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第168話:伐採開始


伐採をするにあたって取り出したのは、女神謹製の多目的スコップである。

ここなら完全に人目がないからね。久々の登場である。はっきり言って、こんな場所でもなければ表に出せない代物だからねぇ……使える時くらいは使ってあげないとね。


そんなわけで、スコップを使っての伐採を始めてみたのだが……なんというか、作業効率がとんでもないことになっていた……

何がすごいって、木を切るためにスコップを振るうだけで、その木が消えてしまうことだ。正確に言えば消えたのではなく、木材としてインベントリに収納されているのだが……おそらくは、スコップを一閃するだけで伐採し終え、自動収納で伐採して木材扱いになった木を、倒れるどころか傾く前に即座に収納しているのだろう。それも何故か切り株のおまけ付きで!


つまり、どんな伐採風景かというと、歩きながらスコップを左右に振ってるだけで、樹々が根っこまで全部消えていってるようにしか見えないということである。

歩みを止める必要もないので、実質ただの散歩である。しかも80m毎に折り返し、70m先まで行けば終わりなのだ。直線にして精々3kmほどしかないために、さほど時間も掛からず、予定範囲の伐採が終了する。


そして、終点で後ろを見れば、綺麗に見渡せるようになったために、余計に目立つようになってしまった穴だらけの地面が目に留まる。

これは……ヴェル用の池を作る際に掘り出した土で埋め直すかー。


そういえば……この辺にも薬草類とかは生えてそうだけど、調べてなかったなー。ずっと採取せずに来てたから忘れてた……一先ず、ここに何か生えてないか詳細鑑定で見てみよう。


予想通りというか、やっぱり生えてましたね。それも街周辺で生えてない奴ばっかり……

上薬草に上解毒草、猛毒草に痙攣草……こんな狭い範囲に、随分とたくさん生えていたものだ……しかも、猛毒草と痙攣草って下から3番目の効果の奴じゃないか!2番目どこいったよ?!もしかして、死の森の中か?今度、行くことがあったら探してみよう。


それと少しだけだけど、きのこ類も生えていた。それも何故かトリュフっぽいのが混じってた……どうなってんだ、この土地。いろいろあり過ぎじゃね?いやまぁ、嬉しいんだけどさ。なんというか、揃い過ぎてる感じがして、素直に喜べねぇ……


まぁいいや。それはそれとして、全土木スキルを使って基礎工事からだな。土台は大事だからね。盤石にしておかねば!

薬草類はもう全部採取したし、他は特に効能のない雑草の類なので気にしなくても大丈夫。建築予定の見取り図を見ながら、地面に印をつけて位置決めをする。大枠が決まったら、温泉、ウッドデッキ、家、池と、地面そのものに見取り図通りに線を引いていき、地面に描かれた原寸大の見取り図の上を何度か歩いて回る。実際に歩き回ることで、各場所への動線の確認や、使い勝手を調べることで、後々発生しかねない不具合を、今のうちにできるだけ取り除いておく。


そうこうしていると、いつの間にか日が随分と傾いていたため、今日はここまでにすることにした。

適当なところに工房を出して、いつものようにみんなでご飯を食べて眠る。




翌日、朝ご飯を食べてから外に出る。念のために、広域探知で動物たちの分布状況を調べてみるが、昨日と変わらず、一番近いものでも13kmは離れている。工房に入る時に威圧は切ったので、多少は戻ってきてるかと思ったが、そんなことはなかった……


作業の邪魔をされるのも困るが、フィアたちが暇そうだしなー……さすがに、そこまで遠くに行かせるつもりはないし、どうするかなー?川の生物たちも全部逃げ出して、今ではすっかり生物の空白地帯になってしまっている現状、その辺の獲物でも狩っていてもらうってわけにもいかなくなってしまった。


仕方ない。今日から威圧は使わないことにして、動物たちが戻って来るのを待つことにしよう。フィアにはこの周辺で好きなことをしていてもらおう。一応、あまり離れないようにとだけ言い含めておけば大丈夫だろう。

ヴェルには、毒を出さないように気を付けて川に潜っていてもらうか。ここしばらく、ずっと背負われてばかりで、全身で水に浸かってなかったからな。多分、喜ぶのではなかろうか?


「フィア、ヴェル。今日はこの周辺にいるなら好きなことしていていいよ。お昼寝しているもよし、川で泳ぐもよし。ただ、どちらも川に入る時は、毒を漏らさないようにだけ注意してね。ふたりの毒が川に漏れると、下流の魚とかが全滅しちゃいそうだからね」


「ピィィィッ」


「グルゥゥゥッ」


「それと泳ぐなら、ここから少し下流に行ったところでしてもらえるとありがたい。あと、あまり暴れて川の流れや形を変えないように注意してね」


「グルゥゥ」


「私はここで作業してるから、お腹が空いたり、日が暮れそうになったら帰ってくること。それじゃ、いってらっしゃい」


「ピィィィ」


「グルゥゥゥッ」


返事をするや否や、フィアは少し離れたところにある木陰へ移動し、さっそくお昼寝、というか2度寝をするらしい。ヴェルも早速川に入って下流に向かっていった。やはりサーペントなだけあって、水中の方が居心地がいいのだろう。池は早めに作ってあげたいところだが、水路もセットで作らないといけないんだよなー……

一応、水門みたいなのもあった方がいいだろうし、温泉の噴き出し口から湯舟までの間に合流させて、水温の調節機構も作らないといけないし、やることいっぱいだなー……


温泉の試掘を先にした方がいい気もするが、それをしてきちんと湧き出した時が困るんだよねー。周囲一帯が水浸しになってしまうから……

つまり、家や風呂、そして水路が完成してからじゃないと、手を付けられないという……必要なものが多すぎて、一番欲しいものを一番最後にしなければいけないという悲しみ……


とはいえ、もう手の届くとこまで来たのだ。焦ることはない。じっくりやればいいのだ。どうせ工期なんてないのだから。


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