりの量だったから、余裕ができるまでは保留にしていた気がする……それを今やれと?余分な資材なんて、途中で倒した死の森産の遺体かドロップくらいしかないぞ?
まぁいいや、とりあえず工房を見てみるかー……